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Channel: 風色明媚
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2012年 5月31日 木曜日

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◆イタリア・アマルフィのドゥオーモ

彩色に入ってからの制作過程です。
前回ご紹介しましたように、これは夜景にします。
私は20年前にアマルフィを訪れていますが、夜景は取材してありませんでした。
そこで、この作品も「アッシジの水飲み場」「シエナ派の天使」と同じく
イタリア在住shinkaiさんの撮影された写真を基にしています。

アマルフィの街に関してはshinkaiさんのブログ「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!」をご覧ください。

アマルフィの町に、夕暮れが迫る頃
http://italiashio.exblog.jp/15382581/

n.1 大聖堂の煌めきを ・ アマルフィ 
http://italiashio.exblog.jp/15398969/


前回、鉛筆による下描きをご紹介しましたが
早速shinkaiさんより「人物を入れたのは珍しいのでは?」というコメントをいただきました。
ご指摘の通り、風景に点景として人物を入れた作品は今までに1点しかありません。
shinkaiさんの写真に観光客の姿がシルエットで写っていたのですが
それを見た瞬間に、この情景には人物を入れた方がいい!と即決したという次第です。



 彩色1

モザイクの装飾文様は焦茶の11番で描いておき
その後全体に明るいウグイス色の11番を、わざと塗り斑をつけながら置いています。
照明に照らされたナルテクス(玄関間)の内部は薄黄の白、方解末の13番、水色白群などを使っています。

建物の上部に行くに従って右肩下がりのパースをつけたのですが、これははっきり言って余計でした!
その影響もあって、聖堂全体が右に傾いて見えますね。
これは今後修正が必要です。
明るいナルテクス内部を除いて他は暗く落としてしまいますので、まあ、このままでOKとも思いますが…。



 彩色2

金茶の11番、岩茶の11番を全体にかけたところです。
これは刷毛や平筆ではなく、普通の丸筆を使っています。



 彩色3

青味・緑味がかったグレーを全体にかけて、思い切って明度を落としたところです。
刷毛で暗い色をかけましたので、聖堂表面のモザイク文様がだいぶ見えなくなってしまいました。
予想以上に消えてしまったところもありますので、今後はまずモザイクの描き起しから始めます。
あるいは、消え過ぎた部分の表面を洗ってみるのもいいかもしれません。


◆諏訪大社上社前宮の十間廊(じっけんろう)

十間廊という名前は長辺の間口が十間あることから来ていますが、短辺は三間の単純な四角い社殿です。
絵にしようとは、あまり思えないような特徴のない建物です。
十間廊は直会殿(なおらいでん)とも呼ばれています。
直会とは、神様へのお供え物を参列者が分けて飲食することで
供え物をするという意味では神楽殿と似たような役割の社殿だと言えます。

諏訪大社は御柱祭が有名ですが、かつては御頭祭(おんとうさい)という神事が御柱祭以上に重要なものでした。
十間廊はその御頭祭の舞台で、古代は鹿の生首(!)が75頭(!)も供えられたと言います。



 彩色2

まだ描いていなかった四手(しで:紙垂とも書く)を描き入れました。
下描きの延長として相変わらずスケッチ風に描いていますが、そろそろ下準備は終わりです。


◆シエナ派の天使

14世紀シエナ派の彫刻家ティーノ・ディ・カマイーノの天使像。


 彩色2

薄めた茶白緑を全体に点描風に何度も重ねています。
茶白緑というのは白っぽい渋い緑色で微粒子の絵具です。
それ以外は何もしていません。
下半身が若干ヌルっとしているように感じます。
もう少し石のカチッとした手触りが必要です。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


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