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Channel: 風色明媚
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ジークレー用にA3プリンタを導入

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以前にも何度か記事にしていますが、改めてジークレーの説明から。
(過去の記事へのリンクは最後尾にあります)


ジークレー(ジークリー)とは、デジタル・プリントのことで
インクジェット・プリンタで印刷したものを指します。

例えば、たまにしか展示できない貴重な文化財(絵画など)のレプリカを作成する場合
かつては完全手描きによる模写(現状模写)が主流でした。
印刷技術を使う場合には、コロタイプ印刷、あるいはスキャン・データからの印刷、という手法を用いますが
印刷では正確な色調やマチエールを再現できないため、手彩色によって補うことになります。

法隆寺金堂内部の壁に嵌め込まれている壁画の模写や
高松塚古墳の壁画の模写などは、コロタイプ印刷の上に彩色しています。

現在は、高精細のスキャン・データから高画質のジークレー印刷をし、その上に手彩色する手法が増えているようです。

ジークレーは、文化財のレプリカのみならず、版画作品の制作手段に
また、パソコンで作業するデザイナーやイラストレーターなどが展示用作品を制作する場合など、広く使われています。

私は2014年から、ジークレーを下地にしたパステル画の制作を始めましたが
印刷したものをそのまま作品とする場合とは異なり、必ず手彩色を施すことを前提にしていますので
高精細・高画質の印刷である必要はなく、ずっと普通のA4プリンタを使ってきました。

ただ、A4ですと、ギリギリで2号程度のサイズに限定されてしまいます。
そのため、もっぱらサムホールのサイズで制作してきました。
しかし、やはり作品によっては、もう少し大きいサイズに描きたい欲求が出てきます。

A3ですと、4号より少し大きいサイズまで可能ですので
一時は、A3のプリンタを導入しようかどうしようか散々悩んだものでした。

先日、ジークレーの下地で初めて日本画を制作する機会がありましたが(前々回の記事)
プリンタはA4でしたので、2号程度のサイズでした。
それを再掲載します。




「朝影」 ジークレー下地の日本画 2号程度 24.8 × 17.3 cm イタリア・ヴェネツィアの朝


では、再掲載したついでに、印刷に使用した画像原稿をご覧いただきます。



現場の写真数点をベースに、画像編集ソフトで作成したものです。
彩色によって形が消えやすいため強調し、輪郭を浮き立たせてあります。
仕上がりがブルー系ですので、あえて暖色系にしてみました。



さて、思いがけず、数日前に友人から「新品のA3プリンタをお譲りしますが…」と打診があり
少し迷った末に譲り受けることにしました。
ここのところジークレー下地で制作する機会はめっきり減っていましたが
やり残したこともあり、新たに試してみたいことも出てきたため
心残りが無いように、思い切って導入したのです。

家電量販店で指をくわえて眺めていたA3のプリンタが目の前に来た!

でかい! 重い! でも嬉しいぃぃぃ〜〜〜!

虫眼鏡で取説を覗き込みながら、何箇所かの説明がすぐに理解できずにブツブツ文句を言いながら
ようやくセットアップを終え、いざ!テスト印刷を!





使用した画像は、8年ほど前の作品「シエナ派の天使(8号)」の
1回目の彩色を撮影した写真から、上半分ほどをトリミングしたものです。
(因みに、このブログの左サイドバーの上の方に、モデルにした彫刻の全身写真があります)

言うまでもなく、上がA3、下がA4です。
言うまでもなく、A3はA4の倍の面積があります。

A3の方は、画像の長辺を33.4cm(4号の長辺)に指定し
A4の方は、22.7cm(サムホールの長辺)に指定して印刷しています。
両者で色調が少し異なるのは、違うメーカーの紙を使ったからだと思います。

わぉ〜! でかい!

ご存知のように、4号というサイズは、お世辞にも大きいと言えるものではありませんが
A4に印刷したサムホールばかりを見慣れた目には、テンションが上がりまくるほど大きく見えたのです。


今回のテスト印刷は初回ということで、紙は普通紙より少し上等のプリンタ用紙を使いました。
次は、本番で使用する紙(和紙、もしくは絵画用の洋紙)でテストする必要があります。
その結果は、ジークレー下地の新たな作品が仕上がった時にご紹介しようと思います。

うひひ、楽しみぃ〜!!



(付記)

ジークレー下地の作品に関する過去の記事はこちら。
いずれも記事の後半に書かれています。

技法や手順などについては
https://blog.goo.ne.jp/futa2560/e/0fda84655bf0c3ba862c69d00ed089be


具体的な作例については
https://blog.goo.ne.jp/futa2560/e/9433473c8f7b70ae627c2306c4cdc572


------------- Ichiro Futatsugi.■




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