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Channel: 風色明媚
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7月31日 日曜日

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50号の「岩上の街」(仮題)の下図作成を続けることにしました。
下図は前回までで終わりにして本番の50号に移るつもりでしたが
もう少し私の抱いているイメージを具体化しておきたくなったのです。

この作品には描こうと決めた当初から、はっきりとした方針がありました。
夜景にする!
そのためには、鉛筆の下図だけでは少し不安になったのです。


それでは、ここからは私が普段しているようにパソコンで画像処理をしながら検討していきます。
私がスケッチや写真をデジタル加工して下図代わりにしていることは以前にも紹介しました。
歳とともに硬くなる脳ミソを少しでも柔軟に保つために刺激を与え
新たな発見を促すためにしているのです。
デジタル加工するとは言っても、SF映画のような画面を創ろうとしているわけではありません。
あくまで、描き始める前から頭にあった完成イメージを視覚化し煮詰めていくことが目的です。


これが前回の状態です。
これを夜景化するのですが、その前に少しだけ修正を加えます。
それが下の図です。


色合いの違いは関係ありません。
一見しただけでは、どこが変わったのかわからないと思います。
街並みの両端を少しだけ変更しています。
左端の建物の形を変え、右端の木立を少し下げています。


これは崖を引き伸ばして高くしてみたものです。
こういう構図も面白いのですが、今回の私のイメージとは合わないようで却下です。



では、ここから夜景化する作業を始めます。
まずは階調を反転してみます。



下図を描いていて、昼間の情景も捨てがたいと迷いが出ましたが
これを見ると、やはり私には夜景の方がしっくりきます。

これは単純に階調を反転しているだけですので、見るからにネガそのものです。
独特の迫力はありますが、夜景と言うには違和感があります。
そこでこれをベースにして、さらに加工していきます。


夜景案A

鐘楼を明るくして、崖にモヤのようなボカシを入れただけのものです。
街並みや崖は、まったく手をつけていません。
それでも、これだけで私の当初のイメージにだいぶ近づいてきました。



夜景案B

反転したものと鉛筆の下図を合成して、適当に窓明かりを入れてみたものです。
街並みと崖は自然な感じにはなりましたが、反転したものと比べて平板で迫力はありません。
しかし全体としては、これも悪くはありません。
A案とB案を足して2で割ったようなものが良いようです。


さて、これで形や雰囲気は目途が立ちました。
色彩はモノクロベースで若干の色味を加えるという基本方針をすでに決めています。
色彩を検討するための下図は必要ないと思いましたが
ちょっとお遊びのようなことをしてみました。


これは夜景案Aを和紙にカラー印刷設定でプリントアウトし
筆に水だけを含ませて、印刷されたインクを溶かして描いたものです。
一般的な家庭用インクジェットプリンタは染料インクで、水に弱く溶けて滲んでしまいます。
その性質を利用して水彩画風にしてみました。
細部は予想通りほとんど消えてしまいましたが、全体の色調は私のイメージに近いものができました。
これは偶然にできたものですが、偶然にできたものでも使えるものは使うというのが私のやり方です。
本番の彩色では、これも参考にしていきます。


これで、おおよその方針が定まりました。
鉛筆の下図では空が少し広すぎるように感じましたが、構図もこれで大丈夫のようです。
本番の50号では、A案とB案の良い所を取るような感じで描いていきます。
もちろん街並みの形や崖の形はまだ原案に過ぎませんので
今後も実在のものを参考にしながら更に修正していきます。

-------------- Ichiro Futatsugi.■


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