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Channel: 風色明媚
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2013年 11月19日 火曜日

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Do you remember ?

この画像を掲載したのは2011年12月20日のことでした。



モデルになったのは、イタリア・アッシジのサント・ステーファノ聖堂。

描き始めたのは2010年の11月下旬!だったのですが、恐ろしいことに、いまだに仕上がっていないのです!

当初は夜明け直前の夜景として10号で描き始めたのですが
鉛筆の下描きができた段階で15号に変更してほしいと依頼者からの注文が。
せっかく下描きができたのですから、消して別のモチーフに変えてしまうのももったいないなと
状況設定を変えて描き続けることにしたのでした。



2010年12月初めの状態。(10号)
元々は聖堂を少し見下ろす構図で、背後にウンブリアの野が広がっていたのですが
若干見上げる構図に変更し、背後は空だけにしました。





2011年6月上旬の状態。(10号)

満天の星空にして、可能な限り明るく楽しい夜景にしてみようと。
星が針葉樹にまとわりつくように煌めいて、天然のクリスマスツリーのような画面にしようと!

2011年の1月から3月にかけては身の回りで大事件が続きましたので
思い切った気分転換を計ってみたかったのです。

ところが…

しかし一向に仕上がらず、何かがピンと来ない状態が続き、一進一退を繰り返すばかり。
途中で下部をカットし、10号から8号に変更。
それでも、出口の見えないトンネルから脱出するヒントは得られないまま時間ばかりが過ぎて行きました。




これが今月6日の状態。(8号)

どうにもならない閉塞感がそのまま画面に現れているかのような重苦しい画面です。
それとも、こういう画面になってしまったから閉塞感に苛まれていると言った方がいいでしょうか…。
ついに、このまま描き続けることは無理と判断!
さりとて没にするのも悔しいので、最後の手段を講じました。

風呂場に持って行き、画面を洗ってみたのです。
ぬるま湯を刷毛で画面に塗布し、少し置いてから刷毛で画面を撫で回します。
ある程度絵の具が取れてきたところで、シャワーをかけて洗い流します。
一旦乾かし、再度繰り返します。

しかしながら、日本画の展色剤(接着剤)であるニカワは水溶性ではあるのですが
乾燥した後、ある程度の時間が経過すると耐水性を帯びてくるのです。
刷毛で洗う作業を2〜3度繰り返しましたが、落ちたのは比較的最近手を入れた表層のみ。
ブラシで擦るようにすれば、かなり洗い落とすことはできるのですが
斑になったり、勢い余って紙を痛めてしまったりする可能性があります。

そこで今度は、乾燥させた後、サンドペーパーで軽く削り落とすことにしました。
ペーパーの粗さは300番程度にし、削り過ぎないように軽く擦ります。




洗ってサンドペーパーをかけた状態。
予定したほどには落ちませんでしたが、この状態から再スタートすることにしました。





現在の状況です。


今、改めて感じていることは、やはり私も常識的な人間だったなぁということです。
「満天の星が針葉樹に絡み付くように煌めく、天然のクリスマスツリーのような画面に」という方針の元
私にとっては、いつもより非現実的な要素の強い風変わりな作品になる予定でした。
しかし次第に常識に囚われて、思い切った決断ができなくなった結果なのだと思います。
もちろん、非常識で奇想天外が良いということではありません。
この作品の最も重要な要素を研ぎすまし、強調し、徹底できなかったことが
常識的な画面に陥った原因だと考えています。
常識的な画面にならないようにするということは、結局、私らしい画面にするということなのでしょうね。

さあ、あと1ヶ月あまりでクリスマスです!


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毎度お馴染みイタリアのshinkaiさんが、ご自身のブログで私のことを書いてくださっています!
先月来日された際、すぐに私の個展に来てくださり初めて実物をご覧いただきましたが、その感想などを書かれています。
どこぞの月一ブログとは違って、きっちりと定期的に更新されていますので
すでに最新記事ではなくなっていますが、どうぞご覧いただきたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/suisaishiho/e/d77540a46929f7c4e763547f57fd7571




そして作家仲間の個展のご案内を一つ。



彫刻家 林遼(はやし りょう)君は、1985年長野県諏訪市生まれの若い作家。
いくつかの展覧会で受賞するなど、新進気鋭の作家です。

林君のホームページはこちら!
http://ryohayashi.net

そして、彼のブログを覗いてみたら、何と私の写真が載っている!
http://blog.ryohayashi.net

「林遼ヴィオラをひく」というタイトルの記事ですが、写真に写っているのは私であります!

先日、長野県諏訪市での私の日本画教室の折り、ちょうど林君が立ち寄ってくれたのですが
生徒の1人がヴィオラを持ってきていたので、それを少しだけ弾かせてもらったのです。

弾いてみると(いや、私の場合は鳴らしたというレベル)意外なほど大きな音がするのですね。
そして、傍で聴いているのと少し違う響きがあるのです。

先日、テレビでストラド(アントーニオ・ストゥラディヴァーリの作った楽器)の秘密を探るという番組をやっていたのですが
音楽のプロであっても、音だけ聴いて、それがストラドなのかどうかを判定するのは相当難しいようです。
しかし、演奏家はストラドと別の楽器では音色が全然違うと口を揃えます。
ホントなのぉ〜?と、半信半疑だったのです、が…。
実際に自分で鳴らしてみて、演奏家が聴いている音と、聴衆が聴いている音とは異なることが分かりました。
楽器の持つ本当の音色を理解するためには自分で弾いてみるしかない!と、そんな気がしました。

実は私、ヴァイオリンを作ってみたいという、密かな、漠然とした願望があるのです。
何とも美しく、そして奇妙で妖しい姿をしていますからね、ヴァイオリンは。

うん、作ってみたら21世紀のストラドと言われるかもしれないなぁ。
製作依頼が殺到したらどうしよう。
絵描きなんかやめて、ヴァイオリン製作者に転向しようかな? ぎゃはは!

-------------- Ichiro Futatsugi.■

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