ここのところ「仕事場」の記事が途絶えておりました。
途絶えたとは言いましても「仕事場」の記事に限ってのことでして
月一ブログと揶揄される当ブログにしては、今月の更新はこれで3回目という快挙!
凄い! 月一ブログの汚名返上か?!
前回は8月3日でしたので、「いつまでサボっとるんだ?」という声が聞こえてきそうです。
言い訳をさせていただきますと、9月半ばまでは個展用の小品5点に集中しておりましたし
10月は私の個展、新開さんの個展と、イベントが目白押しでしたので、予定通りの休止状態。
しかし、その合間にもチョコチョコとは手を入れ続けていたのです。
とりあえず今回は、まだ生きてるよ〜!というご報告がてらの更新というところです。
■シエナのドゥオーモの夜景(20号)
![]()
前回8月3日の状態です。
![]()
これが今日の状態です。
一見して大きな変化はありません。
前回とは色調が少し違いますが、今回の方が実際の色に近いです。
主に薔薇窓内部、月や雲の調整をしていました。
前回の状態は、まだ全体に平板な印象がありましたので
薔薇窓に映る夜空と、聖堂本体とのメリハリを出すことを主眼として進めています。
物の形・色調・全体の諧調は大筋で出来ていると思いますので
今後は細部の調整をしながら、徐々に仕上げていきます。
月の左下の部分は形が歪んで見えますので要修正ですね。
聖人などが彫られた壁も、まだスッキリ見えるとは言えません。
一番彩度の高い青も少し浮いて見えますね。
さて、今回はここまで…と思ったのですが
月間3回更新の快挙を記念して(?)シエナのドゥオーモの名前について少し書いてみようと思います。
普段、日本では「シエナのドゥオーモ」と呼ばれてばかりで(イタリア語では Duomo di Siena )
私の知る限り、本当の名前を紹介されることはほとんどなかったように思います。
フィレンツェのドゥオーモでしたら「花の聖母教会」という訳語をよく聞きますし
サンタ・マリーア・デル・フィオーレというイタリア語の名前もしばしば紹介されます。
ではシエナは?と聞かれて答えられる人はいらっしゃいますか?
シエナのドゥオーモの名前はサンタ・マリーア・アッスンタであると、つい最近、そこまでは聞いていましたので
それならば、イタリア語での正式名称は Cattedrale di Santa Maria Assunta(カッテドゥラーレ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ)になるはずだと思っていたのです、が…。
ははは、イタリア語を書くのは気が引けるなぁ…。
なぜって、イタリア在住22年の大目付がネットの向こうで目を光らせていますからねぇ。
すっ飛んで来てダメ出しされそうだなぁ…と思いましたので
事前に大目付にお伺いを立て、ご教示を賜ってから書いております、はい。
名前を確認するためイタリア語版ウィキペディアで調べてみたところ Cattedrale metropolitana di Santa Maria Assunta
カッテドゥラーレ・メトゥロポリターナ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタと載っておりました。
あれ? 予想とはちょっと違う!
カッテドゥラーレとはカトリックでの司教座聖堂、つまり教区を統括する教区長(司教や大司教)が座る席(司教座)のある教会ということで
要するに、司教がいらっしゃるのに相応しい格式を持った教会ということなのです。(英語ではカテドラルと言いますね)
簡単に言えば教区の中央教会ということで、ほとんどが所在地の街の中央教会(ドゥオーモ)でもあります。
サンタ・マリーア・アッスンタというのは聖母被昇天を意味します。
聖母被昇天とはカトリックの解釈で、聖母マリアは最期に肉体を保ったまま天に引き上げられたというものです。
では、メトゥロポリターナとは何?
私の頭の中のイタリア語辞書には「地下鉄」という意味しか載っていません。
聖母被昇天地下鉄大聖堂? そんなバカなぁ!
何ともトンチンカンな私を見かねた大目付がイタリア語版ウィキを見て下さり
おっしゃるには、都市部の司教達の本拠地と言えるような格式を意味する名称であろうと。
都市? そういえばニューヨークにメトロポリタン美術館ってのがありましたねぇ。
あれは地下鉄美術館じゃなくて、街の美術館というような意味だものねぇ。
シエナは、トスカーナ州シエナ県の県都でもある大きな街なのです。
つまり、都市と言えるような規模の街にあり、複数の司教座聖堂を束ねる地位にある教会を表す言葉なのでしょうね。
その後、日本語版ウィキペディアでドゥオーモ一覧というものを見つけたのですが
確かに大きな街のドゥオーモには Cattedrale metropolitana というのがいくつかありました。
でも、ドゥオーモは必ずしも司教座聖堂とは限りませんので、いろいろな名前があるのです。
シエナの少し北にあり、クリスタルグラスで知られる街コッレ・ディ・ヴァル・デルザのは Concattedrale dei Santi Alberto e Marziale
コンカッテドゥラーレ・デイ・サンティ・アルベルト・エ・マルツィアーレ
コンカッテドゥラーレとは、共同聖堂という意味があるようです。
塔の街として有名なサン・ジミニャーノのは Collegiata di Santa Maria Assunta
コッレジャータ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ
コッレジャータにも、共同教会・合同教会という意味があるようですが(大学の、という意味も)
コンカッテドゥラーレより格下ということなのでしょうか?
水の都ヴェネツィアのは、あまりにも有名なビザンティン建築であるサン・マルコ聖堂なのですが
Basilica Cattedrale Patriarcale Metropolitana Primaziale di San Marco Evangelista という長〜い名前。
あまりにも長過ぎて、カタカナに直すのも面倒臭い〜!
ほとんど寿限無寿限無の世界ですねぇ。
ですから普段は Basilica di San Marco と略称されています。
長い名前の冒頭に Cattedrale ではなくて Basilica という文字があるのは
永いこと司教座が置かれていなかった歴史を表しているのだと思われます。
…と言うようなことで、今回は少し横道に逸れまして
教会の名前を題材にして、実用的とは少しも言えないイタリア語のお勉強をしてみました!
アイ・カピート?(分かりましたか?)
ps
「この場合、アイ・カピート?ではなくて、アヴェーテ・カピート?が正しいぞよ」との大目付のお言葉が…。
あっちゃ〜! またやってしもうたぁ!
-------------- Ichiro Futatsugi.■
途絶えたとは言いましても「仕事場」の記事に限ってのことでして
月一ブログと揶揄される当ブログにしては、今月の更新はこれで3回目という快挙!
凄い! 月一ブログの汚名返上か?!
前回は8月3日でしたので、「いつまでサボっとるんだ?」という声が聞こえてきそうです。
言い訳をさせていただきますと、9月半ばまでは個展用の小品5点に集中しておりましたし
10月は私の個展、新開さんの個展と、イベントが目白押しでしたので、予定通りの休止状態。
しかし、その合間にもチョコチョコとは手を入れ続けていたのです。
とりあえず今回は、まだ生きてるよ〜!というご報告がてらの更新というところです。
■シエナのドゥオーモの夜景(20号)

前回8月3日の状態です。

これが今日の状態です。
一見して大きな変化はありません。
前回とは色調が少し違いますが、今回の方が実際の色に近いです。
主に薔薇窓内部、月や雲の調整をしていました。
前回の状態は、まだ全体に平板な印象がありましたので
薔薇窓に映る夜空と、聖堂本体とのメリハリを出すことを主眼として進めています。
物の形・色調・全体の諧調は大筋で出来ていると思いますので
今後は細部の調整をしながら、徐々に仕上げていきます。
月の左下の部分は形が歪んで見えますので要修正ですね。
聖人などが彫られた壁も、まだスッキリ見えるとは言えません。
一番彩度の高い青も少し浮いて見えますね。
さて、今回はここまで…と思ったのですが
月間3回更新の快挙を記念して(?)シエナのドゥオーモの名前について少し書いてみようと思います。
普段、日本では「シエナのドゥオーモ」と呼ばれてばかりで(イタリア語では Duomo di Siena )
私の知る限り、本当の名前を紹介されることはほとんどなかったように思います。
フィレンツェのドゥオーモでしたら「花の聖母教会」という訳語をよく聞きますし
サンタ・マリーア・デル・フィオーレというイタリア語の名前もしばしば紹介されます。
ではシエナは?と聞かれて答えられる人はいらっしゃいますか?
シエナのドゥオーモの名前はサンタ・マリーア・アッスンタであると、つい最近、そこまでは聞いていましたので
それならば、イタリア語での正式名称は Cattedrale di Santa Maria Assunta(カッテドゥラーレ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ)になるはずだと思っていたのです、が…。
ははは、イタリア語を書くのは気が引けるなぁ…。
なぜって、イタリア在住22年の大目付がネットの向こうで目を光らせていますからねぇ。
すっ飛んで来てダメ出しされそうだなぁ…と思いましたので
事前に大目付にお伺いを立て、ご教示を賜ってから書いております、はい。
名前を確認するためイタリア語版ウィキペディアで調べてみたところ Cattedrale metropolitana di Santa Maria Assunta
カッテドゥラーレ・メトゥロポリターナ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタと載っておりました。
あれ? 予想とはちょっと違う!
カッテドゥラーレとはカトリックでの司教座聖堂、つまり教区を統括する教区長(司教や大司教)が座る席(司教座)のある教会ということで
要するに、司教がいらっしゃるのに相応しい格式を持った教会ということなのです。(英語ではカテドラルと言いますね)
簡単に言えば教区の中央教会ということで、ほとんどが所在地の街の中央教会(ドゥオーモ)でもあります。
サンタ・マリーア・アッスンタというのは聖母被昇天を意味します。
聖母被昇天とはカトリックの解釈で、聖母マリアは最期に肉体を保ったまま天に引き上げられたというものです。
では、メトゥロポリターナとは何?
私の頭の中のイタリア語辞書には「地下鉄」という意味しか載っていません。
聖母被昇天地下鉄大聖堂? そんなバカなぁ!
何ともトンチンカンな私を見かねた大目付がイタリア語版ウィキを見て下さり
おっしゃるには、都市部の司教達の本拠地と言えるような格式を意味する名称であろうと。
都市? そういえばニューヨークにメトロポリタン美術館ってのがありましたねぇ。
あれは地下鉄美術館じゃなくて、街の美術館というような意味だものねぇ。
シエナは、トスカーナ州シエナ県の県都でもある大きな街なのです。
つまり、都市と言えるような規模の街にあり、複数の司教座聖堂を束ねる地位にある教会を表す言葉なのでしょうね。
その後、日本語版ウィキペディアでドゥオーモ一覧というものを見つけたのですが
確かに大きな街のドゥオーモには Cattedrale metropolitana というのがいくつかありました。
でも、ドゥオーモは必ずしも司教座聖堂とは限りませんので、いろいろな名前があるのです。
シエナの少し北にあり、クリスタルグラスで知られる街コッレ・ディ・ヴァル・デルザのは Concattedrale dei Santi Alberto e Marziale
コンカッテドゥラーレ・デイ・サンティ・アルベルト・エ・マルツィアーレ
コンカッテドゥラーレとは、共同聖堂という意味があるようです。
塔の街として有名なサン・ジミニャーノのは Collegiata di Santa Maria Assunta
コッレジャータ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ
コッレジャータにも、共同教会・合同教会という意味があるようですが(大学の、という意味も)
コンカッテドゥラーレより格下ということなのでしょうか?
水の都ヴェネツィアのは、あまりにも有名なビザンティン建築であるサン・マルコ聖堂なのですが
Basilica Cattedrale Patriarcale Metropolitana Primaziale di San Marco Evangelista という長〜い名前。
あまりにも長過ぎて、カタカナに直すのも面倒臭い〜!
ほとんど寿限無寿限無の世界ですねぇ。
ですから普段は Basilica di San Marco と略称されています。
長い名前の冒頭に Cattedrale ではなくて Basilica という文字があるのは
永いこと司教座が置かれていなかった歴史を表しているのだと思われます。
…と言うようなことで、今回は少し横道に逸れまして
教会の名前を題材にして、実用的とは少しも言えないイタリア語のお勉強をしてみました!
アイ・カピート?(分かりましたか?)
ps
「この場合、アイ・カピート?ではなくて、アヴェーテ・カピート?が正しいぞよ」との大目付のお言葉が…。
あっちゃ〜! またやってしもうたぁ!
-------------- Ichiro Futatsugi.■