2011年、アメリカNBCテレビが主催する全米ア・カペラコンテスト「ザ・シング・オフ The Sing Off 」で優勝し
メジャーデビューを果たしたア・カペラ5人組「ペンタトニックス」の名を
一躍世界レベルに押し上げたのが「ダフト・パンク Daft Punk」というカヴァー曲。
2013年の11月にYou Tubeにアップされて以降、視聴回数は1億8千7百万回を超え、その数は現在も着実に伸び続けています。
因に、ペンタトニックスのオフィシャル・チャンネルにアップされている曲の総視聴回数は11億回!を超えているそうです。
海外のポピュラーミュージックには特別な興味もなく、全くと言っていいほど無知でしたし
この曲のミュージックヴィデオの表題に、カヴァーであることを示す ××× Cover という但し書きが入っていないこともあって
私は最初オリジナル曲だと勘違いしていましたし、カヴァーであることを知ってからも
どこかのミュージシャンの「ダフト・パンク」というタイトルの曲をカヴァーしたものだと思い込んでいました。
ダフト・パンクのダの字も知らなかったからです。
ダフト・パンクって何?
決して素顔を明かさない、サイボーグの扮装をしたマニアックなデジタルサウンド系デュオであることも
ペンタトニックスの曲は、その複数の曲を繋ぎ合わせて1曲に仕上げたものだということも
何もかもを知ったのは少し後のことでした。
そのミュージックヴィデオにつけられたコメントによると、この曲は次の7曲を組み合わせているそうです。
Technologic
One More Time
Get Lucky
Digital Love
Harder Better Faster Stronger
Television Rules The Nation
Around The World
もちろんこれらの曲も、私はまったく知りませんでした。
「One More Time」がソニーのCMに使われたことがあるとのことですが、何の記憶もありません。
では、まずは本家ダフト・パンクによるこの7曲をご紹介します。
ペンタトニックスのカヴァーは、すでに前回の記事でご紹介済みですが
本家の後に改めて載せていますので聴いてみてください。
● Technologic
うす気味の悪い人形が歌っていますので、嫌いな方は目を瞑って聴いてみてください。
メロディーは特にありませんので、手法としてはラップということでしょうか。
● One More Time
画面を見てお分かりのように、ヴィデオアニメは松本零士が手がけたものです。
ダフト・パンクの2人が松本零士の大ファンということで依頼したようです。
● Get Lucky feat.Pharrell Williams and Nile Rodgers
後ろにいるサイボーグ2人がダフト・パンクです。
手前の2人は客演で、ヴォーカルのファレル・ウィリアムスと、ギターのナイル・ロジャース。
● Digital Love
● Harder, Better, Faster, Stronger
● Television Rules The Nation
● Around The World
Wiki を見ると、ダフト・パンクは「フランス出身のハウス/フィルターハウス/エレクトロ・デュオである」と書かれています。
エレクトロは分かりますが、ハウス/フィルターハウスというのは何のことやらチンプンカンプン。
それはともかく、嫌いじゃありません!これらの曲は。
ペンタトニックスのカヴァーを散々聴き込んだ後で本家を聴いたせいか
違和感や嫌悪感が全くないどころか、懐メロを聴いているかのような気分にさえなりました。
本家ダフト・パンクの You Tube オフィシャル・チャンネル
そして、この7曲にペンタトニックスの魔法がかけられると、このように変身します。 ヘンシ〜ン!
[Official Video] Daft Punk - Pentatonix
ア・カペラ界の魔法使いたちは、鮮やかなターコイズの瞳をしたエイリアンなのかもしれません。
このアレンジはまさに魔法! 驚き!桃の木!山椒の木!
どうしたらこのような発想ができるのか、何度聴いても驚嘆します。
超絶技巧的アレンジと呼べるほど巧妙に再構成されており、素晴らしく高い完成度に仕上がっていると思います。
ただ一つの難点は、あまりにも凝ったアレンジであるがゆえに
コンサートなどの生演奏では、作った本人たちにとっても難易度が高いことでしょう。
実際にライブのヴィデオも見ていますが、何曲か歌った後ではかなり辛そうな印象がありました。
とは言え、この曲が魔法の国から舞い降りてア・カペラの歴史・常識に一石を投じたのは確かだと思いますし
彼らの”初期”の傑作であることは疑う余地のないところだと思います。
デビュー後実質的に4年しか経過していない魔法使いたちの歴史は、まだ始まったばかりです。
さて、今回は「ダフト・パンク」の特集のようになり
ペンタトニックスって「ダフト・パンク」みたいなのばっかり?と思われたかもしれません。
いえいえ、とんでもございません!
彼らの守備範囲はなかなかに広いのです。
では、その証拠として本日のおまけを。
「ダフト・パンク」とは対極にあるとも言える趣の「ラン・トゥ・ユー Run to You」という曲をお聴きください。
この曲はオリジナル曲で、ヒューマンビートボックス無しの完全なア・カペラです。
[Official Video] Run to You - Pentatonix
そして、こんなのもありました!
ご存知、セサミ・ストリートにも登場しています。
ほう、5人のエイリアンが優しそうなお兄さん・お姉さんに化けていますねぇ、きゃはは!
Sesame Street: Pentatonix Counts (& Sings) to Five
ここでメンバーと経歴を簡単ご紹介しておきます。
![]()
[Official Video] That's Christmas To Me より借用
左から
Avi Kaplan アヴィ・カプラン(主にヴォーカルベース担当)
Kirstin Maldonado カースティン・マルドナード(主にリードヴォーカル担当)
Scotto Hoying スコット・ホーイング(主にリードヴォーカル担当)
Mitch Grassi ミッチ・グラッシ(主にリードヴォーカル担当)
Kevin Olsola ケヴィン・オルソラ(主にヒューマンビートボックス担当)
年齢は23〜27歳(2015年)
カースティン、スコット、ミッチの3人が高校時代からトリオを組んで歌っており
「The Sing Off」への挑戦に際してアヴィとケヴィンが加入。
5音音階を意味するペンタトニック・スケール Pentatonic scale に因み
よりクールな名前にと、語尾の「C」を「X」に変えて PENTATONIX に決めた、とは本人たちの弁。
2011年「The Sing Off」シーズン3で優勝。
2015年「Daft Punk」でグラミー賞受賞。
2016年「Dance of the Sugar Plum Fairy」で再びグラミー賞受賞。
ペンタトニックスの You Tube オフィシャル・チャンネル「PTXofficial」
それでは次回は…。
次回? まだ続くの?
そういう声が聞こえてきていますが、ペンタトニックスの記事はまだまだ続きます!!
海外のポピュラーミュージックには疎いと言いましたが
例えばビートルズであるとかマイケル・ジャクソンであるとか
すでに確固たる評価の定まった人たちを聴いて「やっぱり良い!」と感じたことは度々ありました。
しかし、デビュー間もない人たちが進化していく過程をリアルタイムで追った経験は一度もありませんでした。
「驚き」「意外性」という、創作には欠くことのできない要素が、彼らの声からほとばしり出ているのを感じます。
稀有なセンスを持ち、まだ荒削りではあるものの底知れない可能性を秘めた彼らが
次に何を生み出すのか、じっくり追ってみようと思っています。
ペンタトニックスから見れば私は父親の年齢、下手をすると祖父と同世代という可能性もあります。
どれどれ、可愛い孫たちにアメ玉でも買ってあげようかねぇ。 きゃはは!
-------------- Ichiro Futatsugi.■
メジャーデビューを果たしたア・カペラ5人組「ペンタトニックス」の名を
一躍世界レベルに押し上げたのが「ダフト・パンク Daft Punk」というカヴァー曲。
2013年の11月にYou Tubeにアップされて以降、視聴回数は1億8千7百万回を超え、その数は現在も着実に伸び続けています。
因に、ペンタトニックスのオフィシャル・チャンネルにアップされている曲の総視聴回数は11億回!を超えているそうです。
海外のポピュラーミュージックには特別な興味もなく、全くと言っていいほど無知でしたし
この曲のミュージックヴィデオの表題に、カヴァーであることを示す ××× Cover という但し書きが入っていないこともあって
私は最初オリジナル曲だと勘違いしていましたし、カヴァーであることを知ってからも
どこかのミュージシャンの「ダフト・パンク」というタイトルの曲をカヴァーしたものだと思い込んでいました。
ダフト・パンクのダの字も知らなかったからです。
ダフト・パンクって何?
決して素顔を明かさない、サイボーグの扮装をしたマニアックなデジタルサウンド系デュオであることも
ペンタトニックスの曲は、その複数の曲を繋ぎ合わせて1曲に仕上げたものだということも
何もかもを知ったのは少し後のことでした。
そのミュージックヴィデオにつけられたコメントによると、この曲は次の7曲を組み合わせているそうです。
Technologic
One More Time
Get Lucky
Digital Love
Harder Better Faster Stronger
Television Rules The Nation
Around The World
もちろんこれらの曲も、私はまったく知りませんでした。
「One More Time」がソニーのCMに使われたことがあるとのことですが、何の記憶もありません。
では、まずは本家ダフト・パンクによるこの7曲をご紹介します。
ペンタトニックスのカヴァーは、すでに前回の記事でご紹介済みですが
本家の後に改めて載せていますので聴いてみてください。
● Technologic
うす気味の悪い人形が歌っていますので、嫌いな方は目を瞑って聴いてみてください。
メロディーは特にありませんので、手法としてはラップということでしょうか。
● One More Time
画面を見てお分かりのように、ヴィデオアニメは松本零士が手がけたものです。
ダフト・パンクの2人が松本零士の大ファンということで依頼したようです。
● Get Lucky feat.Pharrell Williams and Nile Rodgers
後ろにいるサイボーグ2人がダフト・パンクです。
手前の2人は客演で、ヴォーカルのファレル・ウィリアムスと、ギターのナイル・ロジャース。
● Digital Love
● Harder, Better, Faster, Stronger
● Television Rules The Nation
● Around The World
Wiki を見ると、ダフト・パンクは「フランス出身のハウス/フィルターハウス/エレクトロ・デュオである」と書かれています。
エレクトロは分かりますが、ハウス/フィルターハウスというのは何のことやらチンプンカンプン。
それはともかく、嫌いじゃありません!これらの曲は。
ペンタトニックスのカヴァーを散々聴き込んだ後で本家を聴いたせいか
違和感や嫌悪感が全くないどころか、懐メロを聴いているかのような気分にさえなりました。
本家ダフト・パンクの You Tube オフィシャル・チャンネル
そして、この7曲にペンタトニックスの魔法がかけられると、このように変身します。 ヘンシ〜ン!
[Official Video] Daft Punk - Pentatonix
ア・カペラ界の魔法使いたちは、鮮やかなターコイズの瞳をしたエイリアンなのかもしれません。
このアレンジはまさに魔法! 驚き!桃の木!山椒の木!
どうしたらこのような発想ができるのか、何度聴いても驚嘆します。
超絶技巧的アレンジと呼べるほど巧妙に再構成されており、素晴らしく高い完成度に仕上がっていると思います。
ただ一つの難点は、あまりにも凝ったアレンジであるがゆえに
コンサートなどの生演奏では、作った本人たちにとっても難易度が高いことでしょう。
実際にライブのヴィデオも見ていますが、何曲か歌った後ではかなり辛そうな印象がありました。
とは言え、この曲が魔法の国から舞い降りてア・カペラの歴史・常識に一石を投じたのは確かだと思いますし
彼らの”初期”の傑作であることは疑う余地のないところだと思います。
デビュー後実質的に4年しか経過していない魔法使いたちの歴史は、まだ始まったばかりです。
さて、今回は「ダフト・パンク」の特集のようになり
ペンタトニックスって「ダフト・パンク」みたいなのばっかり?と思われたかもしれません。
いえいえ、とんでもございません!
彼らの守備範囲はなかなかに広いのです。
では、その証拠として本日のおまけを。
「ダフト・パンク」とは対極にあるとも言える趣の「ラン・トゥ・ユー Run to You」という曲をお聴きください。
この曲はオリジナル曲で、ヒューマンビートボックス無しの完全なア・カペラです。
[Official Video] Run to You - Pentatonix
そして、こんなのもありました!
ご存知、セサミ・ストリートにも登場しています。
ほう、5人のエイリアンが優しそうなお兄さん・お姉さんに化けていますねぇ、きゃはは!
Sesame Street: Pentatonix Counts (& Sings) to Five
ここでメンバーと経歴を簡単ご紹介しておきます。

[Official Video] That's Christmas To Me より借用
左から
Avi Kaplan アヴィ・カプラン(主にヴォーカルベース担当)
Kirstin Maldonado カースティン・マルドナード(主にリードヴォーカル担当)
Scotto Hoying スコット・ホーイング(主にリードヴォーカル担当)
Mitch Grassi ミッチ・グラッシ(主にリードヴォーカル担当)
Kevin Olsola ケヴィン・オルソラ(主にヒューマンビートボックス担当)
年齢は23〜27歳(2015年)
カースティン、スコット、ミッチの3人が高校時代からトリオを組んで歌っており
「The Sing Off」への挑戦に際してアヴィとケヴィンが加入。
5音音階を意味するペンタトニック・スケール Pentatonic scale に因み
よりクールな名前にと、語尾の「C」を「X」に変えて PENTATONIX に決めた、とは本人たちの弁。
2011年「The Sing Off」シーズン3で優勝。
2015年「Daft Punk」でグラミー賞受賞。
2016年「Dance of the Sugar Plum Fairy」で再びグラミー賞受賞。
ペンタトニックスの You Tube オフィシャル・チャンネル「PTXofficial」
それでは次回は…。
次回? まだ続くの?
そういう声が聞こえてきていますが、ペンタトニックスの記事はまだまだ続きます!!
海外のポピュラーミュージックには疎いと言いましたが
例えばビートルズであるとかマイケル・ジャクソンであるとか
すでに確固たる評価の定まった人たちを聴いて「やっぱり良い!」と感じたことは度々ありました。
しかし、デビュー間もない人たちが進化していく過程をリアルタイムで追った経験は一度もありませんでした。
「驚き」「意外性」という、創作には欠くことのできない要素が、彼らの声からほとばしり出ているのを感じます。
稀有なセンスを持ち、まだ荒削りではあるものの底知れない可能性を秘めた彼らが
次に何を生み出すのか、じっくり追ってみようと思っています。
ペンタトニックスから見れば私は父親の年齢、下手をすると祖父と同世代という可能性もあります。
どれどれ、可愛い孫たちにアメ玉でも買ってあげようかねぇ。 きゃはは!
-------------- Ichiro Futatsugi.■