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2012年 6月21日 木曜日

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◆岩の台地の街

久しぶりの掲載です。
約半年に及ぶ永い冬眠から目覚めて、50号の岩の台地の街を再開しました。


 昨年12月の状態


 今日の状態

半年中断してしまいましたので、まずは感覚を取り戻すことから。
大勢に影響のない、どうでもいい部分から手を入れ始め
調子が出てきてから本格的に再開しました。

建物の形はほぼ決定していますので、どこまで暗く落としていいのか試しているところです。
崖はいつもとは少し違う表現を目指しています。
いつも…とは、基本的に見えたように描いていくオーソドックスな手法です。
この街は架空の街ですので、実在の街を参考にしながら自分で作っているわけですが
崖に関しては、いわゆる西洋流の描写は可能な限りしていません。
そしてほとんど想像で成り行きに任せて描いているために、いまだに最終的な形が決まっていません。
一応形が決まらないと、なかなか思い切った仕事ができない性格なので、ややモタモタした印象があります。
どこかに実在する崖を描いてしまった方が、描ける描けないは別にして、気分的には楽ですね。


◆アッシジの水飲み場


 彩色5

物は描けてきましたが、まだ私のイメージとはズレがあります。
基になった写真を初めて見た時に「あ!」と衝撃を受け、強い印象が心に焼き付けられたのですが
その印象がまだ画面に出切っていないのです。

この「あ!」をどのように表現するかが一番大切なことなのです。
それができていなければ、単に物を描き写しただけになってしまいます。
いよいよ正念場に差しかかってきました。



さて、今週から新たな作品が加わりました。
とは言っても、新作ではなく旧作の加筆です。


 海辺の街 10号

イタリア・アマルフィを描いたこの作品は、以前制作過程を紹介しています。
印象が薄いと言いますか、中途半端な感じを受けるようになり、思い余って加筆することにしました。
調子に乗って少々ぼかし過ぎたのかもしれません。
加筆の過程は紹介しませんが、仕上がりましたら掲載する予定にしています。

-------------- Ichiro Futatsugi.■



2012年 7月23日 月曜日

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約1ヶ月ぶりの更新です。
秋の個展まで二ヵ月半。
1点仕上げるのに人一倍時間がかかりますので、正直言って少々焦り始めています。
制作過程を撮影する余裕さえなくなりつつあります。

まぁ、一日過ぎるのが早いこと!!
時間の使い方が下手なことが諸悪の根源であることは確かなのですが
神様が意地悪して時間の経過を早めているんじゃないかと勘繰りたくなります!


一週間前から旧作の加筆が新たに1点加わり、昨日からは新作を1点制作開始。
この他に、日本画より少し軽いタッチの作品も何点か予定しています。

制作過程を紹介してきました5点は、50号を除いて最終調整に入っています。


◆アッシジの水飲み場



左下にあった階段を消しました。
左上の暗い壁は石の形を潰し過ぎたかなとも思いますが…。

題名を 「久遠の泉」 と決めました。

久遠は”くおん”と読みます。
山梨県の身延山に久遠寺という名刹がありますが、その名前から拝借しました。
昔からとても好きな言葉の一つで、この言葉を題名に使うのは二度目です。
今を去ること17年前、初めての個展の時に「久遠の壁」という作品を出しました。
アッシジのサン・ダミアーノ修道院の壁を描いたものでした。


◆アマルフィのドゥオーモ



ほぼ仕上がったと思っています。
全体にやや右に傾斜している印象は残ってしまいましたが、この程度でしたら許容範囲だと思います。
ダメ?

題名は、まだ未定。


◆諏訪大社上社前宮の十間廊



明る過ぎ?
神社の、神域の持つ雰囲気としてはスッキリし過ぎ?
どことなく、まだ不満が残ります。

題名は、そのものズバリで 「十間廊」 としました。


◆シエナ派の天使



我が愛しの天使様!

余計な小細工を排除して、出来る限り素直に、あるがままに描こうとしています。
唯一の小細工が頭光なのですが、この程度でしたら問題ないですよね?

題名は、最初から 「シエナ派の天使」 と決めています。


◆岩の台地の街



描き始めたのが昨年の7月!
途中半年間の中断があったとは言え、まだ仕上がりません。
毎日手を入れているわけではありませんので実質的な制作時間は3ヶ月ほどでしょうか。
仕上げの段階に入っていると言えば入っているのですが、相変わらず崖の形に苦慮しています。
架空の街を造るのは結構大変なことです、ほんと。

これも題名は未定です。



さて、新たな作品を描き始めるためにはギリギリの時期です。
10月半ばまでに、あと何点描けるか…。
焦り始めてはいますが、若い頃のように胃が痛くなることはなくなりました。

あるものだけを出せば良い!
できないものはできない!

達観でしょうか。
悟りでしょうか。
残念ながら、歳とって覇気がなくなっただけです。

-------------- Ichiro Futatsugi.■

個展のご案内・8 長野県松本市ギャラリー井上 + お知らせ!

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長野県松本市の百貨店、井上の「ギャラリー井上」にて
9回目の個展を開催させていただきます。
お忙しい時期とは存じますが、何卒ご高覧賜りますようお願い申し上げます。


第9回 二木一郎日本画展

10月17日(水)〜23日(火)
井上・本店6階 ギャラリー井上(西ホール)
〒390-8507 長野県松本市深志2-3-1 TEL 0263-33-1150
( JR松本駅より徒歩約5分 )

10:00〜19:00(最終日は17:00まで)
入場無料

井上百貨店ホームページ
http://www.inouedp.co.jp

私は、20日(土)・21日(日)のみ会場におります。



今回は20数点の展示を予定しています。
その内、新作は13点。
日本画8点と、岩絵の具やパステルなどを併用した混合技法が5点です。
日本画は50号から3号まで。
混合技法は6号と4号の小品です。

新作の13点をご紹介します。
ただし、混合技法はまだ仕上がっていませんので、途中経過を掲載します。

画像と実物とでは印象がだいぶ異なりますので、是非とも会場でご覧いただきたいと思います。



日本画




 ◆月香(げっこう) 50号 イタリア・架空の街







 ◆久遠の泉(くおんのいずみ) 15号 イタリア・アッシジ







 ◆十間廊(じっけんろう) 10号 長野県・諏訪大社上社前宮







 ◆聖堂夜色 10号 イタリア・アマルフィ







 ◆海辺の街 10号 イタリア・アマルフィ







 ◆シエナ派の天使 8号 イタリア・フィレンツェ







 ◆二人の空 4号 フランス・アルザス地方







 ◆緋の花 3号 バラ





混合技法(岩絵の具+パステル+水彩+色鉛筆)





 ◆御射鹿池(みしゃがいけ) 未完 6号 長野県・蓼科高原






 ◆天使の扉 未完 6号 イタリア・トナディーコ






 ◆初夏 未完 4号 額紫陽花






 ◆水の里 未完 4号 長野県・安曇野






 ◆綿雲 未完 4号 長野県・安曇野




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長野県にお住まいの皆様にお知らせ!

リンクさせていただいておりますブログ「イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!」
その姉妹ブログ「水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村」の作者であるイタリア在住のshinkaiさんが
長野朝日放送のテレビ番組「おぉ!信州人」で紹介されます!!
ただし、長野県内のみの放送です。

長野県内外で活躍されている長野県出身者を取り上げる、月一回放送の番組です。
長野県出身者は、自らを誇りを込めて”信州人”と呼びます。
shinkaiさんは私と同様、れっきとした信州人(長野市出身)なのです。
今回の放送はイタリア在住者特集!
shinkaiさんを含めた3名の方が紹介されます。
当然のことですが、shinkaiさんのお姿が映りますし!、実名で登場されることになります!

その中で…
恥ずかしながら…
恥ずかしながら私もshinkaiさんの友人として少しだけ出させていただくことになりました!!
先日、長野県諏訪市での私の日本画教室でインタビューの収録がありました。
私が主役ではありませんので、ほんのちょっぴり映るだけだと思います。
想像するだけで冷や汗が流れます…。
久しぶりに、この北東アジアのモンゴロイドの典型とも言える顔がテレビ画面に露出します!
私が映った途端、テレビに向かって物を投げないようにお願いいたします。


「おぉ!信州人」 北イタリアでブラボーな出会い旅
長野朝日放送 10月16日(火)18:55〜19:54放送
長野朝日放送のサイトは http://www.abn-tv.co.jp/

長野県にお住まいの皆様、どうぞご覧いただけますようご案内申し上げます。

なお、イタリアでの収録の様子は、すでにshinkaiさんがブログで紹介されています。
http://italiashio.exblog.jp/16575521/


shinkaiさんとの交流はブログを通じて3年ほどになりますが、まだ一度もお会いしたことはないのです。
番組の収録は別々ですのでテレビの中で初対面ということになりますが、何か不思議〜な、妙〜な気分です。
来年shinkaiさんとお会いした時(!)は、「初めまして」と言うべきでしょうか、「お久しぶりです」と言うべきでしょうか。

(来年会う? イタリアで? 日本で?)

どこで、何のためにお会いするのか…それはまだ私からはお話できません。

(話せない? 密会? あやしい関係?)

一つだけ言えるのは、ただ単にお会いするだけではないということです。

(ただ会うだけじゃない? やっぱり人には言えないようなこと?) 

いずれshinkaiさんが自らのブログで紹介されますので、その後に私からも紹介させていただきます。
ひょっとしたら…この番組の中で、来年何があるのか解るかもしれません。

長野県の、いえ、日本中のshinkaiファンの皆様、どうぞお楽しみに!

-------------- Ichiro Futatsugi.■

イタリアと日本 今年と来年 二つの新開志保展

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このブログに度々お名前が登場しているイタリア在住の友人shinkaiさんが…
いやいや、つい先日ご自身のブログで本名を明らかにされ、さらには全身写真(きゃ!)まで公表されましたので
この記事では堂々と本名を書くことにしましょう。
前回お知らせしましたように、長野県長野市出身の新開志保さんは
10月16日に放送された長野朝日放送のテレビ番組「おぉ!信州人」に登場されました。
番組で使われたキャプションを引用させていただくと、新開さんは「気骨の女流画家」なのです。

新開さんの全身写真をご覧になりたい方はこちら!
今後二度と掲載されないとのことですので、これが唯一、最初で最後のチャンスですぞ!
さあさあ、寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!
http://italiashio.exblog.jp/17022801/


その新開さんが、今年と来年、イタリアと日本で個展を開催されます!!

まずは今年、いや、もう今月!の話なのです。
北イタリアはコネリアーノ Conegliano という街で、イタリアにおける初の個展を開かれます。
新開さんはイタリアに渡られる前は永く広島にお住まいでした。
若い頃からずっと創作活動をされており、数々の展覧会で受賞を重ね、個展を何度も開催されています。
1990年にイタリアに渡られてからも広島での個展はありましたが
イタリアでは周囲の人たちに絵を描いていることはあまりお話にはならなかったそうです。
今回、イタリア在住20数年にして、ついにイタリア・デビューと相成りました!





これは個展のポスターなのですが、実は、不肖この私がデザインをさせていただきました。
イタリアでは日本のようなDMはなく、ポスターとパンフレットを作るのが普通なのだそうです。
ご本人もすでにブログに載せていらっしゃいますが、私の方が 一段と大〜きく 載せております!
イタリアで掲示するポスターですので、当然イタリア語で書かなければならないのですが
とは言え、やはり日本人ですので、せめてお名前だけでも日本語を、そして日本語ならば縦書きが基本!ですよね。


では、せっかくですので、ポスターに載せた作品のご紹介を!!
これもご本人のブログより一段と大〜きく 載せます!
自分の作品よりも一段と大〜きく!




「広場の猫・ベットーナ」

どうです?カッコいい猫でしょう?
子猫を持つ母猫の、たくましくも少し子育てに疲れたような微妙な表情とポーズが見事ですね。

新開さんは呆れるほどの猫好き。
どれほどお好きなのかは、ご本人のブログをご覧になればわかります。
二つのブログのどちらのプロフィール欄にも猫の作品画像。
今までに掲載された猫の写真は数知れず。

う〜む、ひょっとして新開さんの正体は猫?
猫が猫の絵を描いている?
夜な夜な行燈の油を舐めながらパソコンのキーボードを打っていたりして…。

ベットーナというのはウンブリア州の小さな街の名前。
世界的に有名な聖地アッシジの、盆地を挟んで向かい側の山の上にある街なのです。


ええい!ついでだぁ! 額の付いた画像まで載せてしまえ!





近所にお気に入りの額屋さんがあって、そこで一点一点吟味して額を選んでいらっしゃるそうです。
私などは、優柔不断で、決められない人間の典型でして、額は同じデザインで統一しています。
しかし、やはり作品に合わせて決めるのが本道というものですよねぇ。


では、もう一点の方、こちらは作品のみです。
ですが、さらに一段と大〜きく 載せます!




「アッシジ・アーチの向こう」

緻密な観察と、執拗なまでの描写で、すごい執念を感じます!
描かれている物はほとんど石ばかりなのですが、場所によって巧妙に描き分けられた石の表情が見事です!
これだけ描写しているにも関わらず、うるさくもなく、説明的にもならず、スッキリと軽やかな画面にさえなっていますねぇ。
これぞ新開さんの真骨頂!
それを見ていただきたくて、こんなに大きく載せたのです。
私も石の壁をよく描くのですが、これには脱帽です!


このポスターがA3の大きさに印刷されてコネリアーノ周辺に張り出されます。
そして、これをそのまま縮小したA5のパンフレットがいろいろな所に置かれるようです。
その様子を思い浮かべると、何だかゾクゾクしてきます。
作者としては、嬉し恥ずかしといったところですねぇ。


そして、落款についても少しだけ。



ご本人のブログでもご紹介いただきましたが、左の印章は私が彫ったものなのです。
実際の大きさは1cm4mm四方の小さなものです。
新開さんのイニシャルS.Sを基にして、右のSを左右反転したデザインです。
素人細工ですので、この程度の出来でしかありませんが
新開さんの作品・お人柄には相応しい印面になったのではないかと…。
何となく、二人の人が膝を抱いて座っていて、背中合わせで寄り添う姿に見えませんか?
それを意図してデザインしたわけではないのですが
片方は新開さんで、もう片方は…新開さんを慕って集まる友人達のように思えるのです。
もちろん、その友人達の中には私も加えさせていただいております。



それでは、ご案内記事の本筋に戻りまして、ポスターの文面に沿って詳細をご説明させていただきます。

Mostra personale とは個展のこと。
Penna e acquerello は、ペンと水彩。

新開さんは永らく続けてこられたテンペラに代わり
今年から、付けペンと透明水彩による作品を描かれています。
描かれているモチーフは主にイタリアの風景と猫。
ポスターに載せた作品のレベルのものが18点並びます!!(内、2点は旧作のテンペラ)

会期は、11月24日〜12月1日
開場時間は、9:00~12:00 そして 15:00~18:00
12:00~15:00は南欧伝統のシエスタ(昼食とお昼寝タイム)ですので開いていません。

L’autrice sarà in sala ogni giorno 本人は毎日会場にいます。

Inaugurazione : Sabato 24 Novembre alle ore 17:00 オープニングは11月24日土曜日の17時。

Ingresso libero 入場無料

Spaziocultura di Artestoria が会場の名称。
Artestoria は組織名のようですから、アルテストーリア文化会館というような意味でしょうね。

その所在地が Via Madonna, 2 - 31015 Conegliano (TV)
Via Madonna はマドンナ通り、つまり聖母マリーア通りという意味ですねぇ。
最後の(TV)というのはテレビのことではなく、トゥレヴィーゾ県の省略形。
コネリアーノの街は、ヴェネト州トゥレヴィーゾ県という行政区分にあるのです。

会場は、コネリアーノの駅から500mほどのところにあります。
google のストリートビューで会場の外観及び街の様子がご覧になれますので興味のある方はどうぞ。

コネリアーノはヴェネツィアのほぼ真北、50キロほどの距離でしょうか。
google map の地図を拝借して、場所をご案内しますと…



中央の四角く囲んでいるところがコネリアーノの位置です。
コネリアーノから真下(真南)へ行って、Aという赤い印のあるところが、かの有名な水の都ヴェネツィアです。
左の上の方に山岳地帯がありますが、ここが日本ではドロミテと呼ばれる絶景の観光地ドロミーティ国立公園です。

コネリアーノのすぐ上にスコミゴと書いてあるのが読めますか?
正しくはスコミーゴと発音するのですが、新開さんはここにお住まいなのです。
そこまでは公表されていますから書いても大丈夫ですよね?

この時期にヴェネツィア周辺への旅行を予定されている方。
少しだけ足を伸ばしてみてはいかがですか?
あるいはヴェネツィア周辺に知人が住んでいるという方。
是非この個展を紹介してください!

私も本当はイタリアへ飛んで行きたいところですが、今回は叶わず…残念!

イタリアでの初個展、おめでとうございます!!
Auguri ! !
ご成功を心よりお祈りいたしております!!


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そして、もう一つ、来年の個展とは…

予告!!
長野県諏訪市のギャラリー橋田にて
2013年10月
新開志保展 開催決定!!

イタリアでの初個展に続いて、故郷長野県での初個展も決まりました!

前回の記事で、来年新開さんとお会いすることになると申し上げたのは、こういう意味だったのでした。
あやしい関係か?と疑念を持たれた方、残念でございましたねぇ!

故郷長野を離れて半世紀。
話す言葉は関西弁・広島弁・イタリア語になり
暮らすところは海を隔てた異国のイタリアではありますが
それでも新開さんは信州人・信州女を自認されています。
その秘めたる熱い想いが、来年ついに結実します!

今のところは10月という以外、具体的な日程などは決まっていません。
詳細が決まりましたら、また改めてご案内いたします。

長野県の皆様、いや、県外の皆様も
是非とも諏訪までお越しいただけますようお願い申し上げます!!
私が太鼓判を押します!!
え?お前の太鼓判は三文判じゃないのかって?
確かに私はプラスチックの三文判しか持っておりませんが
借金をしてでも最高級の象牙の太鼓判を買って来てド〜ンと押すつもりです。
それくらい素晴らしい作品が並びますので、どうぞ楽しみにお待ちいただきたいと思います。


新開さんの二つのブログはこちら。
イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!
水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村



さて、テレビに登場してすぐに新開さんはお姿をブログで公表されましたが、私はどうしようかなぁ…。
テレビには少ししか映っていないことだし、もうしばらく”日本のフィリップ・ルロワ”を自称していようかな…。

『そんな寝言まだ言うか!往生際の悪いヤツめ!』

ん?新開さん、今何かおっしゃいました?

-------------- Ichiro Futatsugi.■

2012年 12月24日 月曜日 + お知らせ

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はぁ〜(ため息) もう12月!
今年も、もうおしまい!
1月に引っ越ししたのが、つい先日のことのよう…。
神様が私から強引に時間を奪って行っているとしか思えない!!

ま、愚痴はさて置き、今日はクリスマス・イヴですので

皆様!ブォン・ナターレ!

世間ではクリスマス・イヴと言いますが、私にとっては年に1度の「ケーキの日」なのであります。
筋金入りの甘党にも関わらず、普段ケーキはほとんど口にせず
まさに年に1度、直径18cmのイチゴショートを心ゆくまで味わえる夢のような日なのです。
超甘党の私には18cmのケーキを丸ごと一気喰いすることも容易いことなのですが
ま、そこは大人ですので、1度に食す量は4分の1までと決めております。



さて、それでは本題に入ります。
今日から再び制作過程のご紹介を始めます。
今回は20号を2点掲載いたします。
いつものように下描きが出来上がってから掲載を始めるつもりでしたが
年の瀬も押し詰まりましたので、今年の最終回として、ご無沙汰のご挨拶がてら、下描きの途中経過からご紹介します。

まず1点目はフランス・アヴィニョンにあるサン・ベネゼ橋 Pont St. Bénézet です。
名前を聞いてもピンと来ませんか?
♪ 橋の上で 踊るよ 踊るよ、橋の上で 輪になって踊る ♪という歌の舞台になった橋です。

アヴィニョンと言えば、ローマ教皇庁が有名ですねぇ。
なぜアヴィニョンに教皇庁があったのか?
その昔、権力志向の権化とも言えるフランス王フィリップ4世は
教皇より自分の方が偉いんだということを誇示しようとしたのですね。
十字軍の失敗で権威が揺らいでいた教皇ボニファティウス8世と大喧嘩をしまして
その教皇の死後、フランス・ボルドー大司教だったクレメンス5世が即位すると
新教皇がフランス出身ということもあり、頭ごなしに命令するようになってしまったのですね。

仏王 「おい!教皇!」
教皇 「はい?!」
仏王 「おめえはずっとアヴィニョンにいろ!」
教皇 「え?教皇庁はローマでございますが…」
仏王 「うるせえ!アヴィニョンを教皇庁にすりゃあいいじゃんか!」
教皇 「そのようなことは聞いたことがございませぬ…」
仏王 「なんだと!教皇の代わりなんぞ、なんぼでもいるんだぞ!」
教皇 「ひええ〜!仰せの通りに…」

以後、70年近く教皇庁はアヴィニョンにあったのでした。

ま、政治と宗教の醜い関係はともかく、サン・ベネゼ橋とは何ぞや?
教皇庁のすぐ近くを流れるローヌ河に架けられた石橋で、建設は12世紀後半。
後にカトリックの聖人となった羊飼いの少年ベネゼが天使からのお告げを受けて造った橋なのです。




サン・ベネゼ橋の橋脚の一つには、このような小さな礼拝堂が建っています。
サン・ニコラ礼拝堂と言い、数年前に初めて写真で見た瞬間に一目惚れしたほど気に入っているのです。

構図が決まり、礼拝堂から細部を描き始めた段階です。
鉛筆のみを使用しています。
今後は石を一通り描いてから彩色に移ります。

橋本体に比べて、礼拝堂は少し大きくしてあります。
橋脚の最下部にある、水圧を分散させるための出っ張りは省略しました。
橋桁は、もっと水平に近づけた方がいいかな?
橋桁には後世に取り付けられた欄干があるのですが、描いた方がいいのか迷っています。



そして、もう1点は長野県蓼科にある御射鹿池(みしゃがいけ)です。



例によって鉛筆で下描きを始めたのですが
鉛筆だけではどうにも気分が乗らず、早い段階から透明水彩を併用して描いています。
この池は今までに2点描いていますが、いずれも最初から絵の具で調子をつけながら下描きをしました。
他のモチーフは鉛筆だけで下描きを終えるのですが、どうしてなのか自分でも不思議です。
水面の映り込みは鏡に映したように描くつもりですので、仕上がりはほぼ完全に上下対称の構図になります。

今回は実景の写真をご覧いただきます。



構図を決めた際に参考にした写真です。
参考にしたと言うより、ほぼそのままです。
紅葉の最盛期に取材したものですが、作品も秋景にします。
もっと彩度が高く絢爛になります。
空の色も変わります。
完成イメージはできているのですが…どうなりますか。

年内には2点とも下描きを終えて彩色に入る予定です。
年内と言ってもあと一週間しか残っていませんので、頑張らねば!


と言うことで、今年はこれが最後の更新です。
皆様、良いクリスマスを!
そして良いお年をお迎えください!
また、年が明けてからお目にかかります。


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◆お知らせ 

前回の記事でご紹介しましたイタリア在住の友人shinkaiこと新開志保さんの日本での個展の日程が決まっております。

2013年(平成25年)10月12日(土)〜20日(日)

ギャラリー橋田
〒392-0017 長野県諏訪市城南1−2550
TEL 0266-52-3420 FAX 0266-52-3653
http://www.hashida.jp/

12月1日にイタリアでの初個展を終え、来年10月に向けて鋭意制作を続けていらっしゃいます。
出品点数は決まっていませんが、20点を超えるのは確かです。
私も新開さんの作品はブログの画像でしか拝見したことがありませんので
珠玉の作品の数々を、今から楽しみに待っているところです。
どうぞ、是非とも諏訪まで足をお運びいただけますように私からもお願い申し上げます。

なお、新開さんの絵のブログに作品集のページが追加されました。
現在までの全作品が取材地別・モチーフ別に整理されていますので、そちらもどうぞご覧ください。

水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村

そして、もう一つのブログは

イタリア・絵に描ける珠玉の町、村 ・ そしてもろもろ!


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2013年 1月1日 火曜日

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新年明けまして、おめでとうございます!!

今年も、当ブログ「風食明媚」と、ホームページ「二木一郎 日本画 ウェブサイトギャラリー」を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

お屠蘇でほろ酔い加減になっていらっしゃる方も多いかと思いますが…
実は私も、さっきまで近所に住んでいる甥が来て飲んでいましたので、ほろ酔いで書いていま〜す、でへへ。
しかし!今日の昼間は仕事、仕事、仕事!をしていたのですぞ!
うん、これを絵描きの鑑と言うのかな?
え?自分で言うなって?
まあまあ、今は酔っぱらっていますので、多少の放言は見逃してくだされぇ!お代官さまぁ〜!


さて、まずはサン・ベネゼ橋の経過から。




これは12月29日の状態で、ほぼ下描きは終了です。
途中から透明水彩を併用しています。

礼拝堂と橋に一体感が足りないと思いませんか?
その通りなのです。
橋に比べ、礼拝堂は水彩を使っている部分が圧倒的に少ないので、一体感が少し欠けて見えるのですね。

橋最上部の縁取りは、左側へ行くに従って太くなっていて遠近が逆に見えてしまっています。
これは単純なうっかりミスです。

橋の幅(右下のアーチの奥行き部分)を広げました。
礼拝堂がどのように建っているのか分からないと、イタリアの友人shinkaiさんよりご指摘をいただき
あ!確かに!ごもっとも!と修正しました。
この方が橋全体のボリュームも増え、堂々とした貫禄も出しやすくなりますし、礼拝堂との関係も描きやすくなりますね。
shinkaiさん、グラッツィエ・ミッレ!





そしてこれが今日の状態です。
全体に薄く色を置いたところです。
鉛筆の下描きが薄くなりましたし、色が入りましたので、下描きとは印象がだいぶ違ってきました。
そして、少々平板に見えますね。
彩色の始めの段階は、いつもこうなのです。

礼拝堂と橋の色を少し変えましたので一体感の欠如が増幅されてしまいましたね。
今のところは、本格的な彩色の下準備として、一体感がなくなるのを承知で描いていますからいいのですが
しかし、最終的にこれではペケ!失格です!
今後は密度を上げながら、礼拝堂と橋を一塊の物として描いて行くことが必要になります。



次は御射鹿池(みしゃがいけ)です。



まだ下描きですので鉛筆と透明水彩だけを使っています。
スケッチをするようなつもりで描いています。
水面の映り込みが描き足りませんので、それが終わりましたら岩絵の具での彩色に移ります。
今後は岩絵の具で、紅葉の最盛期らしさを出すために、どんどん彩度を上げて行きます。

以前ご紹介しましたように、この池は農業用の溜め池として造られた小さな人工の池なのです。
しかし、永い年月を経て、本当に美しい珠玉の池となっています。
長野県茅野市の中心部から車で一時間以内に着きますので、機会がありましたら是非訪れてみてください。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2013年 1月12日 土曜日

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今年は元旦から制作を始めるという、絵描きの鑑のようなスタートが切れました。
一昨年は両親の病気があり、昨年は引っ越しの準備が大詰めを迎えていましたので
今年は久しぶりに穏やかな正月が過ごせました。
一年の計は元旦にありと言いますので、今年は昨年にも増して何か良い事があるかな?


20号2点の進捗状況、まずは御射鹿池(みしゃがいけ)の秋景です。



1月7日の段階です。
実景に即して、樹木の形・紅葉の配色などを調整しながら、まずは実景から学ぶことを最優先しています。
モチーフから学ばなければ、本当の創作力は鍛えられません。
ここはじっと我慢して、ひたすらコツコツと描いています。



そして、今日の状態です。
ここ数日は彩度を上げることを主眼としていますので、上の画像に比べると自然さは無くなってきています。
山の上の方は形がだいぶ潰れてしまい、そろそろ描き起こしが必要です。
空は、もう少し明度を落とした方が良さそうです。



サン・ベネゼ橋の方は前回とさほど大差はありません。
御射鹿池の方を優先していますので、大きな進捗はないのです。
こちらも、とにかく実景に即して描いている段階です。



ベネゼ橋は12世紀後半に造られ、全長約900m!アーチが22個連なる壮観な姿を誇っていたのです。
13世紀前半にルイ8世の侵攻によって大半が破壊され、再建が始まってからもローヌ川の度重なる氾濫によって崩壊し
現在ではローヌ川の教皇庁寄りに3つのアーチしか残っていません。

鉛筆の下描きがハッキリ残るほど薄塗で描いています。
明度が落ちてきましたので、そろそろ明るい色での描き起こしにかかります。
橋の一番右の窓からは礼拝堂の下部が見えているのですが
見えていないように暗くしてしまった方がいいかな?
他の窓のように暗くしてしまった方が面倒はないですね。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

個展のご案内・9 東京・上野 松坂屋上野店

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東京・上野の松坂屋上野店「美術サロン」にて
3回目の個展を開催させていただきます。
何卒ご高覧賜りますようご案内申し上げます。


二木一郎日本画展

3月20日(水)〜26日(火)
松坂屋上野店 南館5階 美術サロン
〒110-8503 東京都台東区上野3-29-5  TEL 03-3832-1111
( JR御徒町駅より徒歩数分 )

10:00〜19:30(最終日は17:00まで)
入場無料

松坂屋上野店ホームページ(画廊情報)
http://www.matsuzakaya.co.jp/ueno/garou/


今回は20点ほどの展示を予定しています。
その中から、最近作の小品3点をご紹介します。





獅子の窓 4号
混合技法(岩絵の具+パステル+色鉛筆)
スペイン・ベザルの聖ペレ聖堂






花束 3号
混合技法(岩絵の具+パステル+色鉛筆)






暮色 3号
混合技法(岩絵の具+パステル+色鉛筆)
イタリア・トスカーナ州ルッカの街



-------------- Ichiro Futatsugi.■


2013年 4月10日 水曜日

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個展の準備のために中断していました20号2点の進捗状況です。
前回は1月中旬でしたので約3ヶ月ぶりの掲載ですが、両方とも仕上げの段階に入っています。


御射鹿池(みしゃがいけ)20号M
長野県蓼科高原(茅野市豊平)にある農業用ため池


 

前回、1月12日の状態はこうでした。
いつも以上に彩度を上げることが当初の予定でした。




 

そして現在。
残念ながら、と言うよりも案の定と言うべきでしょうか。
色の彩度は予想に反して落ち着いてきています。
やはり私にはカラリと明るい絵は描けないようです。

御射鹿池は、その美しい佇まいもさることながら、その名前に神秘性を感じています。
鹿の首を神に捧げる諏訪大社の神事「御頭祭(おんとうさい)」に因んだ命名であることは明らかですが
「みしゃがいけ(一般的には濁音が入らない「みしゃかいけ」と呼ばれる)」という発音が無条件に素敵だと思います。
泉鏡花の戯曲「夜叉ケ池」の音と一文字違いで、それも神秘性を増大させている一因だと思うのです。
この池が農林水産省選定の「ため池百選」に選ばれていることも容易に納得できます。



サン・ベネゼ橋 20号P
フランス・アヴィニョン サン・ベネゼ橋と、その橋脚に建つサン・ニコラ礼拝堂


 

まずは前回、1月12日の状態です。




 

これは3月10日頃の状態です。
個展の準備中も少しずつ手を入れていました。




 

そして現在。
だいぶ暗い画面になってきました。
明暗のコントラストを意識的に下げているために余計に暗く見えます。
さらに、このブログは白バックですので一層暗さが強調されるのですが
実画面はもう少し明るい印象があります。

かなり暗い画面ですが、これは夜景…ではないのです。
暗い雨雲が全天を覆って、今にも雨が降り出しそうな、あるいはすでに降り始めている状況をイメージしたものです。
この画像では小さくて分かりづらいのですが、橋と礼拝堂を形作る白い石の表情に最大限の注意を払って描いています。
暗い画面の奥から、橋と礼拝堂が淡い白い光と共に滲み出て来るような画面にしたいのです。



両作品とも仕上げの段階にあり、今後大きな変化はないと思います。(おそらく)
今月中には仕上がる予定ですので、もう1回、仕上がった画像を掲載して制作過程の紹介を終わりたいと思います。

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第2回 日本画グループ 未然会展のご案内

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私が講師を務める、NHK文化センター青山教室日本画二木クラスの展覧会です。
2010年以来2度目の開催となります。
私と生徒12名の総出品点数は34点になります。
何卒ご高覧賜りますようご案内申し上げます。


  

  



私のクラスは日本画教室ではあるのですが

日本画である以前に自分の絵であれ!
上手な絵よりも、その人らしい絵を!

そういう指導方針の下、約20年が経過しました。

講師としての私の役目は、生徒がヒントを掴むための助言、それが精一杯です。
次の段階で試してみることを提示するまでで限界なのです。
答えは私も持っていません。
答えは、作者それぞれの内側に潜んでいます。

自分の外側に、自分の描くべきものはないのです。
自分の外にあるものは、夥しい数のヒントだけです。
スケッチをすることも、展覧会を観ることも、絵を描くための勉強と言えるものは、すべてヒントを見つけることなのです。
日常のあらゆる場面にヒントは転がっています。
そして、見つけたヒントと、描き続けることによって得た技術が一体となって、絵を描くための道具ができてきます。
それを使って、自分の中に潜む答えを捜して行くことが絵を描くことだと思います。
試して、試して、試行錯誤を続けて行くうちに、いつの間にか絵という形になっていくものなのです。

私は講師ではありますが、生徒にとって本当の師匠は私ではありません。
各自が描いているもの、それが本当の師匠なのです。
本当の師匠は、私の百倍のことを教えてくれます。
私は、本当の師匠と生徒とを引き合わせるための橋渡し役といったところでしょうか。
言わば愛のキューピットのようなもの?

生徒A「キューピット? 先生がぁ? プッ!」
生徒B「先生の家には、きっと鏡がないのよ」
生徒C「どこからどう見ても閻魔大王だよねぇ…」



閻魔大王は4点出品させていただきます!
制作過程を紹介してきました2点と、昨年の作品が2点です。





 「御射鹿池・秋紅」(みしゃがいけ・しゅうこう) 20号M





 

  「遠雷」(えんらい) 20号P







 「久遠の泉」(くおんのいずみ) 15号F





 

  「シエナ派の天使」 8号変型


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2013年 5月30日 木曜日

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イタリアにお住まいの誰かさん曰く
「月一でもいいから…」
更新しろと、お尻を蹴飛ばされてしまいました。

このブログの主は、極めて気まぐれ、いい加減、怠惰、無責任…。
今月は生徒たちとのグループ展のご案内をしただけ。
一応「月一」はクリアしたことになりますが、そろそろこんな声が聞こえてきそうです。

「あいつは毎日何をしているんだ? 絵描きをやめたのか?」



まずは新しい作品のご紹介から。
「新作」と書かずに、あえて「新しい作品」と書いたのがミソでして…。
実を申せば旧作を加筆修正したものなのです。
つまり、古い作品が新しい作品として甦ったということなのです。



霧の日 10号 イタリア・トスカーナ地方

冬のトスカーナ州内陸部やウンブリア州では頻繁に霧が発生します。
霧の風景というのは、私のイタリアでの思い出の中でも大きなウェイトを占めているのです。
霧がかかったようにボンヤリしている作品が多いのはそのせい?…かもしれませんねぇ。



そして、新しく描き始めている作品です。
大きさは20号です。
まだ鉛筆の下描きが半分も終わっていないのですが、とりあえず制作過程の連載開始です。



これがどこの聖堂であるか、一目見て言い当てた方は余程のイタリア・ファン。
いやいや、もはやイタリア中毒、イタリア・オタクと言えます。

これは、イタリア・トスカーナ州の古都シエナのドゥオーモ、サンタ・マリーア・アッスンタ大聖堂です。
その薔薇窓周辺を切り取ったものです。

描いているうちに薔薇窓の形に自信がなくなり、それで写真に撮ってみたのです。
作品画像をPCのモニター画面で見ていると、修正する必要のある部分を発見することがよくあるのです。
もちろん、制作中は離れた位置から絶えず検討しているのですが
徐々に見慣れてきてしまって目が麻痺し、冷静な判断ができなくなるのですね。
そうなったら撮影してPCのモニターで見ると、少しは客観的に判断することができるのです。
で、せっかく撮影しましたので、怠け者ブログの汚名を返上しようと掲載に踏み切った次第です。

この他に6号と3号を描き始めていますが、こちらの制作過程は掲載いたしません。



さらに、こんなこともしています。



ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画「マドンナ・デル・パルト」です。
画面周囲は大きく欠損しているのですが、これが描かれた当時の姿を推測してみようと…





プリンタで印刷したものに水彩で簡易な復元を試みています。
画像の一部にモザイクをかけているのは…納得がいく状態ではないためにお見せできないのです。

もちろん、これは仕事ではありません。
ブログに掲載するために、3年前から記事を書き進めているのです。
新たな考えが浮かんでは書き足し、また書き足しを続けているうちに1回では掲載し切れないほど長くなり
おそらく3回くらいに分けて掲載することになると思います。
アップするのは今年の12月です。
こうして宣言してしまいましたので、もはや後戻りできません。
実は2年続けてアップを延期しているのです。
多少のプレッシャーをかけないと、なかなか出来上がらないというのは人の常なのですねぇ。

え?私だけの常?
でヘへ…ゴロニャン!

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2013年 6月13日 木曜日

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イタリア・トスカーナ州の古都シエナのドゥオーモ、サンタ・マリーア・アッスンタ大聖堂。
その正面壁の一部を20号で描いています。




一応下描きが終了しました。

薔薇窓に映っているのは月の浮かぶ夜空です。
と言うことは、またしても夜景なのです。
仕上がりは、もっとず〜っと暗い画面になる予定です。
またネクラな絵かよ!という声が聞こえてきそうですが、暗い絵が好きなので、どうにも仕方が…。
眩い光に満ちあふれた明るい昼間を描くのは大の苦手なのです。
きっと私の前世はドラキュラか、夜の闇を徘徊する魑魅魍魎の類に違いありません。

薔薇窓を除く聖堂本体は鉛筆だけで描いています。
薔薇窓は鉛筆のあと薄墨で調子を入れ、月と雲はチョークを使っています。


それにしても…
なぜ私はこんなにも暗い絵が好きなのか。

先日、その理由の一端に思い当たりました!
私が高校生の頃大好きで憧れていた画家のことを思い出したのです。
まず一人目は、18〜19世紀に活躍したドイツ・ロマン派の画家です。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ Caspar David Friedrich





もう一人は、スイス生まれの19世紀末の象徴派の画家。

アルノルト・ベックリン Arnold Böcklin



このベックリンの作品なんぞは「死の島」という、暗さもここに極まれりというタイトルなのです。

人格形成期において出会ったものの影響は大きいのです。
私の青春時代は…暗かったんだねぇ、ぎゃはは!!

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2013年 7月20日 土曜日

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■シエナのドゥオーモの夜景(20号)

イタリア・シエナのドゥオーモ、サンタ・マリーア・アッスンタ大聖堂の続きです。
前回は下描きを掲載しましたが、最近は小品の制作を優先していて、ここ1ヶ月はスローペースで描いています。


 

彩色が始まった段階です。
いつものように、スタートは本来の石に近い色(淡い黄土系や朱土系)を一応置くことから始めます。
最終的にブルーグレーの色調にしますので、まずは細部の陰影を青で描き始めます。



 

全体の基調色を、明るめの色から置いていきます。
長流のような太い丸筆や刷毛を使ってザックリと色をかけます。
薔薇窓も壁も、特に区別せずにどんどん全体にかけていきます。
多少の色斑ができても気にしません。

薔薇窓に映った雲は、下描きの段階で一応の形を描いてありますが
今後は色斑も利用して、描きながら形を決めていきます。
月は、もう少し大きくしてもいいかもしれません。

聖母像の周囲の壁が消えてきましたので、この後は細部の描き起こしをします。



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最近になって急遽描き始めた小品を2点ご紹介します。

■赤いバラ(6号)

  


  


  




■たんぽぽ(6号)

  


  



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先日、二つの展覧会を見てきましたのでご紹介します。


日本のプチファーブル 熊田千佳慕展

2009年に98歳で亡くなった画家熊田千佳慕(くまだ ちかぼ)は
挿絵画家・イラストレータとして、ファーブル昆虫記の世界を描き出すことを悲願とし
イタリア・ボローニャ国際絵本展に出品するなど、「熊田の描く虫は生きている!」と国際的にも評価の高い作家です。
近年、各地で展覧会が開催されていますが、私は今回が初めてでした。
ボタニカルアート的な手法による精緻極まりない画面は、まさに絶句・驚嘆!

茨城県近代美術館にて、9月16日まで。
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp




生誕130年 彫刻家 高村光太郎展

今まで木彫作品を観る機会が少なかったために出かけてきました。
高校生の頃、光太郎の木彫に憧れて身近にあった木片を削ってみたことがありました。
今回の展覧会は、光太郎をはじめ、同時代の荻原守衛・戸張弧雁・佐藤朝山、そしてロダン・マイヨール・ブールデルなども並べられていますが
光太郎の妻智恵子の紙絵も60点ほど展示されていました。
智恵子の紙絵展は以前にも観ていますが、何度観てもため息が出るほど造形センスに満ち溢れた素晴らしい作品群です。

千葉市美術館にて、8月18日まで。
http://www.ccma-net.jp


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2013年 8月3日 土曜日

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■シエナのドゥオーモの夜景(20号)

シエナの街にはかつて何度となく足を運んでいますが、当時はこの正面壁を描こうとは夢にも思わず
スケッチも詳細な写真もなく、参考資料を求めてあちこち探しまわりましたが…見つけられませんでした。

聖母像の細部が分からない!

シエナはイタリアを代表する観光地の一つですし、ドゥオーモはイタリアン・ゴシックを代表する建築の一つです。
ですから、正面壁全体を撮った画像はネットなどにたくさんあるのですが
いずれも聖母像は小さく写っていて拡大に耐えられず、しかも白い大理石が災いして日光で白く飛んでしまったものばかり。
もちろん私は正面壁の説明図を描いているわけではありませんし、聖母像は20号の中では10cm程度の大きさですので
どうしても分からない場合は他の彫刻を参考にして自分で作ってしまうしかないな…と考えていました。

その矢先、いつもコメントをくださるBBさんより正面壁の写真を送りましたとコメントが!
ひゃあ!ありがとうございます!

欲しかったものが、向こうから、絶妙のタイミングでやってくることがあります。
もちろん、欲しいものを引き寄せるためには、こちらも描いているものに対して執念とも言えるほどの強い思い入れがなければ何もやってきません。

絵の神様 「ほぉ〜、強い思い入れがあるのだな?」
私 「はいっ!」
絵の神様 「それなら、最近シエナに行って見て来たのだな?」
私 「ギクッ! 昔、何度も行っていますが…」
絵の神様 「昔だと? 最近は行ってないのか!? この横着者がぁ!」
私 「ひぇぇ〜! すみませ〜ん!」
絵の神様 「お前の生徒達にバラしてやろうか? 日頃偉そうなことを言っているお前のグータラな本性を!」
私 「あわわ、それだけはご勘弁を! どうかご内密に!」





BBさんよりいただいた写真を参考に、消えかかった細部を一通り描き起こした状態です。
空間や雰囲気などは意識せず、とりあえず形を描き起こしただけです。

まずは色鉛筆で下描き程度に描いてから絵の具をかけていくのは、いつもの通りです。
全体に暗い青系で仕上げる予定ですので、インディゴやブラックの色鉛筆で形を起こし
その上に、コバルトブルー・アイボリーブラック・代赭などを混ぜた微粒子の絵の具で描いています。





細部の描き起こしが一段落し、全体に岩絵の具を一色かけた状態です。
色は藍群青(11番)のみです。
幅10cmくらいの刷毛で、塗ってはぼかし、塗ってはぼかしを繰り返して、少しずつ重ねて行きます。
月だけは、白亜(石灰岩が風化した土)で下塗りした後、方解末(11番+13番)に少量の藍群青を混ぜたものをかけています。

私がイメージしている画面の基本はできてきたように思います。
が、トロっとしたような、ホワッとしたような、月の光を浴びた聖堂の雰囲気はまだ不足しています。
ここまでは、シエナのドゥオーモの夜景であることを説明することが主体でした。
ここからは、私の心の内にある聖堂の姿を描き出していかなければなりません。


今回は、予定外にシエナに時間を費やしてしまいましたので
バラとタンポポの小品は、また次回に。

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個展のご案内・10 長野・伊那市 ベルシャイン伊那店 + 新開志保展のご案内(DM画像追加)

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まずは私の個展のご案内から。

長野県伊那市のベルシャイン伊那店にて、2回目の個展をさせていただきます。
お忙しい時期とは存じますが、何卒ご高覧賜りますようお願い申し上げます。


二木一郎日本画展

10月3日(木)〜8日(火)
ベルシャイン伊那店 2階 文化ホール
〒396-8501 長野県伊那市日影435-1  TEL 0265-76-2111
(JR伊那北駅より約1.3km、JR伊那市駅より約1.5km)

10:00〜18:00(最終日は15:00まで)
入場無料

ベルシャイン伊那店ホームページ
http://www.nishizawa.co.jp/bell_ina.php

私は、5日(土)・6日(日)のみ会場におります。



今回は35点余の展示を予定しています。
その内、新作は5点。
日本画2点と、岩絵の具やパステルなどを併用した混合技法が3点です。

新作の5点をご紹介します。


■日本画



 余韻(よいん)  6号M





 一輪(いちりん)  6号P



■混合技法(岩絵の具+パステル+色鉛筆)



 高遠遠望(たかとうえんぼう)  6号F  長野県・高遠城址公園





 桜雲(おううん)  4号F  長野県・高遠城址公園





 烟火(えんか)  3号F  長野県・諏訪湖



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続きまして、新開志保展のご案内です。

イタリア在住の友人の画家、新開志保さんの個展が迫ってきました!
長野市出身でイタリア在住20数年の新開さんは、それ以前に暮らしておられた広島などで何度か個展を開催されていますが
昨年のイタリアでの初個展に続き、今回は生まれ故郷長野県での初個展となります。
何卒ご高覧賜りますよう、私からもご案内申し上げます。

ペンと水彩と色鉛筆による、イタリアの風景やワンちゃん・猫ちゃんを中心にした30点が出品されます。
その内の27点はすでに到着しており、私も初めて実物を拝見しました。

す、す、凄いぃぃぃ〜!!

私の感想は、この一言に尽きます!
新開さんの作品はブログを通じてずっと拝見してきましたが
画像では本当の良さは分からない!ことを改めて実感しました。
ブログで新開さんの作品をご存知の方も、是非1度実物をご覧いただきたいと思います。
新開さんの日常に満ちあふれる明るい光を画面の隅々にまで溶け込ませたような
緻密で繊細に描き上げられた、重厚かつ透明感のある作品群です。


さて、作品とは初対面を果たしましたが、新開さんご本人との初対面も間もなく!
やっぱり最初の挨拶はイタリア式にホッペとホッペをくっつけて? うぎゃぁ〜! 恥ずかしい〜!
純真無垢な日本男児としましては、顔から火が出て失神しそう!
はい、ホッペをピカピカに磨き上げてお待ちしておりま〜す!



新開志保展

10月12日(土)〜20日(日)
ギャラリー橋田
〒392-0017 長野県諏訪市城南1−2550
TEL 0266-52-3420 FAX 0266-52-3653
10:00〜18:00
入場無料

ギャラリー橋田ホームページ
http://www.hashida.jp

新開さんは毎日会場にいらっしゃいます


  



新開さんの作品が掲載されているブログはこちら。
水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村

そしてもう一つ、イタリア各地のご案内のブログ。
イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!

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新開志保展のご案内

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最初に、私の個展の御礼から。

長野県伊那市のベルシャイン伊那店での私の個展は10月8日に終了いたしました。
ご来場いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
また次回以降の展覧会にもご来場いただけますよう、謹んでお願い申し上げます。


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この記事は、前回の記事より「新開志保展のご案内」を抜粋したものですが
新たな情報も加えて、多少加筆修正しています。


イタリア在住の友人の画家、新開志保さんの個展をご案内いたします。

長野市出身でイタリア在住20数年の新開さんは、それ以前に暮らしておられた広島などで何度か個展を開催されていますが
昨年のイタリアでの初個展に続き、今回は生まれ故郷長野県での初個展となります。
何卒ご高覧賜りますよう、私からもご案内申し上げます。

ペンと水彩と色鉛筆による、イタリアの風景やワンちゃん・猫ちゃんを中心にした30点が出品されます。
私も1ヶ月ほど前に送られて来た実物を拝見したばかりです。

す、す、凄いぃぃぃ〜!!

私の感想は、この一言に尽きます!
新開さんの日常に満ちあふれる明るい光を画面の隅々にまで溶け込ませたような
緻密で繊細に描き上げられた、重厚かつ透明感のある作品群です。
新開さんの作品はブログを通じてずっと拝見してきましたが
画像では本当の良さは分からない!ことを改めて実感しました。
ブログで新開さんの作品をご存知の方も、是非1度実物をご覧いただきたいと思います。


さて、新開さんは10月6日に来日されました!
成田空港に到着後私の個展会場に直行してくださり、ご本人と悲願の初対面を果たしましたぁ!! きゃっほ〜!!
4年ほどメールでのお付き合いが続いていますし、昨年はテレビ番組でも取り上げられましたので、初めてお会いしたという気がしませんでした。
幼い頃に生き別れた姉に何十年かぶりで再会したような気分かな? ぎゃはは!
想像していた以上に素敵なお姉様でした!!

素敵なお姉様なのですが、来日早々成田空港で大ドジをしでかしまして…。
まあ、それにつきましては本人が帰国後に告白・懺悔の記事をブログに掲載されると思いますので、私が先にバラすのはやめておきます。
どんな大ドジだったのか早く知りたい方は、どうぞ会場にお越しいただいて本人の口から直にお聞きください!

個展のために来日した新開さんではありますが、しかし、頭の中から絵のことは綺麗サッパリ消えているようです。
その代わり頭の中を占拠しているのは、ずばり日本食!
あれも食べたい! これも食べたい! 食べて、食べて、食べまくるぞぉ!!…とのことです。
それが何より証拠には、新開さんのブログをご覧になれば一目瞭然。

イタリア・絵に描ける珠玉の町・村 ・ そしてもろもろ!

そりゃあね、久しぶりの日本ですから心情はお察し致しますがねぇ…。
丸々と肥えて帰国されるのは一向にかまいませんが、お腹がピーピーゴロゴロにならないようにしてくださいね!




新開志保展

10月12日(土)〜20日(日)
ギャラリー橋田
〒392-0017 長野県諏訪市城南1−2550
TEL 0266-52-3420 FAX 0266-52-3653
10:00〜18:00
入場無料

ギャラリー橋田ホームページ
http://www.hashida.jp

新開さんは毎日会場にいらっしゃいます


  


新開さんの作品が掲載されているブログはこちら。
水彩画分室 ・ イタリア・絵に描ける珠玉の町、村



長野県にお住まいの皆様へ!

長野朝日放送のテレビ番組で、再び新開さんが紹介されます。
新開さんは昨年の10月に放送された 「おぉ!信州人」北イタリアでブラボーな出会い旅 で取り上げられましたが
今回は、その番組の姉妹番組と言える短編番組「週刊・おぉ!信州人」に再び登場されます。
先日、個展会場となる諏訪市のギャラリー橋田にて収録が行われました。
そして再び私も金魚のフンのように登場する予定です、ぎゃはは!
ただし、3分間という短い放送時間ですので、どうぞお見逃しなく!

長野朝日放送「週刊・おぉ!信州人」
10月15日(火) 夜6時55分〜6時59分


-------------- Ichiro Futatsugi.■

へへへ … やってしまいましたぁ!!

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まずは、新開志保展の御礼から。

イタリア在住の友人の画家 新開志保さんの個展は10月20日に終了いたしました。
9日間の会期は、おかげさまで大成功と言える結果を残して幕を閉じることができました。
お忙しい中をご来場いただきました皆様には、私からも、心より御礼申し上げます。





おそらく、2・3年後に再び新開さんは作品を携えて来日されることと思います。
その折には、是非とも、より多くの皆様のご来場を賜りますようにお願い申し上げます。

ありがとうございました!!




個展会場での新開さん。
右にいるのは、どこぞの馬の骨です。



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さて、新開さんは23日の午前11時15分成田空港発のオーストリア航空機で帰国されました。
ウィーンで乗り継ぎ、ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港に降り、無事コネリアーノの自宅に戻られたのでした。
早々にご自分のブログで個展の報告記事をアップされているのですが…
ゲ、ゲェ〜!! 成田空港で私がしでかした大ドジのことがバラされているではないですかぁ!!
あっちゃ〜! バラしたなぁ!!
私も正直に告白しようと思っていたのに、先を越されたぁ!!
新開さんがご自分のブログで、私の予告通り、来日早々の成田空港での大ドジを告白されていますが
ついでに、道連れとばかりに私の大ドジをバラしてしまっているのです!

http://italiashio.exblog.jp/19871424/


では、その一部始終をご報告いたします。

私が車で新開さんを成田空港までお送りし、すぐに搭乗手続きを済ませました。
余裕を持って到着しましたので、出発までにはかなり時間がありました。

新開さん「へば、お茶すっか?」
私「へい!お姉様。ゴチになりやす」

私たちはスターバックスに入りました。
私は新開さんが持ち帰る2点の作品が入った包みを足元に滑り込ませました。
2人してカップッチーノを頼んだのですが…

私「スタバは他のカフェより高いけど美味しいんだよ」
新開さん「ぬぁにぃ〜? これがぁ〜?」

カップッチーノの本場イタリアに20年以上暮らされていて
血の半分がワインとオリーブオイルに変化してしまった人の批評は手厳しいのです。

私「展望デッキに行って飛行機を見ようよ」
新開さん「おう、よかとね!」

私は時々飛行機を見に成田に来るのですが、新開さんも飛行機がお好きだそうです。
私は作品の入った包みを提げて、2人してエスカレーターで上の階の展望デッキへ。
しばらく離着陸や駐機場の様子を眺めていたのですが、ふと私は異変に気付いたのです。

私「あれ?!」
新開さん「どうしたん?」
私「バッグがない!!」
新開さん「な、何じゃとぉ〜〜!!」

財布や運転免許証などが入ったショルダーバッグを肩にかけて…いないのです!!

私「スタバだ! スタバに忘れた!」
新開さん「行けぇ〜! 走れぇ〜! 飛んで行けぇ〜、スタバにぃ〜!!」

顔面蒼白、意識朦朧、前後不覚、支離滅裂。
行かなきゃ!行かなきゃ!スタバに行かなきゃ!お願いだから無事見つかってくれぇ〜!!
ん? ところで、スタバってどこにあったっけ?
最近めっきり方向感覚と記憶力が鈍っている頭をフル回転させて、エスカレーターで上ってきたことを思い出し
近くのエスカレーターで下に降りたのですが、視界の範囲にスタバは見えず。
新開さんが、すかさず近くのテナントでスタバの位置を聞き出してくださり、私はその方向へ猛ダッシュ!

あった! あったぁ〜!! バッグは私の座っていた椅子の下に転がっておりました。
中身も全部無事でしたぁ!! やったぁ!! ああ、良かった〜!!

新開さん「良かった! 良かった! 無事に戻って良かったよぉ〜!!」
私「うん、うん、ありがとう、ありがとう〜!!」

私たちは抱き合って喜びました。
新開さんも嬉しそうに満面の笑顔をされています。

しかし…
その笑顔の裏にあるものを私は察知したのです。
新開さんの笑顔には2つの意味が込められていたのです。
もちろん、私のバッグが無事に戻ったことを喜んでくれているのですが、もう一つは…

『ひひひ、私のドジを散々笑ってくれたけど、所詮、君も同じ穴のムジナなんだよぉ〜だ、ぎゃはは!』

常日頃から新開さんの数々のドジ話を聞いて笑い転げていた私でしたので
笑顔の奥から、そんな声が聞こえてきたような気がしてゾク〜ッとしたのでした。


…以上が事の顛末なのですが、セリフなどには多少の脚色を加えていることをお断りしておきます。

来日早々に新開さんが大ドジ。
最終日には私が大ドジ。
しかも、場所も同じ成田空港で。
はい、私たちは、これほどまでに共通点の多い、気の合う仲良しなので〜す。


成田空港には魔物が潜んでいますので、皆様、充分にご注意召されよ!
きっと、空港建設で住処を追われたタヌキかキツネが人間に復讐しているのです。
え? タヌキに化かされるようなヤツは、お前たちくらいのものですって?

 

では新開さんの個展成功を祝して、最後に、とっておきの一枚を!
諏訪大社上社本宮の参道での、私の会心のショットです。
掲載の許可はもらいましたよね?
かなり嫌がっていましたけど、ぎゃはは!



新開さん、トコロテン美味しいですか?
久しぶりの日本を満喫されましたか?


Sorellona shiho !  Ci vediamo ! !


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2013年 10月31日 木曜日

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ここのところ「仕事場」の記事が途絶えておりました。
途絶えたとは言いましても「仕事場」の記事に限ってのことでして
月一ブログと揶揄される当ブログにしては、今月の更新はこれで3回目という快挙!
凄い! 月一ブログの汚名返上か?!

前回は8月3日でしたので、「いつまでサボっとるんだ?」という声が聞こえてきそうです。
言い訳をさせていただきますと、9月半ばまでは個展用の小品5点に集中しておりましたし
10月は私の個展、新開さんの個展と、イベントが目白押しでしたので、予定通りの休止状態。
しかし、その合間にもチョコチョコとは手を入れ続けていたのです。
とりあえず今回は、まだ生きてるよ〜!というご報告がてらの更新というところです。



■シエナのドゥオーモの夜景(20号)



前回8月3日の状態です。






これが今日の状態です。

一見して大きな変化はありません。
前回とは色調が少し違いますが、今回の方が実際の色に近いです。

主に薔薇窓内部、月や雲の調整をしていました。
前回の状態は、まだ全体に平板な印象がありましたので
薔薇窓に映る夜空と、聖堂本体とのメリハリを出すことを主眼として進めています。
物の形・色調・全体の諧調は大筋で出来ていると思いますので
今後は細部の調整をしながら、徐々に仕上げていきます。

月の左下の部分は形が歪んで見えますので要修正ですね。
聖人などが彫られた壁も、まだスッキリ見えるとは言えません。
一番彩度の高い青も少し浮いて見えますね。



さて、今回はここまで…と思ったのですが
月間3回更新の快挙を記念して(?)シエナのドゥオーモの名前について少し書いてみようと思います。

普段、日本では「シエナのドゥオーモ」と呼ばれてばかりで(イタリア語では Duomo di Siena )
私の知る限り、本当の名前を紹介されることはほとんどなかったように思います。
フィレンツェのドゥオーモでしたら「花の聖母教会」という訳語をよく聞きますし
サンタ・マリーア・デル・フィオーレというイタリア語の名前もしばしば紹介されます。
ではシエナは?と聞かれて答えられる人はいらっしゃいますか?

シエナのドゥオーモの名前はサンタ・マリーア・アッスンタであると、つい最近、そこまでは聞いていましたので
それならば、イタリア語での正式名称は Cattedrale di Santa Maria Assunta(カッテドゥラーレ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ)になるはずだと思っていたのです、が…。

ははは、イタリア語を書くのは気が引けるなぁ…。
なぜって、イタリア在住22年の大目付がネットの向こうで目を光らせていますからねぇ。
すっ飛んで来てダメ出しされそうだなぁ…と思いましたので
事前に大目付にお伺いを立て、ご教示を賜ってから書いております、はい。

名前を確認するためイタリア語版ウィキペディアで調べてみたところ Cattedrale metropolitana di Santa Maria Assunta
カッテドゥラーレ・メトゥロポリターナ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタと載っておりました。
あれ? 予想とはちょっと違う!

カッテドゥラーレとはカトリックでの司教座聖堂、つまり教区を統括する教区長(司教や大司教)が座る席(司教座)のある教会ということで
要するに、司教がいらっしゃるのに相応しい格式を持った教会ということなのです。(英語ではカテドラルと言いますね)
簡単に言えば教区の中央教会ということで、ほとんどが所在地の街の中央教会(ドゥオーモ)でもあります。

サンタ・マリーア・アッスンタというのは聖母被昇天を意味します。
聖母被昇天とはカトリックの解釈で、聖母マリアは最期に肉体を保ったまま天に引き上げられたというものです。

では、メトゥロポリターナとは何?
私の頭の中のイタリア語辞書には「地下鉄」という意味しか載っていません。
聖母被昇天地下鉄大聖堂? そんなバカなぁ!
何ともトンチンカンな私を見かねた大目付がイタリア語版ウィキを見て下さり
おっしゃるには、都市部の司教達の本拠地と言えるような格式を意味する名称であろうと。
都市? そういえばニューヨークにメトロポリタン美術館ってのがありましたねぇ。
あれは地下鉄美術館じゃなくて、街の美術館というような意味だものねぇ。
シエナは、トスカーナ州シエナ県の県都でもある大きな街なのです。
つまり、都市と言えるような規模の街にあり、複数の司教座聖堂を束ねる地位にある教会を表す言葉なのでしょうね。


その後、日本語版ウィキペディアでドゥオーモ一覧というものを見つけたのですが
確かに大きな街のドゥオーモには Cattedrale metropolitana というのがいくつかありました。
でも、ドゥオーモは必ずしも司教座聖堂とは限りませんので、いろいろな名前があるのです。

シエナの少し北にあり、クリスタルグラスで知られる街コッレ・ディ・ヴァル・デルザのは Concattedrale dei Santi Alberto e Marziale
コンカッテドゥラーレ・デイ・サンティ・アルベルト・エ・マルツィアーレ
コンカッテドゥラーレとは、共同聖堂という意味があるようです。

塔の街として有名なサン・ジミニャーノのは Collegiata di Santa Maria Assunta
コッレジャータ・ディ・サンタ・マリーア・アッスンタ
コッレジャータにも、共同教会・合同教会という意味があるようですが(大学の、という意味も)
コンカッテドゥラーレより格下ということなのでしょうか?

水の都ヴェネツィアのは、あまりにも有名なビザンティン建築であるサン・マルコ聖堂なのですが
Basilica Cattedrale Patriarcale Metropolitana Primaziale di San Marco Evangelista という長〜い名前。
あまりにも長過ぎて、カタカナに直すのも面倒臭い〜!
ほとんど寿限無寿限無の世界ですねぇ。
ですから普段は Basilica di San Marco と略称されています。
長い名前の冒頭に Cattedrale ではなくて Basilica という文字があるのは
永いこと司教座が置かれていなかった歴史を表しているのだと思われます。


…と言うようなことで、今回は少し横道に逸れまして
教会の名前を題材にして、実用的とは少しも言えないイタリア語のお勉強をしてみました!
アイ・カピート?(分かりましたか?)


ps

「この場合、アイ・カピート?ではなくて、アヴェーテ・カピート?が正しいぞよ」との大目付のお言葉が…。
あっちゃ〜! またやってしもうたぁ!

-------------- Ichiro Futatsugi.■

2013年 11月19日 火曜日

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Do you remember ?

この画像を掲載したのは2011年12月20日のことでした。



モデルになったのは、イタリア・アッシジのサント・ステーファノ聖堂。

描き始めたのは2010年の11月下旬!だったのですが、恐ろしいことに、いまだに仕上がっていないのです!

当初は夜明け直前の夜景として10号で描き始めたのですが
鉛筆の下描きができた段階で15号に変更してほしいと依頼者からの注文が。
せっかく下描きができたのですから、消して別のモチーフに変えてしまうのももったいないなと
状況設定を変えて描き続けることにしたのでした。



2010年12月初めの状態。(10号)
元々は聖堂を少し見下ろす構図で、背後にウンブリアの野が広がっていたのですが
若干見上げる構図に変更し、背後は空だけにしました。





2011年6月上旬の状態。(10号)

満天の星空にして、可能な限り明るく楽しい夜景にしてみようと。
星が針葉樹にまとわりつくように煌めいて、天然のクリスマスツリーのような画面にしようと!

2011年の1月から3月にかけては身の回りで大事件が続きましたので
思い切った気分転換を計ってみたかったのです。

ところが…

しかし一向に仕上がらず、何かがピンと来ない状態が続き、一進一退を繰り返すばかり。
途中で下部をカットし、10号から8号に変更。
それでも、出口の見えないトンネルから脱出するヒントは得られないまま時間ばかりが過ぎて行きました。




これが今月6日の状態。(8号)

どうにもならない閉塞感がそのまま画面に現れているかのような重苦しい画面です。
それとも、こういう画面になってしまったから閉塞感に苛まれていると言った方がいいでしょうか…。
ついに、このまま描き続けることは無理と判断!
さりとて没にするのも悔しいので、最後の手段を講じました。

風呂場に持って行き、画面を洗ってみたのです。
ぬるま湯を刷毛で画面に塗布し、少し置いてから刷毛で画面を撫で回します。
ある程度絵の具が取れてきたところで、シャワーをかけて洗い流します。
一旦乾かし、再度繰り返します。

しかしながら、日本画の展色剤(接着剤)であるニカワは水溶性ではあるのですが
乾燥した後、ある程度の時間が経過すると耐水性を帯びてくるのです。
刷毛で洗う作業を2〜3度繰り返しましたが、落ちたのは比較的最近手を入れた表層のみ。
ブラシで擦るようにすれば、かなり洗い落とすことはできるのですが
斑になったり、勢い余って紙を痛めてしまったりする可能性があります。

そこで今度は、乾燥させた後、サンドペーパーで軽く削り落とすことにしました。
ペーパーの粗さは300番程度にし、削り過ぎないように軽く擦ります。




洗ってサンドペーパーをかけた状態。
予定したほどには落ちませんでしたが、この状態から再スタートすることにしました。





現在の状況です。


今、改めて感じていることは、やはり私も常識的な人間だったなぁということです。
「満天の星が針葉樹に絡み付くように煌めく、天然のクリスマスツリーのような画面に」という方針の元
私にとっては、いつもより非現実的な要素の強い風変わりな作品になる予定でした。
しかし次第に常識に囚われて、思い切った決断ができなくなった結果なのだと思います。
もちろん、非常識で奇想天外が良いということではありません。
この作品の最も重要な要素を研ぎすまし、強調し、徹底できなかったことが
常識的な画面に陥った原因だと考えています。
常識的な画面にならないようにするということは、結局、私らしい画面にするということなのでしょうね。

さあ、あと1ヶ月あまりでクリスマスです!


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毎度お馴染みイタリアのshinkaiさんが、ご自身のブログで私のことを書いてくださっています!
先月来日された際、すぐに私の個展に来てくださり初めて実物をご覧いただきましたが、その感想などを書かれています。
どこぞの月一ブログとは違って、きっちりと定期的に更新されていますので
すでに最新記事ではなくなっていますが、どうぞご覧いただきたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/suisaishiho/e/d77540a46929f7c4e763547f57fd7571




そして作家仲間の個展のご案内を一つ。



彫刻家 林遼(はやし りょう)君は、1985年長野県諏訪市生まれの若い作家。
いくつかの展覧会で受賞するなど、新進気鋭の作家です。

林君のホームページはこちら!
http://ryohayashi.net

そして、彼のブログを覗いてみたら、何と私の写真が載っている!
http://blog.ryohayashi.net

「林遼ヴィオラをひく」というタイトルの記事ですが、写真に写っているのは私であります!

先日、長野県諏訪市での私の日本画教室の折り、ちょうど林君が立ち寄ってくれたのですが
生徒の1人がヴィオラを持ってきていたので、それを少しだけ弾かせてもらったのです。

弾いてみると(いや、私の場合は鳴らしたというレベル)意外なほど大きな音がするのですね。
そして、傍で聴いているのと少し違う響きがあるのです。

先日、テレビでストラド(アントーニオ・ストゥラディヴァーリの作った楽器)の秘密を探るという番組をやっていたのですが
音楽のプロであっても、音だけ聴いて、それがストラドなのかどうかを判定するのは相当難しいようです。
しかし、演奏家はストラドと別の楽器では音色が全然違うと口を揃えます。
ホントなのぉ〜?と、半信半疑だったのです、が…。
実際に自分で鳴らしてみて、演奏家が聴いている音と、聴衆が聴いている音とは異なることが分かりました。
楽器の持つ本当の音色を理解するためには自分で弾いてみるしかない!と、そんな気がしました。

実は私、ヴァイオリンを作ってみたいという、密かな、漠然とした願望があるのです。
何とも美しく、そして奇妙で妖しい姿をしていますからね、ヴァイオリンは。

うん、作ってみたら21世紀のストラドと言われるかもしれないなぁ。
製作依頼が殺到したらどうしよう。
絵描きなんかやめて、ヴァイオリン製作者に転向しようかな? ぎゃはは!

-------------- Ichiro Futatsugi.■

2014年 2月7日 金曜日

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イタリアのトゥスカーニアという街をご存知ですか?

トスカーナ Toscana ではありませんぞ、トゥスカーニア Tuscania です。
よく似た言葉ですのでトスカーナ州に関係あるのか?と思ってしまいますが、トスカーナ州ではなく、その南のラツィオ州にあります。
首都ローマのあるラツィオ州の北部、古都ヴィテルボから真西に30キロほどのところにあります。
この一帯は古代ローマ以前からエトルスク文化が花開いた場所で、有名なタルクゥイニアも50キロほど離れたところにあります。


今年の第1作として、このトゥスカーニアにある教会を描いています。
この街の郊外に二つのロマネスク教会が建っています。
サン・ピエトロ聖堂と、サンタ・マリーア・マッジョーレ聖堂です。
そのサン・ピエトロ聖堂の正面壁を描いているのです。

トゥスカーニアのサン・ピエトロ聖堂と言われても姿を思い浮かべることのできる人は少ないと思います。
私もこの街のこと、この聖堂のことを知ったのは、ほんの数年前のことでした。
映画ファンなら、特に撮影地に関心をお持ちの方なら、あるいはピンと来る方がいらっしゃるかもしれません。
この聖堂は、今までに幾つかの映画に登場したことがあるのです。
一例を挙げますと、アンドレイ・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』の冒頭で
主人公のロシア人作家ゴルチャコフの通訳である女性エウジェニアが
深い霧の夜、とある礼拝堂の祭壇に描かれた絵を見に行くシーンがあります。
柱の林立する礼拝堂では、地元の女性達が儀式を執り行っています。
たくさんのロウソクの灯りの向こうにぼんやりと浮かび上がっている祭壇の絵は
ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画「マドンナ・デル・パルト(懐妊の聖母)」でした。
この礼拝堂シーンの撮影は、サン・ピエトロ聖堂にある地下礼拝堂(クリュプタ)で行われたのです。
しかし「マドンナ・デル・パルト」は実際にはここにはなく、あくまで映画の中の設定です。


最近の傾向として、私は一度も実物を目にしたことのないものを描くことが多くなりました。
トゥスカーニアのサン・ピエトロ聖堂も一度も行ったことがないどころか、聞いたことさえありませんでした。
一昨年、イタリア在住の友人shinkaiさんがトゥスカーニアに行かれ、ブログで紹介されたのを見て初めて知ったのです。

ブログに掲載されたサン・ピエトロ聖堂の正面壁を一目見て、あ!っと息を呑みました。
何に息を呑んだのか、とりあえずshinkaiさんの記事をご覧いただきたいと思います。

「古寺巡礼 サン・ピエトロ聖堂 ・ トゥスカーニア n.2」
http://italiashio.exblog.jp/16812882/


正面壁の白い大理石部分は、見事なロマネスク様式の彫刻が施されています。
彫刻で彩られた聖堂はあまたありますが、多くはゴシック期以降のもの。
ロマネスク期では一部だけに彫刻が配置されたものがほとんどのようです。
ロマネスクの彫刻で彩られた正面壁のある聖堂と言えば、ウンブリア州スポレート郊外のサン・ピエトロ聖堂も有名です。
こちらもshinkaiさんのブログで紹介されています。

「n.2 古寺巡礼  サン・ピエトロ教会  スポレート」
http://italiashio.exblog.jp/16476739/



さて、この正面壁を描くのはいいのですが…かなり面倒です。
いつも以上に手間暇がかかるのは最初から目に見えています。
描くのが面倒なのは彫刻だけではありません。
最大の難関は薔薇窓です。
しかも真っ正面から描くのならいざ知らず、下から見上げた構図で描いているのです。
見上げていますから薔薇窓は楕円形に見えているのです。
斜めから見た薔薇窓を描くなんて正気の沙汰ではない!と思いつつも
描きたいのであれば、ひたすら描くしかない!と自分に言聞かせながら描いています。

案の定、描き始めから修正に次ぐ修正の日々を送っています。
基本的に左右・上下対称の幾何形体ですので、あちらを立てればこちらが立たず…というシーソーゲームの連続です。
私は人並みの集中力は持っているつもりですが、反復する幾何形体は大の苦手なのです。
同じ形が繰り返しているものは、2・3個描くと集中力が途切れて「面倒臭い!飽きた!」と文句を言う悪い癖があるのです。
できることなら誰かに手伝ってほしいものですぅ〜!
アシスタントのアルバイトしませんかぁ?




50号P(横116.7cm 、縦 80.3cm)の大きさで描いていますが、縦は75cmにトリミングする予定です。
画像の上部に薄らと横線が見えると思いますが、ここが下から75cmの位置です。




トリミングする範囲をグレーにしてみました。
最上部の三角形の壁には石積み以外、窓も彫刻も何もないので
少しトリミングしないと、最上部が退屈な印象を与える可能性があります。
しかし、石積みを描けば印象が変わりますので、一応このまま描き進めて行き
様子を見ながら最終的なトリミング位置を決めるつもりでいます。

この画像、全体が若干右下がりに感じますね。
実物では特に問題はありませんので、撮影後、長方形に補正する際にミスったのかもしれません。
それから、左右の側廊の屋根の傾斜が強過ぎますね。
特に右の傾斜が強く、これも右下がりに感じる要因の一つかもしれません。


私は今まで、作品の90%くらいは福井製の雲肌麻紙を使ってきましたが
今回は初めて高知製の「土佐麻紙」という紙を使用しています。
しかも表を使わず「裏使い」をしています。
土佐麻紙の厚口は、一般の越前麻紙に比べると1.5倍ほどの厚みがあり
裏面は、初めて目にするとビックリするほど凸凹しています。
まるで水彩用紙のようです。
この凸凹が、私のイメージするマチエールを作るために役立ちそうだと使用に踏み切りました。
しかし何ぶん初めてのことですので、イメージ通り行くかどうか描いてみないと分かりません。


この下描きは、まだ終わったわけではありません。
この程度描いておけば彩色に移れないことはないのですが、今回はできるだけ鉛筆で描き込むつもりです。
まだしばらく時間がかかりそうです。

-------------- Ichiro Futatsugi.■
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