■イタリア・トゥスカーニアのサン・ピエトロ聖堂 50号 (第3回)
鉛筆と薄墨による下描きが終了し、彩色に入っています。
いつものように、鉛筆を定着させるためにニカワ水を全面に塗ることから始めましたが
今回の紙は水彩紙以上に凸凹ですので、凹んだところにまでニカワが行き届くように、何度も筆返しをして摺り込むように塗っておきます。
摺り込むようにニカワを塗りましたので、定着力の弱い鉛筆で描いた部分は結構動いてボケてしまいます。
そこで、まずはボケた形を描き起こすことからな彩色に入りました。
鉛筆で描いたことと同じことを絵の具で上描きします。
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これは昨日の状態で、一通り描き起こしが終わったところです。
形の描き起こしが主眼で、全体の明暗のバランスはあまり気を使っていません。
使用している絵の具は
・アイボリーブラック
・白亜(下地用)
・岩黒の13番
・方解末の13番
これらを混ぜた色のみで、ご覧の通り白と黒だけです。
最上部の三角の壁はもっと暗く落として目立たなくしますが、やはり少し広過ぎるようです。
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前回と同じように上部を少しカットしてみました。
薔薇窓を画面中央より少し上にしたいので、少なくともこのくらいはカットしてもいいようです。
明暗が入って形が明確になってきますと形の狂いが目立ってきます。
薔薇窓の修正には手間がかかりましたが、まだ少し気になります。
その他にも何カ所か修正すべき点がありますが、それは今後ボチボチと…。
今回初めて使っている「土佐麻紙の裏」は、何度も書きましたように凸凹のザラザラですので、カッチリとした筆のタッチが出しにくいのです。
描けないことはないのですが、筆の水気が少しでも減ると途端にボソボソのタッチになります。
私は元々カッチリとしたタッチが苦手で、ボソボソのタッチを重ねて調子を作っていく方が性に合っているのですが
この紙は比較的簡単に私の好みの調子が出せるのです。
この紙は今の私にピッタリかもしれない!
1日描いたところで、そう思えたのです。
私は紙にはあまり拘らない方で、ほとんどの作品に越前産の雲肌麻紙を使ってきました。
昨年、日本画教室の生徒の1人が土佐麻紙を使ってみたいと言って端切れを見せてくれたのですが
その裏を見るなり、これは使えるかもしれないとピンと来たのがきっかけでした。
「土佐麻紙の裏」を、今後は全面的に使用することを考えています。
使う紙を変えるのは20年ぶりになります。
モチーフによっては合わない場合もあるとは思いますが
すでに今後の作品の構想を土佐麻紙を前提にしたものに変更する作業を始めているのです。
紙を変えたのは私にとっては大きな転換なのですが
変えたのは紙だけではありません。
急遽予定を変更して、彩色手順も変えました。
普段は最初に固有色に近い色を地色として全面に置いてから始めることが多いのです。
紙の地が透けて見えなくなるまで絵の具を重ねるというのが普通でした。
今回、地色(下塗り)は一切なし。
壁の明るい部分は紙の色を可能な限り生かす。
そのために最初から仕上げるつもりで描く。
それから、使う色は白と黒によるグレートーンのみで色は使わないことにしました。
これらは今まであまり経験していないことですが、無理して変えたわけではなく
紙が自然に変えさせてくれたという気がしていますので、どういう結果になるのか楽しみです。
気に入った画材に巡り会うのは至福の瞬間です。
もちろん、だからと言って良い絵が描ける保証にはならないのですが、気分良く描けるのは確かです。
気分良く描けるということは、良い絵を描くための必要条件だと思います。
1点仕上げるのは簡単ではありませんので四苦八苦するのは当然のことですが
一方で気分良く描ける・楽しんで描くという要素がないと、本当に良い絵にはならない気がするのです。
-------------- Ichiro Futatsugi.■
鉛筆と薄墨による下描きが終了し、彩色に入っています。
いつものように、鉛筆を定着させるためにニカワ水を全面に塗ることから始めましたが
今回の紙は水彩紙以上に凸凹ですので、凹んだところにまでニカワが行き届くように、何度も筆返しをして摺り込むように塗っておきます。
摺り込むようにニカワを塗りましたので、定着力の弱い鉛筆で描いた部分は結構動いてボケてしまいます。
そこで、まずはボケた形を描き起こすことからな彩色に入りました。
鉛筆で描いたことと同じことを絵の具で上描きします。

これは昨日の状態で、一通り描き起こしが終わったところです。
形の描き起こしが主眼で、全体の明暗のバランスはあまり気を使っていません。
使用している絵の具は
・アイボリーブラック
・白亜(下地用)
・岩黒の13番
・方解末の13番
これらを混ぜた色のみで、ご覧の通り白と黒だけです。
最上部の三角の壁はもっと暗く落として目立たなくしますが、やはり少し広過ぎるようです。

前回と同じように上部を少しカットしてみました。
薔薇窓を画面中央より少し上にしたいので、少なくともこのくらいはカットしてもいいようです。
明暗が入って形が明確になってきますと形の狂いが目立ってきます。
薔薇窓の修正には手間がかかりましたが、まだ少し気になります。
その他にも何カ所か修正すべき点がありますが、それは今後ボチボチと…。
今回初めて使っている「土佐麻紙の裏」は、何度も書きましたように凸凹のザラザラですので、カッチリとした筆のタッチが出しにくいのです。
描けないことはないのですが、筆の水気が少しでも減ると途端にボソボソのタッチになります。
私は元々カッチリとしたタッチが苦手で、ボソボソのタッチを重ねて調子を作っていく方が性に合っているのですが
この紙は比較的簡単に私の好みの調子が出せるのです。
この紙は今の私にピッタリかもしれない!
1日描いたところで、そう思えたのです。
私は紙にはあまり拘らない方で、ほとんどの作品に越前産の雲肌麻紙を使ってきました。
昨年、日本画教室の生徒の1人が土佐麻紙を使ってみたいと言って端切れを見せてくれたのですが
その裏を見るなり、これは使えるかもしれないとピンと来たのがきっかけでした。
「土佐麻紙の裏」を、今後は全面的に使用することを考えています。
使う紙を変えるのは20年ぶりになります。
モチーフによっては合わない場合もあるとは思いますが
すでに今後の作品の構想を土佐麻紙を前提にしたものに変更する作業を始めているのです。
紙を変えたのは私にとっては大きな転換なのですが
変えたのは紙だけではありません。
急遽予定を変更して、彩色手順も変えました。
普段は最初に固有色に近い色を地色として全面に置いてから始めることが多いのです。
紙の地が透けて見えなくなるまで絵の具を重ねるというのが普通でした。
今回、地色(下塗り)は一切なし。
壁の明るい部分は紙の色を可能な限り生かす。
そのために最初から仕上げるつもりで描く。
それから、使う色は白と黒によるグレートーンのみで色は使わないことにしました。
これらは今まであまり経験していないことですが、無理して変えたわけではなく
紙が自然に変えさせてくれたという気がしていますので、どういう結果になるのか楽しみです。
気に入った画材に巡り会うのは至福の瞬間です。
もちろん、だからと言って良い絵が描ける保証にはならないのですが、気分良く描けるのは確かです。
気分良く描けるということは、良い絵を描くための必要条件だと思います。
1点仕上げるのは簡単ではありませんので四苦八苦するのは当然のことですが
一方で気分良く描ける・楽しんで描くという要素がないと、本当に良い絵にはならない気がするのです。
-------------- Ichiro Futatsugi.■