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魔法の国から舞い降りた「ダフト・パンク」

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2011年、アメリカNBCテレビが主催する全米ア・カペラコンテスト「ザ・シング・オフ The Sing Off 」で優勝し
メジャーデビューを果たしたア・カペラ5人組「ペンタトニックス」の名を
一躍世界レベルに押し上げたのが「ダフト・パンク Daft Punk」というカヴァー曲。
2013年の11月にYou Tubeにアップされて以降、視聴回数は1億8千7百万回を超え、その数は現在も着実に伸び続けています。
因に、ペンタトニックスのオフィシャル・チャンネルにアップされている曲の総視聴回数は11億回!を超えているそうです。

海外のポピュラーミュージックには特別な興味もなく、全くと言っていいほど無知でしたし
この曲のミュージックヴィデオの表題に、カヴァーであることを示す ××× Cover という但し書きが入っていないこともあって
私は最初オリジナル曲だと勘違いしていましたし、カヴァーであることを知ってからも
どこかのミュージシャンの「ダフト・パンク」というタイトルの曲をカヴァーしたものだと思い込んでいました。
ダフト・パンクのダの字も知らなかったからです。

ダフト・パンクって何?

決して素顔を明かさない、サイボーグの扮装をしたマニアックなデジタルサウンド系デュオであることも
ペンタトニックスの曲は、その複数の曲を繋ぎ合わせて1曲に仕上げたものだということも
何もかもを知ったのは少し後のことでした。

そのミュージックヴィデオにつけられたコメントによると、この曲は次の7曲を組み合わせているそうです。


Technologic
One More Time
Get Lucky
Digital Love
Harder Better Faster Stronger
Television Rules The Nation
Around The World


もちろんこれらの曲も、私はまったく知りませんでした。
「One More Time」がソニーのCMに使われたことがあるとのことですが、何の記憶もありません。


では、まずは本家ダフト・パンクによるこの7曲をご紹介します。
ペンタトニックスのカヴァーは、すでに前回の記事でご紹介済みですが
本家の後に改めて載せていますので聴いてみてください。



● Technologic

うす気味の悪い人形が歌っていますので、嫌いな方は目を瞑って聴いてみてください。
メロディーは特にありませんので、手法としてはラップということでしょうか。






● One More Time

画面を見てお分かりのように、ヴィデオアニメは松本零士が手がけたものです。
ダフト・パンクの2人が松本零士の大ファンということで依頼したようです。






● Get Lucky  feat.Pharrell Williams and Nile Rodgers

後ろにいるサイボーグ2人がダフト・パンクです。
手前の2人は客演で、ヴォーカルのファレル・ウィリアムスと、ギターのナイル・ロジャース。






● Digital Love






● Harder, Better, Faster, Stronger






● Television Rules The Nation






● Around The World






Wiki を見ると、ダフト・パンクは「フランス出身のハウス/フィルターハウス/エレクトロ・デュオである」と書かれています。
エレクトロは分かりますが、ハウス/フィルターハウスというのは何のことやらチンプンカンプン。
それはともかく、嫌いじゃありません!これらの曲は。
ペンタトニックスのカヴァーを散々聴き込んだ後で本家を聴いたせいか
違和感や嫌悪感が全くないどころか、懐メロを聴いているかのような気分にさえなりました。

本家ダフト・パンクの You Tube オフィシャル・チャンネル



そして、この7曲にペンタトニックスの魔法がかけられると、このように変身します。 ヘンシ〜ン!


[Official Video] Daft Punk - Pentatonix



ア・カペラ界の魔法使いたちは、鮮やかなターコイズの瞳をしたエイリアンなのかもしれません。
このアレンジはまさに魔法! 驚き!桃の木!山椒の木!
どうしたらこのような発想ができるのか、何度聴いても驚嘆します。
超絶技巧的アレンジと呼べるほど巧妙に再構成されており、素晴らしく高い完成度に仕上がっていると思います。

ただ一つの難点は、あまりにも凝ったアレンジであるがゆえに
コンサートなどの生演奏では、作った本人たちにとっても難易度が高いことでしょう。
実際にライブのヴィデオも見ていますが、何曲か歌った後ではかなり辛そうな印象がありました。

とは言え、この曲が魔法の国から舞い降りてア・カペラの歴史・常識に一石を投じたのは確かだと思いますし
彼らの”初期”の傑作であることは疑う余地のないところだと思います。
デビュー後実質的に4年しか経過していない魔法使いたちの歴史は、まだ始まったばかりです。




さて、今回は「ダフト・パンク」の特集のようになり
ペンタトニックスって「ダフト・パンク」みたいなのばっかり?と思われたかもしれません。
いえいえ、とんでもございません!
彼らの守備範囲はなかなかに広いのです。

では、その証拠として本日のおまけを。
「ダフト・パンク」とは対極にあるとも言える趣の「ラン・トゥ・ユー Run to You」という曲をお聴きください。
この曲はオリジナル曲で、ヒューマンビートボックス無しの完全なア・カペラです。

[Official Video] Run to You - Pentatonix





そして、こんなのもありました!
ご存知、セサミ・ストリートにも登場しています。
ほう、5人のエイリアンが優しそうなお兄さん・お姉さんに化けていますねぇ、きゃはは!

Sesame Street: Pentatonix Counts (& Sings) to Five








ここでメンバーと経歴を簡単ご紹介しておきます。


[Official Video] That's Christmas To Me より借用

左から
Avi Kaplan アヴィ・カプラン(主にヴォーカルベース担当)
Kirstin Maldonado カースティン・マルドナード(主にリードヴォーカル担当)
Scotto Hoying スコット・ホーイング(主にリードヴォーカル担当)
Mitch Grassi ミッチ・グラッシ(主にリードヴォーカル担当)
Kevin Olsola ケヴィン・オルソラ(主にヒューマンビートボックス担当)

年齢は23〜27歳(2015年)

カースティン、スコット、ミッチの3人が高校時代からトリオを組んで歌っており
「The Sing Off」への挑戦に際してアヴィとケヴィンが加入。
5音音階を意味するペンタトニック・スケール Pentatonic scale に因み
よりクールな名前にと、語尾の「C」を「X」に変えて PENTATONIX に決めた、とは本人たちの弁。
2011年「The Sing Off」シーズン3で優勝。
2015年「Daft Punk」でグラミー賞受賞。
2016年「Dance of the Sugar Plum Fairy」で再びグラミー賞受賞。

ペンタトニックスの You Tube オフィシャル・チャンネル「PTXofficial」




それでは次回は…。
次回? まだ続くの?
そういう声が聞こえてきていますが、ペンタトニックスの記事はまだまだ続きます!!

海外のポピュラーミュージックには疎いと言いましたが
例えばビートルズであるとかマイケル・ジャクソンであるとか
すでに確固たる評価の定まった人たちを聴いて「やっぱり良い!」と感じたことは度々ありました。
しかし、デビュー間もない人たちが進化していく過程をリアルタイムで追った経験は一度もありませんでした。

「驚き」「意外性」という、創作には欠くことのできない要素が、彼らの声からほとばしり出ているのを感じます。
稀有なセンスを持ち、まだ荒削りではあるものの底知れない可能性を秘めた彼らが
次に何を生み出すのか、じっくり追ってみようと思っています。

ペンタトニックスから見れば私は父親の年齢、下手をすると祖父と同世代という可能性もあります。
どれどれ、可愛い孫たちにアメ玉でも買ってあげようかねぇ。 きゃはは!


-------------- Ichiro Futatsugi.■


聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.1

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アメリカの5人組ア・カペラグループ「ペンタトニックス」は、2011年のア・カペラコンテスト「The Sing Off」で優勝した後
カヴァー曲を You Tube に発表し始め、何枚かのカヴァー・アルバムを経て
2015年11月に、オリジナル・アルバムとしては初の「PENTATONIX」をリリースし、ア・カペラ史上初の全米初登場1位を獲得しました。
今後はオリジナルの比率を増やしていくと思いますし、それが当然の流れだと思います。

しかし、彼らの人気を不動のものとしたのは、デビュー当初から発表し続けている数々のユニークで秀逸なカヴァーです。
すでにご紹介済みの「ダフト・パンク Daft Punk」が典型例です。
カヴァーの比率が下がったとしても、良い曲を取り上げて、ずっと続けてほしいと願っています。


ペンタトニックスのカヴァーを聴き込んで行くと
オリジナルはどうなのか? それとどう違うのか? 自然とそこに興味が移ってきます。
幸いにも YouTube を使えばオリジナルの検索が簡単にできますし
オリジナルと一緒に並べて比較できる動画も存在しています。

ペンタトニックスのカヴァーする範囲は、彼らと同世代のポピュラーミュージックからクラシックにまで及びます。
現在までに私が捜したオリジナルは約50曲。
その中から数回に分けて、オリジナルとカヴァーを何曲かを聴き比べていただこうと思います。
中にはオリジナルの演奏ではなく、他のミュージシャンのカヴァーをオリジナル代わりに選んでいるものもあります。

ペンタトニックスがカヴァーしているわけですから
先にオリジナル、後にカヴァーという順で載せています。

前回はマニアックなものをご紹介しましたので、今回は雰囲気をガラリと変えて
クリスマスソングを中心としたアルバム「ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー That's Christmas To Me」から4曲。



1曲目は「ホワイト・ウィンター・ヒムナル White Winter Hymnal」

この曲はアメリカのグループ「フリート・フォクシーズ Fleet Foxes」が2008年にリリースしたもの。
クリスマスソングではありませんが、ヒムナルとは賛美歌のことですし、歌詞にも大天使ミカエルの名が出てきます。
土俗的・民族音楽的な響きがあり、ヴィデオのコマ撮り人形アニメと相まって独特の不思議な雰囲気を醸しています。


Fleet Foxes - White Winter Hymnal [OFFICIAL VIDEO]




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] White Winter Hymnal - Pentatonix (Fleet Foxes Cover)






2曲目は「メリー・ディドゥ・ユー・ノウ? Mary, Did You Know?」

欧米では多くのミュージシャンにカヴァーされており
すっかりクリスマスソングの一つとして定着している感がありますが
1991年にマイケル・イングリッシュというシンガーが歌って知られるようになったという、比較的新しい曲です。
マイケル・イングリッシュの歌もYouTubeにありますが、ここでは別の2人のカヴァーをご紹介します。

最初はクレイ・エイケン Clay Aiken というシンガーが2004年にカヴァーしたもの。
クレイはその前年、アメリカの有名なオーディション番組「アメリカン・アイドル」シーズン2で準優勝してデビュー。

Mary, Did You Know with Lyrics




もう一つはシーロー・グリーン CeeLo Green というソウル系シンガーのカヴァー。
この曲はイエス・キリストの生涯を描いた映画「サン・オブ・ゴッド」と
その元になったドラマ「ザ・バイブル」の中で使われているそうです。

CeeLo Green - "Mary Did You Know" [Official Audio]





ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Mary, Did You Know? - Pentatonix







3曲目は「リトル・ドラマー・ボーイ Little Drummer Boy」

これも多くのミュージシャンにカヴァーされているクリスマスソングの名曲です。
異色なものでは、ビング・クロスビーとデヴィッド・ボウイのデュエットというものもあります。

1941年にアメリカのキャサリン・デイヴィスという宗教音楽作曲家が原型を書き(元々のタイトルは異なる)
1958年にアメリカのシメオン合唱団が現在の形にして歌ったものがビルボードチャートの1位に輝いて広く知られるようになったようです。
タイトル画像にシメオン合唱団の名がありますし、絵の雰囲気から
これが1958年にビルボード1位を獲得したレコードのジャケットなのかもしれません。

The Little Drummer Boy (Perfect Version)




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Little Drummer Boy - Pentatonix






4曲目は「キャロル・オブ・ザ・ベル Carol of the Bells」

今回の4曲の中では最も古くからある名曲で
作られたのは約100年前のウクライナということです。
古いだけに、オリジナルと言えるような演奏も残っていません。

そこで、ここでは リベラ Libera というロンドンを本拠に活動する少年合唱団の歌をご紹介します。
今にも精霊が舞い降りて来そうな演奏です。

Carol of the Bells




ペンタトニックスのカヴァー。

[Official Video] Carol of the Bells - Pentatonix







さて、今回のおまけです。
アルバムのタイトルになっている「ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー That's Christmas To Me」を載せる予定でしたが…
急遽変更して You Tube で見つけたばかりの別の曲を取り上げようと思います。
ペンタトニックスとは直接関係ないのですが、メンバーの一人が参加したデュエットです。


曲は「ブラック・イズ・ザ・カラー・オブ・マイ・トゥルー・ラヴズ・ヘアー Black Is The Color Of My True Love's Hair」

オリジナルはジャズ・シンガーのニーナ・シモンが1959年にリリースしたもので
アメリカのピーター・ホーレンズ Peter Hollens というシンガーと
ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプラン Avi Kaplan によるア・カペラカヴァー。

ピーター・ホーレンズは、コーラスの各パートからヴォイスパーカッションまでを全部一人でこなし
それを多重録音しての曲作りを得意とするミュージシャンです。

こちらは、まずカヴァーからお聴きください。


Black Is The Color Of My True Love's Hair - Peter Hollens & Avi Kaplan





Nina Simone - Black Is The Color Of My True Love's Hair



-------------- Ichiro Futatsugi.■

聴き比べ:正統派と異端児

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病膏肓に入る

先日、2回連続・2度目のペンタトニックスの記事を見た友人から
「やまいこうこうにいる」とのお言葉を賜りました。 きゃはは!
病気が進行して手の施しようがなくなる、という意味から転じて
趣味や道楽に入れ込み過ぎて、もはや手がつけられない状態に陥ることを言います。

ごもっとも!! 弁解の余地無し!!

正直に申し上げますと
ペンタトニックスを知って「こいつは凄いぞ!」と感じた一方で
「ひょっとしたら、またヤバいことになりそうだ!」という直感が心をかすめたことも確かなのです。
はい、しっかりとヤバいことになってしまっております。

子曰わく、四十にして惑わず!
五十にして更に惑わず! そして今、六十にして究極に惑わず!!
たとえ世間の誹りを一身に浴びようとも、何事も信じた道を突き進むのみ! きゃはは!




さて、本題に入る前に、昨夜公開されたばかりのペンタトニックスの新しいオフィシャル・ヴィデオをご紹介します。
昨年10月にリリースされた初のオリジナル・アルバム「 PENTATONIX 」の中の「 If I Ever Fall in Love 」という曲。
シンガーソングライターのジェイソン・デルーロを客演に迎えています。
新作オフィシャル・ヴィデオの公開は約4ヶ月ぶり。
昨夜は公開1分後の段階で視聴回数は約3千でしたが、40分後には7万超え!
夜が明けて12時間後には約50万!とウナギ登り。さすがぁ!!

[Official Video] If I Ever Fall in Love - Pentatonix ft Jason Derulo







では、本題に入ります。
前回の末尾で、急遽予定を変更して「Black Is The Color Of My True Love's Hair」という曲をご紹介しました。
多重録音で作るコーラスで人気のシンガーのピーター・ホーレンズと
ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプランが組んでカヴァーしたものです。
前回、ジャズ・シンガーのニーナ・シモンの曲だとご紹介しましたが、その後、もっと古い曲であることが分かりました。
フォーク・ミュージック、つまり民謡とか伝統音楽の部類に入るもののようで、ニーナ・シモンもカヴァーしたということになります。

このミュージックヴィデオは、ピーターとアヴィ双方の You Tube チャンネルからアップされており
当然のこと曲自体は全く同じで、タイトル画像と末尾のスピーチ映像が異なるだけです。
とても気に入った曲ですので再度掲載しますが、こちらはアヴィのチャンネルのもの。

"Black Is The Color Of My True Love's Hair" Avi Kaplan & Peter Hollens




ペンタトニックスのヴォーカルベース担当アヴィ・カプランと言えば、You Tube でよく比較されるのが
「ホーム・フリー Home Free」というア・カペラグループのヴォーカルベース担当「ティム・ファウスト Tim Foust 」です。

百聞は一見に如かず、まずはこちらをお聴きください。
ピーター・ホーレンズが今度はティム・ファウストと組んだ「ミスティ・マウンテンズ Misty Mountains 」という曲です。
ファンタジー映画「ホビット The Hobbit 」の中の曲をカヴァーしたものとのことです。
少々強面のティムのドスの利いた重低音と、アヴィの柔らかい低音の違いが一目瞭然です。

Misty Mountains - ft. Tim Foust








ペンタトニックスは全米ア・カペラコンテスト「 The Sing Off 」に挑戦中から「近未来ア・カペラ」と絶賛され
その卓越したアレンジ能力と、ア・カペラの常識から踏み出した表現力で「ア・カペラ界の異端児」と評されてきました。

もちろん、ア・カペラで歌っているのはペンタトニックスに限ったことではありません。
グループは数多くいますし、ピータ・ホーレンズのように多重録音でコーラスを作る人もいます。

そして、アメリカのア・カペラコンテスト「 The Sing Off 」からデビューしたグループもペンタトニックスだけではありません。
ペンタトニックスはの2011年のシーズン3で優勝しましたが
その次のシーズン4で優勝したのが、ティム・ファウストがヴォーカルベースを務める男性5人組の「ホーム・フリー Home Free」でした。
彼らもペンタトニックス同様、コーラスとヒューマンビートボックスを組み合わせています。


ホーム・フリーの「 California Country 」という曲です。
私はまだホーム・フリーを聴き始めて間もないため、メンバーの名前もティム・ファウスト以外は知らず
この曲がカヴァーなのかオリジナルなのかも分からないのです。

Home Free - California Country (Country Evolution)



少し聴いただけでペンタトニックスとは全く方向性の異なることが分かります。
ジャンルとしては、ホーム・フリーはカントリー系。
ペンタトニックスは、より幅の広いオールラウンダーとでも言えるでしょうか。

メンバーそれぞれの歌唱力・ハーモニーの精度では明らかにホーム・フリーが優っていると思います。
破綻が極めて少なく安定感があり、練り上げられたハーモニーは心地よい響きをたたえています。

ペンタトニックスと比べると、ホーム・フリーは正統派のように感じられます。
対してペンタトニックスは歌唱力とハーモニーは荒削りですが
類希な着想力・アレンジ能力がもたらす意外性が際立っていると感じます。



と言うことで、今回は正統派ア・カペラとも言えそうなホーム・フリーと
異端児という評価を受けるペンタトニックスを、少しだけ聴き比べていただきます。


● ホーム・フリー
メーガン・トレイナーというシンガー・ソングライターの曲「 All About That Bass 」のカヴァー。

Meghan Trainor - All About That Bass (Home Free a cappella cover)




● ペンタトニックス
11世紀から今日に至るまでの名曲の一部をメドレー仕立てにした「Evolution of Music 」

Evolution of Music - Pentatonix






次は、両者が同じ曲を取り上げたものです。

クリスマスソングの名曲「エンジェルス・ウィ・ハヴ・ハード・オン・ハイ Angels We Have Heard On High」のカヴァーです。
日本では「荒野(あらの)の果てに」という題名でも知られており
元々は16世紀にフランスで原型が出来、19世紀に英語版の歌詞が作られたようです。


● ホーム・フリー

Home Free - Angels We Have Heard On High




● ペンタトニックス

[Official Video] Angels We Have Heard On High - Pentatonix







最後はホーム・フリーでシメようと思います。
ジョニー・キャッシュ(故人)というシンガー・ソングライターの曲「 Ring of Fire 」をカヴァーしたもの。
ペンタトニックスのアヴィ・カプランが参加しており、ティム・ファウストと共演しています。

Home Free - Ring of Fire (featuring Avi Kaplan of Pentatonix) [Johnny Cash Cover]







これまで何人の人が地上に生まれて来たのか。
今後何人の人が生まれて来ようとしているのか。
不思議なことに、と言うべきか、当然のことに、と言うべきか
同じ人は存在しません。
だからこそ、次々と面白いものが生み出されてくるのですね。

人はそれぞれ。
グループも様々。
ペンタトニックスの良さと、ホーム・フリーの良さも、またそれぞれ。

どちらが好きかも、また、聴く人それぞれ。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

第3回 「未然会」展のご案内 (作品画像更新・追加)

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*一部作品画像の更新と、1点追加 (4月29日)



私が講師を務めるNHK文化センター青山教室 日本画二木クラスの展覧会です。

5月9日(月)〜 15日(日)まで
東京・京橋の「ギャラリーくぼた」にて開催されます。


企画から運営まで、すべて生徒の皆さんの手になり
3年に1度の開催で、今回は3回目を迎えます。

是非ともご高覧賜りたく、謹んでご案内申し上げます。











生徒の皆さんは11名で、4号から40号までの30点あまりが展示されます。

私の作品は、サムホール・3号・4号のパステルの小品 のみとなります。
過去の作品を中心に12点を用意していますが
実際に展示作業をしてみないと何点展示できるかは分かりません。
おそらく10点程度になろうかと思います。
まだ制作中のものもありますので、12点の内の6点をご紹介します。


まずは、展覧会未発表の4点。
制作中の様子は、以前掲載したことがあります。




 「特等席」 4号F (画像更新)
  イタリア・シロールの猫









 「宵闇」 サムホール (画像更新)
  イタリア・ヴェネツィア、カナル・グランデとサンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂









 「寂夜」 サムホール
  ルクセンブルグ、ノートルダム大聖堂









 「雨後の聖堂」 サムホール
  イタリア・アッシジ、サン・フランチェスコ聖堂







そして、最近加筆・修正したものを3点。





 「白妙」 サムホール (画像更新)
  シクラメン









 「夕刻」 サムホール
  イタリア・アッシジ、サンタ・キアーラ聖堂








 「山茶花」 サムホール (追加)
  白備前の徳利とサザンカ





この他に3号2点、サムホール3点を出品予定です。

ゴールデンウィークの直後でお疲れのこととは存じますが
交通の便の良い場所でもありますし、何かのついででも結構ですので
是非ともお立ち寄りくださいますよう、お願い申し上げます。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

追悼 冨田勲

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世界的なシンセサイザー奏者で作曲家の冨田勲さん(以下、敬称略)が5月5日に逝去されました。(享年84)

私は学生時代からずっと、そろそろ40年になりますが、飽きることなく聴き続けてきました。
最初に知ったのはいつだったのか、どの曲だったのか、もう思い出せなくなっています。
坂東玉三郎が主演した泉鏡花原作の映画「夜叉ケ池」だったような気もするのですが
もはや記憶の奥底に埋もれかけていて定かではありません。




シンセサイザーによるクラシック音楽のアレンジで名を馳せた方ですが
演奏手法に関係なく、冨田勲の名作として絶対に忘れられないのが
1963年から放送が開始されたNHKの「新日本紀行」のテーマ曲です。
この曲は後年リメイクされましたが、私の脳裏に焼きついて離れないのはオリジナル・ヴァージョンです。

放送開始当時は録音技術が未熟だったせいか、アナログテレビから録音されたもののせいか
ご紹介するヴィデオの音質は良くありませんが、これがオリジナル・ヴァージョンです。
何度聴いても、聴けば聴くほど、名作だという想いを新たにします。

余談ですが、このタイトル文字も大好きでした。
NHKのデザイナーが書いたものだと聞いた記憶があります。
確かに他の番組のタイトルでも同じ書体が頻繁に見られたことを覚えています。

新日本紀行 BGM用








では、冨田勲を偲んで、その作品群の中から何曲かご紹介します。

● ドビュッシー「月の光」と「沈める寺院」

数ある冨田のシンセサイザー・アレンジの中で
最も広く知られていると思われるのは「月の光」でしょうか。
ドビュッシーの曲だけを集めたアルバム「月の光」の表題曲です。

アルバム「月の光」収録曲
1. 雪は踊っている 「子供の領分」第3曲
2. 夢
3. 雨の庭 「版画」第3曲
4. 月の光 「ベルガマスク組曲」第3曲
5. アラベスク
6. 沈める寺院 「前奏曲集 第1巻」第10曲
7. パスピエ 「ベルガマスク組曲」第4曲
8. 亜麻色の髪の乙女 「前奏曲集 第1巻」第8曲
9. ゴリウォークのケークウォーク 「子供の領分」第6曲
10. 雪の上の足跡 「前奏曲集 第1巻」第6曲

その中から、まずは「月の光」を。

Clair de Lune ~ Claude Debussy - Isao Tomita






そして「沈める寺院」です。
これは前述した映画「夜叉ケ池」で使われたものの中の一つです。

Tomita - The Engulfed Cathedral








● ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」

ラヴェルの作品の中では最もよく知られた曲でしょう。
ラヴェルの曲だけを集めたアルバム「ダフニスとクロエ」の中に収められています。

アルバム「ダフニスとクロエ」収録曲
1. 組曲「ダフニスとクロエ」第2組曲
2. 亡き王女のためのパヴァーヌ
3. ボレロ
4. 組曲「マ・メール・ロワ」第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ
5. 組曲「マ・メール・ロワ」第2曲 親指小僧
6. 組曲「マ・メール・ロワ」第3曲 パゴダの女王レドロネット
7. 組曲「マ・メール・ロワ」第4曲 美女と野獣の対話
8. 組曲「マ・メール・ロワ」第5曲 妖精の園

ISAO TOMITA - PAVAN FOR A DEAD PRINCESS.








● ホルスト 組曲「惑星」

ホルストの「惑星」全曲をアレンジ・収録したアルバムです。
最初はガチャガチャした騒々しいアレンジだなという印象もあったのですが
今では、気分が落ち込んだ時、気持ちを奮い立たせるために聴く曲の一つになっています。

フル・アルバムですので50分を超えますが、是非聴いてみてください。

Isao Tomita The Planets 1976 Full Album








フル・アルバムをもう一つ。

● ドーン・コーラス

ドーン・コーラス Dawn Chores とは、直訳すると「夜明けの合唱」となりますが
夜明けに無線機の中から鳥の声や口笛に似た音が聞こえることがあるという、電磁波などの影響で引き起こされる自然現象なのだそうです。

このアルバムは、ブラジルの作曲家ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ」を中心に構成されています。
全8曲から成り、演奏時間は40分を超えます。

アルバム「ドーン・コーラス」収録曲
1.ドーン・コーラス ブラジル風バッハ第4番プレリュード
2. ホイッスル ブラジル風バッハ第2番トッカータ
3. ペガサス ブラジル風バッハ第7番トッカータ
4. パルサーからの呼びかけ ブラジル風バッハ第4番コラール
5. 天界のアダージョ アルビノーニ「アダージョ」
6. コズミック・コラール バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」
7. ヴォカリーズ ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
8. 三ツ星のカノン パッヘルベル「カノン」

因に私は「ドーン・コーラス」と「パルサーからの呼びかけ」が特に好きです。

Isao Tomita Dawn Chores Plasma Symphony Orchestra Tribute to Tomita 1984 Ful








● ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」第2楽章

アルバム「宇宙幻想」に収録されている曲。

アルバム「宇宙幻想」収録曲
1.スペース・ファンタジー
 R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」
 ワーグナー「ワルキューレの騎行」
 ワーグナー「タンホイザー序曲」
 R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」
2. オネゲル「パシフィック231」
3. アイヴズ「答えのない質問」
4. ウィリアムズ「スター・ウォーズのテーマ」
5. ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」第2楽章
6. グリーグ「ソルヴェーグの歌」
7. ティニク&ハイフェッツ「ホラ・スタッカート」
8. ソラリスの海
 バッハ「3声のインヴェンション 第2番」
 バッハ「我汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」
 バッハ「3声のインヴェンション 第2番」

Isao Tomita - Concierto De Aranjuez








● ストラヴィンスキー「バレエ組曲・火の鳥」から「王女たちのロンド」

アルバム「火の鳥」に収録されている曲。

アルバム「火の鳥」収録曲
1. 火の鳥「イントロダクション」
2. 火の鳥「火の鳥とその踊り」
3. 火の鳥「火の鳥のヴァリエーション」
4. 火の鳥「王女たちのロンド」
5. 火の鳥「カスチェイ王の魔の踊り」
6. 火の鳥「子守歌」
7. 火の鳥「フィナーレ」
8. ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
9. ムソルグスキー「交響詩・禿山の一夜」

Tomita - Stravinsky - Firebird - Round of the Princesses








では最後に、冨田作品の中で私の最も好きな曲をご紹介します。

● バッハ「G線上のアリア」

オーケストラやヴァイオリンをはじめ、様々な演奏形態のものを聴きましたが
私の聴いたものの中では「これが一番!」と信じているのが冨田のアレンジです。
アルバム「バッハ・ファンタジー」に収録されています。

アルバム「バッハ・ファンタジー」収録曲
1. 早起き鳥 カンタータ第208番「楽しき狩りこそ、わが喜び」
2. アヴェ・マリア 平均率クラヴィーア曲集第1巻・第1番
3. 電気仕掛けの兵隊の行進 カンタータ第78番「イエスよ、わが魂を」
4. 時計の幻想 カンタータ第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」
5. 主よ、人の望みの喜びよ カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」
6. 惑星ソラリスの海 3声のシンフォニア第2番・コラール「我なんじに呼ばわる、主イエス・キリストよ」
7. 笛を吹く少年 2声のインベンション第13番
8. 砂漠の大旋風 カンタータ第36番「喜んで舞い上がれ」
9. G線上のアリア 管弦楽組曲第3番
10. トッカータとフーガ

Isao Tomita - AIR ON THE G STRING





謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.2

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アメリカの若きア・カペラグループ「ペンタトニックス」が発表した曲の内のカヴァー曲を選び
オリジナルとの聴き比べをメインとしてご紹介を続けています。
もう終わったのか?と思いきや、まだまだ続きます! きゃはは!

傑作「ダフト・パンク」は7曲を組み合わせていますが
さすがのペンタトニックスをもってしても、これほど多くの曲を自在に組み合わせるのは至難の業だと思います。
これ以外には見当たらないからです。
多数の曲を組み合わせる、いわゆる一般的なメドレー仕立てにしたものでしたら
前回ご紹介しました「 Evolution of Music 」をはじめ
マイケル・ジャクソンの曲を組み合わせた「 Evolution of Michael Jackson 」
ビヨンセの曲を組み合わせた「 Evolution of Beyoncé 」などがあります。
しかし、これら3曲と「ダフト・パンク」とは全く発想も表現も異なります。

カヴァーであれ、オリジナルであれ
再び「ダフト・パンク」級の衝撃を与えてくれる曲の出現を期待しています。



さて、「ダフト・パンク」級は他にありませんが、2曲を組み合わせたものはいくつかあります。
そこで今回は2つの曲を組み合わせたカヴァーを3曲ご紹介し
その後、1対1、つまり組み合わせではない一つの曲のカヴァーを2曲ご紹介します。

2つの曲と言っても、同じミュージシャンの2曲という場合と
別々のミュージシャンの曲という場合があります。

まずは同じミュージシャンの2曲という組み合わせ。
「セイヴ・ザ・ワールド / ドンチュー・ウォーリー・チャイルド Save the World / Don't You Worry Child」

これは、スウェーデンの3人組スウェディッシュ・ハウス・マフィア Swedish House Mafia というグループの

「Save the World」
「Don't You Worry Child」

この2曲を組み合わせたものです。


Swedish House Mafia - Save The World (Lyric Video)



[House] : Swedish House Mafia - Don't You Worry Child [HD]






そして、ペンタトニックスのカヴァーではこうなります。
実は、私がペンタトニックスを気に入るきっかけとなった曲なのです。

[Official Video] Save the World/Don't You Worry Child - Pentatonix (Swedish House Mafia Cover)







次は別々のミュージシャンの曲を組み合わせたものを2曲。
最初は 「ラ・ラ・ラッチ La La Latch」 という曲です。

ノーティ・ボーイ Naughty Boy というシンガーの 「La La La」 という曲と
ディスクロージャー Disclosure というグループの「Latch」という曲の組み合わせです。
どちらもシンガーのサム・スミスがヴォーカルとして客演しています。


Naughty Boy - La La La (Official Audio) ft. Sam Smith




Disclosure - Latch feat. Sam Smith (Official Video)






そして、ペンタトニックスのカヴァーです。

[Official Video] La La Latch - Pentatonix (Sam Smith/Disclosure/Naughty Boy Mashup)








もう1曲は、As Long As You Love Me / Wide Awake

ジャスティン・ビーバー Justin Bieber の As Long As You Love Me と
ケイティ・ペリー Katy Perry の Wide Awake の組み合わせです。


元々の As Long As You Love Me のミュージックヴィデオは長いので
ここでは曲だけをトリミングしたヴァージョンを。

Justin Bieber - As Long As You Love Me (Audio) ft. Big Sean




Katy Perry - Wide Awake





そして、ペンタトニックスのカヴァーです。
このヴィデオのタイトルには [Official Video] とは入っておらず、 Live Videos としてアップされています。
曲・映像ともに軽めに仕上げたということのようです。

As Long As You Love Me / Wide Awake - Pentatonix (Justin Bieber / Katy Perry Cover)








では、ここからは1対1となります。
複数の曲の組み合わせではなく、オリジナル1曲のカヴァーです。

今回は2曲だけのご紹介ですが、次回から、少なくともあと数回はご紹介を続けます! きゃはは!
この選曲がなかなかの難題なのです。
良い曲がたくさんあるからです。



ウェア・アー・ユー・ナウ Where Are Ü Now

スクリレックス・アンド・ディプロ Skrillex and Diplo ( ジャック・ユー Jack Ü とも称する)というグループの曲で
客演はヴォーカルのジャスティン・ビーバー。

Skrillex and Diplo - "Where Are Ü Now" with Justin Bieber (Official Video)





[Official Video] Where Are Ü Now - Pentatonix (Jack Ü ft. Justin Bieber Cover)







ラザー・ビー Rather Be

イギリスのグループ、クリーン・バンディット Clean Bandit の曲。
ヴィデオに登場する主人公の女性は、ロンドン在住の日本人女優が演じており
ご覧の通り、ロケは日本で行われています。

Clean Bandit - Rather Be ft. Jess Glynne [Official Video]




対するペンタトニックスのヴィデオのロケ地はアメ横。
本家クリーン・バンディットに倣ってのことだと思われます。

[Official Video] Rather Be - Pentatonix (Clean Bandit Cover)







お知らせ

7月27日にペンタトニックスの新CDが発売されます。
これは日本だけのスペシャル盤とのことで「ペンタトニックス(最強版)」というタイトルらしいです。

4月6日に YouTube にアップされた最新カヴァー曲「No」(視聴回数1千万回超え)をはじめ
”超スペシャルな新録音源”も入るそうです。
今のところ公表されている内容は以上ですので完全な新曲はないということになりますが
最強版と銘打つ以上は、今までに発表された全ての曲からチョイスするということになるのではないかと私は予想しています。
今後の情報を待って、またお知らせします。


では、次回に続きます。
カヴァーとオリジナルの聴き比べ以外にも、再び「ダフト・パンク」の特集も予定しています。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2016年 5月30日 月曜日

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ここ1年半に渡ってパステルの小品を優先して描き続けてきました。
時折は日本画の過去の作品に手を入れることがあったものの、日本画の新作からは遠のいていました。

パステルも面白く、私に向いている画材だと感じているのですが、さすがに食傷気味になりましたので
久しぶりに日本画の新作を描くことにしました。



◆ ロマネスクのレリーフ 日本画 20号 第1回

イタリア中部のウンブリア州にスポレート Spoleto という古い街があります。
その郊外の、古代のネクロポリス(大規模墓地)があった場所に
ロマネスク様式のサン・ピエトロ教会 Chiesa di San Pietro が建っています。

12世紀から建設が始まったという教会の正面壁には
ロマネスク彫刻を代表できるような秀逸なレリーフ(浮き彫り)が多数彫り込まれています。
これだけのレリーフで彩られた教会は、イタリアではそう多くはないように思います。

今回は、そのレリーフ群の中から一つをクローズアップして描こうと思います。



ロマネスクのレリーフと言えば
数年前にイタリア・ラツィオ州北部のトゥスカーニアという街に建つ
今回と同じ名前のサン・ピエトロ教会の正面壁を描いたことがありました。
この教会の正面壁にも、ロマネスク様式の見事なレリーフが彫り込まれています。
こちらは正面壁のかなり高い位置にある2層目に設けられたバラ窓の周辺にレリーフが集中していました。




 「黙する古堂」 日本画 50号 2014年




今回のスポレートのサン・ピエトロ教会は、建物自体がトゥスカーニアのものより規模が小さいようですし
1層目の正面入り口の周囲にレリーフは集中しています。

実際の正面壁の一部を、イタリア在住の友人の画家 shinkai さん提供の写真でご紹介します。
中央の四角い扉が正面入り口です。
これら以外にも、素敵なレリーフが壁に点在しています。





私が選んだのは”竜を襲う獅子”
この写真は小さいので分かりづらいと思いますが、右下に写っている車のすぐ左上にあるものがそうです。

スポレートのサン・ピエトロ教会について詳しくは shinkai さんのブログをご覧下さい。
教会全体の様子も分かりますし、レリーフが何を表現しているかの解説もあります。

古寺巡礼 サン・ピエトロ教会 スポレート




さて、実は私はこの教会を実際に見たことはないのです。
20数年前、スポレートには1度行っているのですが、当時はこの教会の存在を知りませんでした。
そこで例によって shinkai さんから提供していただいた写真と、ネットで集めた写真を資料にして描いて行くことにします。

作品の大きさは20号変型(72.7 × 40.5 cm)で、規格サイズのM型より細長いプロポーションです。




鉛筆と水彩(黒)による下描きの途中。

鉛筆で大雑把な形ができた段階から水彩を併用しています。

最初はレリーフ本体を画面一杯に描くつもりだったのですが
レリーフの構図を尊重してトリミングなどはせず、他のレリーフとの間を区切っている枠まで入れることにしました。
基本的に、ほぼ実物に忠実に描いています。
変えたところは、竜の羽根を僅かに上に伸ばしたくらいです。

石の継ぎ目や雨シミなどによる黒い汚れも、絵の要素として積極的に利用するつもりです。







彩色1

一通り色が入ったところ。
まだ細部の下描きが終わっていませんが、とりあえず色を入れてみました。

使っている絵の具は、赤口代赭の具(天然白亜を混入)・アイボリーブラック・ローアンバーのみです。
いずれも、一般的な岩絵の具で言えば、最も細かい白番に相当します。
可能な限り、最後までこれで押し通すつもりです。







彩色2

この段階まではレリーフ本体以外の壁を主体に描いています。
レリーフ本体は下描き以降、軽く色をつけているだけです。
壁を意図的に暗くしており、実物以上にレリーフが浮き出て見えるようにしているのですが、これは徐々に調整します。

そろそろ壁とレリーフの描き込みのバランスが崩れつつあり、レリーフ本体を描き込む必要があります。







彩色3

相変わらず壁の描き込みを主体にしていますが、それと併行してレリーフの細部を描き進めています。

ロマネスクの彫刻は、一見稚拙とも思える形の中に鋭い観察力と造形感覚を感じます。
ロマネスクらしくて、しかも良い形を描くのは予想していた以上に難しいものです。

レリーフ本体は、まだ細部を描いていないところもあって、徐々にヌルっとした印象になってきています。
竜の体はウロコや筋肉があるのでまだ描きやすいのですが
獅子は体毛もなく筋骨隆々でもないのでメリハリのある形を描くのは厄介です。








◆ オビドスの自転車 パステル 4号 第1回

オビドス Obidos とは、ポルトガルの首都リスボンから真北へ、直線距離にして70キロほどのところにある街、と言うより村です。
13世紀後半、時のポルトガル王デニスが、スペインから嫁入りしたばかりの王妃イザベルにこの村を贈ったことから
その後は歴代王妃の直轄地となり「王妃の村」とも呼ばれているそうです。

「谷間の真珠」と形容されるオビドスは、城壁に囲まれた小さな村なのですが
建ち並ぶ家々はオレンジ色の瓦と白壁のコントラストが美しい地中海リゾート風の(実際は大西洋に近い)佇まいです。
白壁の一部には、黄色(黄土)や青の帯状の鮮烈な塗り分けが施されており、一層異国情緒が漂います。

そのオビドスの路地に置かれた自転車を描いています。
とは言っても本物の自転車ではなく、土産物屋の店先に置かれた鉄製のオブジェです。
手前に子鹿(トナカイ?)を従えた可愛らしい置物です。


ポルトガルも私には未知の領域です。
よって、こちらも shinkai さんの写真を元に描いています。
ネットにはオビドスの家並みの写真は多数あるのですが、このオブジェを写したものは1枚も見つかりませんでした。

新開さんのブログのオビドスの記事はこちら。
この作品の元になった写真も掲載されています。

オビドス その1・ポルトガル








鉛筆による下描き。

自転車の背後の壁は描きながら決めていきます。
数多くの写真を見てオビドスは花の街という印象を受けましたので
何も入っていなかった自転車の前カゴに花の鉢植えを追加します。







彩色1

最初に水彩で、壁の青い部分と自転車のみ軽く下塗りしてからパステルの彩色に入っています。
赤錆色に覆われたオブジェと、壁の青とのコントラストがこの作品の肝になると思います。







彩色2

現在思案していることは、青い壁を左に若干延長すべきか否か。
壁の右上にぶら下がる3連のカゴが必要か否か。

ロマネスクのレリーフはほぼモノクロですので
併行して明快な色のある作品を描くのは気分転換にも最適です。



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付記

昨日(29日)は、冨田勲さんを偲ぶテレビ番組を2本観ましたので
今日は一日中トミタ・サウンドに浸りながら仕事をしています。

冨田さんの仕事場の様子は何度も映像で見ていますが
狭い空間にギッシリ積み重ねられた電子機器の数々にあっ!と息を呑んだものでした。
電話黎明期の交換台さながらに、多数のコードが蜘蛛の巣のように張り巡らされたアナログ・シンセサイザーは
スタジオと言うよりも町工場のような、奇々怪々かつファンタジックな空間を連想させ
これぞ”手作業の仕事場”という強烈な匂いをプンプンさせていました。

鉄腕アトムやエイトマンの、外観よりも内部の”機械”に強く憧れた元”空想科学少年”には
冨田さんの仕事場は一種の桃源郷のように感じられたものです。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2016年 6月26日 日曜日

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◆ ロマネスクのレリーフ 日本画 20号 第2回

イタリア中部ウンブリア州スポレート郊外にあるサン・ピエトロ教会の正面壁に彫り込まれた
ロマネスク期のレリーフ群の中から一つをクローズアップして描いています。






前回の状態。








彩色4

レリーフの周囲を意図的に暗く落としています。

暗いトーンはひとまず充分だと思いますので、この先は明るい部分を描き起こしていきます。
とは言っても、今回は白っぽい色を入れることは原則としてしないつもりです。
元々の紙の色以上に白くする必要を感じませんので
明るくしたい部分は絵の具を洗い落として紙の色を出すことにします。








彩色5

右下の隅の暗さが実際より暗く写ってしまいました。

明るい部分を少しずつ洗い落として紙の色を出しています。
この画像は小さいので分かりづらいのですが
洗うことによって石の質感と厚味は以前よりも出てきているようですし
光も、より光らしく見えてきたように思います。

レリーフと壁との明るさの差は実際にはほとんどないのですが
意図的に差をつけたせいで、場所によってレリーフが必要以上に壁から飛び出しているように見えます。
特に左の竜は壁から遊離しているように感じます。
本来レリーフというものは、見えている側しか彫っていないのに完全な立体のように見せかけるものではありますが
やはり壁と一体のものですので、これは今後調整が必要です。








◆ サン・マルコ広場の夜 日本画 6号 第1回

イタリアの古都ヴェネツィアと聞いて、真っ先に何を思い浮かべるでしょうか。
もちろん人それぞれだと思いますが、多くの人はサン・マルコ広場なのではないでしょうか。

サン・マルコ聖堂、ドゥカーレ宮殿、鐘楼、旧行政館、時計塔などが取り囲み
沖合にはサン・ジョルジョ・マッジョーレ島が望めるサン・マルコ広場は
掛け値なくヴェネツィアの顔と言えるでしょう。



広場を取り囲む建物のほとんどは1階が柱廊になっています。(アーケードのような状態)
柱廊の柱と柱を結ぶアーチには、照明のための球形のシンプルな電灯が吊るされており
その周囲には、日よけ・雨よけのためと思われる白い幕が設置されています。

以前ネットで、柱廊の内側から広場を望んだ夜景の写真を見たことがありました。
球形の電灯と、その回りの幕が夜空に浮かび上がり
奥にぼんやりと見えるサン・マルコ聖堂や鐘楼と相まって、何やら不思議な雰囲気を醸していました。

この作品では、その情景を描いてみようと思います。
参考資料が少な過ぎて長いこと描けずにいたのですが、ようやく資料が揃いましたので始めることにします。

作品の大きさは6号P(40.9 × 27.3 cm)です。






鉛筆による下描き

電灯の周囲にある幕は、普段はこのように畳まれています。
広げると地面に届くほどの面積があります。

電灯と幕を含めた手前の柱廊は友人の画家 shinkai さん撮影の写真を元にし
背景の広場はネットで見つけた写真を参考にして描いています。

広場の地面が左上がりに傾いていることなど何カ所か気になるところがありますので
それらを修正したら彩色に入ります。







彩色1

最初に空のみ薄墨を入れ、空とそれ以外のものを塗り絵のように塗り分けてから
電灯とその周囲の幕を除いて全体に黄土系の色をかけました。
絵の具は岩黄土の13番・白番・上澄みを適当に混ぜたもの。

その後、さらに空をダイヤモンドブラックで塗り潰し、アーチや幕の明暗を描き始めたところです。
電灯は、輪郭のあたりに僅かに色が入っていますが、ほとんどが紙の色を残していて白は使っていません。

幕の右側下端と、鐘楼の頂上が接近し過ぎているかもしれないと気になり始め
背景を全体に少し左に寄せることも考えましたが、何となくピンと来ません。
鐘楼はかなり暗くする予定ですし、サン・マルコ聖堂は明るくするつもりですので
構図に関しては最初の直感を信じて、このまま進めることにします。







彩色2

明暗を更に描き進めて夜景らしくなってきていますが
思い描いているイメージとはまだまだ隔たりがあります。

奥にあるサン・マルコ聖堂を予定通り明るくしていますが
白を入れたわけではなく、絵の具を洗い落として紙の色を出しています。
ただ、一層目の左端にある張り出し部分を洗い忘れています。
ですから左端はもう少し左に延びます。

洗い落としでは雰囲気は出しやすいのですが細かい描写はできませんので
この後は絵の具も使って描き進める必要があります。


-------------- Ichiro Futatsugi.■


YouTube視聴2億回記念 ダフト・パンク狂奏曲集

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アメリカの5人組ア・カペラグループ「ペンタトニックス」の
代表的カヴァー曲「ダフト・パンク」については、すでに何度かご紹介しました。

本日、YouTube での視聴回数が2億回を超えました!

2013年11月4日にアップされて以降、2年半ほどでの達成です。
ポピュラーミュージックの世界では2億回を超えているものは多数あり
必ずしもトップクラスというわけではありませんが
ア・カペラとしては、おそらくダントツのトップだろうと思います。


その「ダフト・パンク」をはじめ数々のカヴァー曲で人気を博しているペンタトニックスですが
ふと、彼らもまたカヴァーの対象になっているのではないか …
そう思いついて検索してみたところ、ある!ある!ある!
やはり「ダフト・パンク」のカヴァーは多数存在しています。

それらの中から特に秀逸(?)な7曲を厳選し、「ダフト・パンク狂奏曲集」を編成してみました。
どうぞ、最後までご清聴賜りますようお願い申し上げます。



◆第1曲 「序曲」

まずは You Tube 界の大御所から。
You Tube のスター投稿者の一人、アメリカのシンガーで俳優のトドリック・ホール Todric Hall のパロディーです。
パロディ動画などを数多くアップして大人気の彼は
ペンタトニックスのリードヴォーカルの一人であるスコット・ホーイングとは親友だそうです。
これ以外にもペンタトニックスを起用した「オズの魔法使い」のヴィデオも制作しています。

なお、このヴィデオの前半は同じくペンタトニックスの「 Save the World / Don't You Worry Child 」のパロディーで
後半から「ダフト・パンク」が始まります。

Pentatodrix by Todrick Hall






◆第2曲 「ロシアより愛をこめて」

ロシア版ダフト・パンク。
英語の歌詞をそのままロシア語に訳したものと推測されるのですが、全然違う曲に聞こえます。
歌っている人たちはCGアニメではなく実写ですので、念のため。

[not Official Video] Pentatonix ( Daft Punk ) RUSSIAN Parody! good as original






◆第3曲 「シマリスのつぶやき」

タイトルにある Chipmunks version (チップマンクス・ヴァージョン)とは、シマリス版という意味です。
「アルビンとチップマンクス」という1958年に作られた縞栗鼠のキャラクターの声をイメージしたもののようです。

Pentatonix - Daft Punk (Chipmunks version)






◆第4曲 「真夏の夜の裏飯屋合唱隊」

タイトルの「 No es lo mismo pero es igual 」は、「同じではないが等しい」というような意味のスペイン語です。
歌自体はオリジナルを使用した形態模写で、ペンタトニックスと同じではないがレベル的には等しいと言いたいのでしょうか。
テレビ番組であるらしく、曲の始まるのが6分25秒あたりからと前置きが長いのですが
真夏の暑い夜にご覧になると背筋がゾクッとします。

No es lo mismo pero es igual - Pentatonix "Homenaje Daft Punk"






◆第5曲 「ちょっと一息、間奏曲」

真っ当な人が真面目に歌っているものだってあるのです。
難易度の高い曲だけに完成度のあるカヴァーは難しいのですが、これは比較的よく出来ています。

[Official Video] Daft punk - Pentatonix (S4 BeatBox Bachka cover)






◆第6曲 「歯科矯正少女合唱団」

グループ名の I Dolci (イ・ドルチ)とは「お菓子・キャンディー」という意味のイタリア語です。
歯の矯正金具がチャーミングな、おそらく10代半ばくらいのシニョリーナ達でしょうねぇ。
う〜ん、かわいいよぉ!!

I Dolci Girl-Group-PENTATONIX-Cover of "Daft Punk"






◆第7曲 「ヘタレ・パンク」

タイトルの末尾に without autotune とありますが、 autotune (オートチューン)というのは「音程補正ソフト」のことです。
つまり without autotune は、音程補正ソフトは使っていないという意味になります。

数ある「ダフト・パンク」のカヴァーの中で
最も印象に残ったものですので、今回のトリを務めていただきます。

PENTATONIX - DAFT PUNK (without autotune)










ご清聴、誠にありがとうございました!
それでは最後のシメとして、やはり元祖・家元ペンタトニックスに登場していただきましょう。

[Official Video] Daft Punk - Pentatonix





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7月27日に日本独自企画のアルバム「PENTATONIX 最強版」がリリースされますが
予告されていた”超スペシャルな新録音源”の正体が、つい最近公表されました。

日本の Perfume(パヒューム)というグループの曲をメドレー仕立てでカヴァーしたものです。


Pentatonix - Perfume Medley



広島出身の若い女性3人組のテクノポップグループで、メジャーデビュー10年になるのだそうです。
メンバーは20代後半ですのでペンタトニックスより僅かに上ということになります。

ペンタトニックスが日本人ミュージシャンをカヴァーするのは2度目。
クリスマスアルバム「 That's Christmas to Me ( Japan Edition )」で、山下達郎の「クリスマス・イヴ」をカヴァーして以来です。
「クリスマス・イヴ」は英語でしたが、今回は日本語で歌っています。



今年のペンタトニックスはワールドツアーに明け暮れるようです。
春から始まったヨーロッパツアーは終了したようですが
8月20・21日に東京と大阪で開催されるサマーソニックに参加するために今年2度目の来日をし
それ以後はアジア・オーストラリアなどのツアーを経て、北米ツアーの終わるのが11月下旬とのことです。
多忙を極める彼らですが、来年は腰を落ち着けて新たな展開を期待したいところです。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

残暑見舞い特集 ペンタトニックス以外をいくつか (追記あり)

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残暑お見舞い申し上げます!


7月末に更新する予定でした絵の記事を都合により延期いたしましたので
夏休みの番外編として、今回はペンタトニックス以外のミュージシャンを取り上げようと思います。
必ずしもア・カペラとも限りません。


その前にペンタトニックスに関する情報から。

先月27日にリリースされた最新アルバム「PENTATONIX JAPAN SUPER EDITION ペンタトニックス最強版(日本限定)」は
iTunes では洋楽1位を達成したとのことで、セールスも好調のようです。
良かった!良かった!


(追記)

その最新アルバムに収録されている最新カヴァー曲「Perfume Medley パフューム・メドレー」のミュージック・ヴィデオが YouTube で公開されました。

[Official Video] Perfume Medley - Pentatonix


先に公開されていた曲のみのヴィデオは海外での視聴は不可でしたが、これは可能なのでしょうか?



そして、もう一つ大きなニュースが発表されています。

NEW HOLIDAY ALBUM
Will be released later this year!

年内に新しいクリスマス・アルバムをリリースする予定!

英語の不自由な私は later this year を年内と解釈しましたが正しいですか?
欧米では12月一ヶ月間はクリスマスという感覚ですので、11月にはリリースされるということでしょうか。
それともクリスマス・プレゼントとして12月24日頃になるのでしょうか。
今のところ、まだ内容・発売時期など詳しい情報はありません。

彼らのクリスマス・アルバムと言えば、2014年10月にリリースされた「That's Christmas To Me ザッツ・クリスマス・トゥ・ミー」がありますが
このアルバムは200万枚(ダブル・プラチナと言うらしい)の売り上げを達成したそうで
ここに収録された曲「Dance Of The Sugar Plum Fairy ダンス・オブ・ザ・シュガー・プラム・フェアリー」によって2回目のグラミー賞を受賞しています。

「ペンタトニックス最強版」は、昨年リリースされたオリジナル曲中心のアルバム「ペンタトニックス」をベースに
何曲か追加したり(パフューム・メドレーも含む)入れ替えたりした構成ですが
新しいクリスマス・アルバムも同じような形をとるのか、それとも新しくレコーディングしたものが主体になるのか…。
今年の彼らはツアーに明け暮れていますので、はたしてレコーディングする時間が取れるのか気になるところです。


ツアーと言えば、今年後半のツアーの先陣を切るような形で
20・21日に東京・大阪で開催される「SUMMER SONIC サマー・ソニック」というイベントに出演するため来日します。(今年2度目の来日)




では本題に入ります。



ポストモダン・ジュークボックス Postmodern Jukebox という、一風変わった名前のグループがあります。
現代のポピュラーミュージックを、主に1920年代調のノスタルジックな雰囲気にアレンジすることを得意としています。

このグループを立ち上げたスコット・ブラッドリーという人はジャズ・ピアニストで
元々ポピュラーミュージックは好みに合わず、ほとんど聴いて来なかったそうです。
ある時、ポピュラーミュージック嫌いの原因は決して曲がつまらないわけではなく
言わばポピュラーミュージック界全体が醸す雰囲気のようなものが嫌いだったことに気づき
曲自体の良さをポピュラーミュージック嫌いの人にも伝えたいと、このグループを立ち上げたのだそうです。


彼らのカヴァー曲を一つご紹介します。
アメリカの若いシンガーであるメーガン・トレイナー Meghan Trainor のヒット曲 All About That Bass のカヴァーです。

All About That Bass - Postmodern Jukebox European Tour Version





そして、こちらがオリジナルです。

Meghan Trainor - All About That Bass






では、この曲をカヴァーした別のミュージシャンのヴィデオをご紹介します。

以前ご紹介したことがあるアメリカのア・カペラグループ ホーム・フリー Home Free によるカヴァーです。
2013年の全米ア・カペラコンテスト「ザ・シング・オフ The Sing Off 」シーズン4の優勝者で
ペンタトニックスは2011年のシーズン3の優勝者です。


Meghan Trainor - All About That Bass (Home Free a cappella cover)



つい最近、創立メンバーのラップ兄弟(兄クリス・弟アダム)の内
兄のクリス・ラップ(トレードマークはカウボーイハット)がソロ活動に専念するために脱退し
新しくアダム・チャンスというヴォーカリストが加入しました。
アダム・チャンスはストリート・コーナー・シンフォニー Street Corner Symphony というア・カペラグループのメンバーで
レオナルド・ディカプリオ似ということで知られており、確かにディカプリオを少し横に引き伸ばしたような顔立ちです。
ストリート・コーナー・シンフォニーは2010年の全米ア・カペラコンテスト The Sing Off のシーズン2で準優勝したグループです。


では、ディカプリオと聞いて心がトキめいた貴女のために、アダム・チャンスが加入してからのヴィデオを。

Maren Morris - My Church (Home Free Cover) (Country A Cappella)






ホーム・フリーと言えば、以前、ヴォーカルベース担当のティム・フォウストが
多重録音で作るア・カペラで知られるピーター・ホーレンズ Peter Hollens と組んでカヴァーした「Misty Mountains」をご紹介しました。
ティムの重低音が素敵な曲ですので再度ご紹介します。

Misty Mountains - ft. Tim Foust


余談ですが、この二人を見て我が妻は「チワワとハスキーみたい!」と、言い得て妙な感想を呟いておりました。



こちらが「Misty Mountains」のオリジナル。
ファンタジー映画「ホビット」の中の曲です。
映画を観たことはありませんが、「ホビット」は「ロード・オブ・ザ・リング」の前日潭という位置づけの物語だそうです。

The Misty Mountains Cold - The Hobbit







ティム・フォウストと組んで「Misty Mountains」をカヴァーしたピーター・ホーレンズ Pete Hollens はアメリカのシンガーソングライター。
2011年頃から YouTube に曲をアップし始めたとのことです。
ペンタトニックスより少し歳上の世代です。

主にア・カペラで、メインヴォーカルからコーラス、ビートボックスに至るまで一人でこなし
それらを多重録音して曲作りをしています。
シンガーやヴァイオリニストなどを積極的にフューチャーして曲作りをすることも多く
シンガーである彼の奥さんイヴァンヌ・ホーレンズ Evynne Hollens も、彼の曲の中にしばしば登場します。


客演者を呼ばずに一人だけで声を重ねて作った「Misty Mountains」もありますし
ホビット以外にもディズニーなどの映画音楽をたくさんカヴァーしています。
それらの中から「ホビット 竜に奪われた王国」で使われた「I See Fire」のカヴァーをご紹介します。
客演はヴァイオリニストのテイラー・デイヴィス。

I See Fire - Peter Hollens ft. Taylor Davis





こちらがオリジナル。
エド・シーランというイギリスのシンガーソングライターの曲です。

Ed Sheeran - I See Fire (Music Video)






ピーター・ホーレンズを、もう1曲。
マルーン・ファイブ Maroon 5 というグループの「ムーヴス・ライク・ジャガー Moves Like Jagger」のカヴァー。
客演はシンガーのサヴァンナ・アウトン。

Moves Like Jagger - Peter Hollens - Savannah Outen - (Maroon 5 Cover)





こちらがオリジナル。
因に Jagger とはローリングストーンズのミック・ジャガーのことです。

Maroon 5 - Moves Like Jagger ft. Christina Aguilera






さて、今日はペンタトニックス以外の特集でしたが
最後はペンタトニックスのカヴァーに戻ります。

かつてペンタトニックスもこの曲をカヴァーしているのです。
これを作ったのは全米ア・カペラコンテスト「ザ・シング・オフ The Sing Off 」で優勝した直後ですから
かつてとは言っても4年半ほど前でしかないのですが、ペンタトニックスとしてはごく初期のものです。
優勝した彼らはソニー・ミュージックというメジャー・レーベルと契約できたわけですが
まったくの新人ですから、すぐにミュージック・ヴィデオを作ることはできなかったようで
このヴィデオは自分たちで撮って YouTube にアップしたものです。
そのため、音質も画質も素人レベルですが、最近のヴィデオにはない初々しさに満ちあふれています。

"Moves Like Jagger" - Pentatonix (Maroon 5 Cover)



-------------- Ichiro Futatsugi.■

号外! イタリア中部で大地震! (追記あり)

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24日の昼過ぎ、何気なくネットのニュースサイトを見ましたら
「イタリア中部でM6.2の地震 建物倒壊…」という見出しが飛び込んできました。

第一報では、地震は現地時間24日午前3時半頃に発生、ウンブリア州ノルチャの南東10キロが震源地で、震源の深さは10キロ、規模はマグニチュード6.2
震源地から10キロほど離れたアマトゥリーチェという小さな街は壊滅状態らしい…ということでした。

ノルチャは、ペルージャ、アッシジなどがあるウンブリア州の東の端にあり
そこから10キロの震源地周辺は、ウンブリア・マルケ・ラツィオ・アブルッツォ各州の州境が集まる山間部です。

アマトゥリーチェという名前、どこかで聞いたことがある気がするなぁ…と思いましたら
パスタ料理のアマトゥリチャーナ・ソースの語源なのだそうです。
観光地でもあり、観光客も巻き込まれた可能性もあるとのこと。
この街は、今回だけではなく17世紀にも大地震に見舞われたことがあるのだそうです。

25日の報道では死者240人以上ということで、救助活動が困難な山間部であることもあって更に増える模様です。
テレビのニュースでは、ほぼ壊滅状態のペスカーラ・デル・トゥロント Pescara del Tronto という村が映し出されました。
ここは震源地に最も近いアックーモリ Accumoli の街から北東へ6キロほどの位置で
写真で見る限り、かなり古い家ばかりが建ち並んでいる村のようです。


今回の地震が起きた場所をGoogleマップを借用して示します。



赤いバツ印が震源地ラツィオ州アックーモリ付近

下の地図は震源地周辺の拡大です。



ここは本当に州境が寄り集まったような場所です。
震源地アックーモリとアマトゥリーチェはラツィオ州
被害の大きいペスカーラ・デル・トゥロントとアルクアータ・デル・トゥロントはマルケ州。
第一報で、震源地に近い大きな街として名前の出たノルチャはウンブリア州。
アマトゥリーチェから5キロも行けばアブルッツォ州に入ります。

甚大な被害の出ている被災地が複数の州に分かれていますので
それが救助活動に支障をきたすことがないように願っています!!



地震の詳細は、日本のメディアは記事が少ないので、日本語版のある2つの海外メディアを。

イギリスBBC日本版
http://www.bbc.com/japanese

アメリカのハフィントン・ポスト日本版
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/23/perugia-earthquake_n_11670054.html


日本語版はありませんが、やはり一番情報量の多いのは地元イタリアのメディアです。
国営イタリア放送協会 RAI のサイトはこちら。
http://www.rai.it/


そして、北イタリア在住の友人の画家 shinkai さんも
夏休みでブログ休載中にも拘らず速報記事をアップしておられます。
shinkai さんは今回の震源地から400キロほど離れたヴェネツィアの北の方にお住まいですし
記事をアップできたということはご無事のようです。
http://italiashio.exblog.jp/23432106/



被災された方々には、謹んでお見舞い申し上げます。




イタリアは日本と同様、地震大国なのはよく知られたところです。
特に中部では大きな地震が頻発しています。
今回の震源地から南東へ40キロほど離れたアブルッツォ州ラクイラでも
2009年に群発地震の後マグニチュード6.3の大地震が起きて300人以上が亡くなるなどの甚大な被害を受けています。

人的被害もさることながら、文化財の被害も気にかかります。
イタリアは国全体が博物館と言われるだけあって
こんなところに?!と驚くほどの地方の片田舎にも目を見張る文化財が点在しています。

1997年にはウンブリア州で起きた大地震によって、アッシジのサン・フランチェスコ聖堂では
天井の壁画の一部が崩落し、その直撃を受けた修道士と観光客が亡くなっています。
次の画像はその様子で、ネットから借用したものです。




 サン・フランチェスコ聖堂の天井の一部が崩落した瞬間




 地震で崩落した天井の状態




一昨年に「マドンナ・デル・パルト 懐妊の聖母」という記事を4回に渡って書き
ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画「マドンナ・デル・パルト」を取り上げましたが
主要部分しか現存していない、そもそもの原因が地震でした。
作品のあるトスカーナ州モンテルキの街が17世紀に大地震に見舞われ
地震当時ピエロは忘れ去られた画家だったこともあって、多少の損傷を受けたであろう「マドンナ」は
おそらく人為的に、主要部分を残して壊されてしまったのではないか?というのが私の推測でした。

「マドンナ・デル・パルト 懐妊の聖母」の記事はこちら。
地震を含む「マドンナ」の辿った歴史は第3回に書いてあります。
第1回  第2回  第3回  第4回




 ピエロ・デッラ・フランチェスカ 「マドンナ・デル・パルト Madonna del Parto」
 トスカーナ州モンテルキ マドンナ・デル・パルト美術館




今回の地震では約100キロ離れたローマでも揺れを感じたとのことですが
私の馴染みのある隣のウンブリア州各地はどうだったのでしょうか。
報道は震源地周辺に集中しているせいもあって、今のところは何も分かりません。
州都ペルージャまでは約80キロ、アッシジまでは約65キロありますから
揺れたでしょうが、おそらく被害は出ていないと思われます。

現在私は、ウンブリア州スポレート(震源地から約35キロ)の教会のレリーフと
同じくウンブリア州プレーチ(震源地から約25キロ)の街並みを描いています。
ペルージャやアッシジよりずっと震源地に近い両者に被害が出たのかどうか気になるところです。



で、そのスポレートとプレーチの絵はどうなったんだ?という声が聞こえてきましたが
はい、月末にはアップする予定にしております。
制作過程の写真も溜まってきていますので、先月末に更新できなかった分も掲載する予定で〜す!

ま、あくまで予定とは未定の範疇にあって、決定ではないのですけどねぇ、うひひ。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2016年 8月31日 水曜日

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◆ ロマネスク聖堂の後陣 40号(100 × 85 cm) 第5回

久々の登場です。
前回掲載したのは2014年の大晦日でしたので、およそ一年半ぶりになります。

ロマネスク様式の聖堂の後陣、つまり聖堂の一番奥の外観で
一つ、あるいは複数のアプシス(アプス)と呼ばれる半円筒形の出っ張りがあります。
このアプシスに囲まれた内部の空間に祭壇が位置します。

描いているのは特定の聖堂ではなく、二つの聖堂をモデルにした架空の後陣です。
一つは、イタリア・エミーリア=ロマーニャ州サン・レオにあるサンタ・マリーア・アッスンタ聖堂。
もう一つは、スペイン・カタルーニャ州マタデペラにあるサン・ロレンソ・デル・ムント聖堂です。
どちらも単純明快な3連アプシスの後陣を持っています。





前回の状態。
この状態のまま1年半が経過しました。

この段階では全体感や雰囲気はそれなりに出つつあると思うのですが、
石の描写がかなりボケてきており、全体がボンヤリとして、石積みの持つ迫力に欠けた印象を受けます。

再開の第一歩として、もう一度下描きをやり直すつもりで、1個1個の石を描き起こすことにしました。








彩色5

画像が小さいと分かりづらいのですが、石の輪郭の描き起こしがほぼ終わった状態です。
強弱やニュアンスなどはあまり考えずに、半ば機械的に、ひたすら描き起こしただけです。

こうして比べてみると、前回の画像がピンボケに見えます。
雰囲気はなくなりましたが、以前にはなかった力強さは出てきつつあるように思います。

石を描き起こす前に、明るい部分を洗ってあります。
元々あまり鮮やかな色が入っていなかったのですが、洗ったことによってだいぶ白くなりました。
石の色は、実際よりやや派手目にする予定です。









◆ ロマネスクのレリーフ 日本画 20号 第3回

イタリア・ウンブリア州のスポレートという街にある、サン・ピエトロ教会のレリーフを描いています。





前回の状態








彩色5

前回以降、明るい部分は洗って紙の色を出し、それを調子として利用するという方法で描き進めています。
単純に洗うだけでは単調になりやすいので、場所に応じて、細い油彩筆・刷毛・スポンジなどを適宜使い分けています。

洗ったところの質感と、洗っていないところのマチエールの質感は異なりますので
暗い部分も多少は洗って質感を統一させる必要が出てきました。

ここ一ヶ月ほどは全く手を入れずに寝かせていましたので、いくつか気になるところも出てきています。
そろそろ最終調整をして仕上げる段階に来ています。








◆ サン・マルコ広場の夜 日本画 6号 第2回

ヴェネツィアのサン・マルコ広場を取り囲む回廊から眺めた広場を描いています。





前回の状態








彩色3

球形の電灯は紙の地を残して描き進めてきましたが、前回あたりで限界を感じ
幕のハイライト部分と共に、白や黄土系の色を入れています。

後ろのサン・マルコ聖堂や鐘楼も一応描きましたが
街灯の光など、もう少し明るさのアクセントがあってもいいかなと思っています。









◆ プレーチの夜 日本画 4号 第1回

イタリア・ウンブリア州の極東とも言えるような山間部にプレーチ Preci という小さな街があります。
サン・テウティツィオ修道院 Abbazia di Sant'Eutizio と中世の外科学校で知られるプレーチは
外から眺めると、山の斜面に作られた段々畑のように家が建ち並び、こじんまりとした美しい佇まいです。

24日にイタリア中部を襲った地震の震源地から北西に約25キロしか離れていませんが
甚大な被害の出た震源地周辺に比べると被害は軽微だったようで幸いでした。

プレーチを遠望する夜景を描いています。
ここは霧の名所のようで、ネットで検索した写真にも霧がかかっているものの方が多いくらいです。
一応霧も入れるつもりでいますが、様子を見ながら決めます。





鉛筆による下描き

下描きの後、鉛筆を定着するためにニカワ水を引きますが
ニカワを引く刷毛を何度も往復させ過ぎて鉛筆がぼやけ
全体のコントラストが低く暗くなってしまいましたが、特に問題はありません。








彩色1

一通り色が入ったところ。
色を置いては軽く洗うという作業を繰り返しています。

街並みが単調でノッペリして見えます。
基本的な形を描き、一応色を入れただけですので、街のスケール感も空間もまだありません。

夜景ですので、そろそろ窓灯りや街灯を入れて夜景らしくしていきます。








◆ リクヴィールの吊り看板 日本画 6号 第1回

フランス北東部の端、ドイツ国境に隣接するアルザス地方にリクヴィール Riquewihr という村があります。

アルザス地方の中心都市ストラスブールから南南西方向へ
アルザスを縦断する有名なワイン街道に沿って60キロほどの山沿いにあり
「フランスの最も美しい村」の一つに選定されている人気の観光地でもあります。
中世の面影を色濃く残す…と言うよりも、お伽噺の世界をそっくり再現したような佇まいです。

リクヴィールの細い路地裏にあるホテルの吊り看板を描いています。
この村をはじめ、アルザス地方には描きたくなる看板が多数あります。
モデルにしたのは、ホテル・ア・ロリエルという客室数20ほどの小さなホテルの看板です。
これも夜景になります。





鉛筆による下描き

吊り看板を描くのは2度目ですが、なかなか手間暇がかかります。
彩色で簡単に消えてしまわないように、看板だけは濃いめに描いています。







彩色1

下描きからかなり描き進めた状態です。
看板本体を描くのに手間取り、それ以外はあまり進んでいません。
看板の後ろにある出窓のような出っ張りは、なるべく夜空に溶け込ませるように目立たなくします。

左端が若干広過ぎるように見えますが、壁を這う植物や窓をしっかり描いていないためかもしれません。
植物と窓、照明に照らされた範囲を決めてみて、それでも広過ぎるようでしたらカットします。





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イギリスBBCの日本版サイトによると
イタリア中部地震で壊滅的な被害を受けたアマトゥリーチェで29日に
瓦礫の中からペットの猫が助け出されたそうです。

その猫は「ジョイア Gioia (喜び)」という名前だそうです。
飼い主がずっと捜していたそうで、無事に再会を果たせた喜びに浸っていることでしょう。


BBC NEWS JAPAN より



被災地では、まだ何人かの行方不明者がいるそうです。
少しでも早い発見を祈るばかりです。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.3

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本題に入る前に、まずは16日に公開されたばかりのペンタトニックスの最新ミュージック・ヴィデオをご紹介します。

カントリー・ミュージックの大御所ドリー・パートン Dolly Parton が1974年にリリースした大ヒット曲「 ジョリーン Jolene」を
ドリー本人と共演したコラボレーションです。

Pentatonix & Dolly Parton - Jolene




カヴァーという分類には入らないと思いますが、一応オリジナルをご紹介しておきます。

Dolly Parton - Jolene (High Quality) sound






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先日、今年中にペンタトニックスの新しいクリスマス・アルバムが出るとお知らせしましたが
10月21日に海外ではリリースされることが決まったようです。
ただ、日本でも同時にリリースされるかどうかは不明で、続報を待ちたいと思います。


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さて、ペンタトニックスのカヴァー曲を原曲と聴き比べる「聴き比べ:カヴァーとオリジナル」も3回目を迎えました。

聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.1
聴き比べ:カヴァーとオリジナル Vol.2

前回の後半から1対1、つまり複数の曲の組み合わせではない一つの曲のカヴァーをご紹介しています。




◆ パパウテ Papaoutai

ベルギー出身のストロマエ Stromaeというシンガーの曲。
パパウテとは「パパ、どこにいるの?」という意味のフランス語 Papa où t’es から造られた言葉で
幼い頃に父親と生き別れた彼の実体験を元にしたものだそうです。

因にストロマエという名は、マエストロ maestro のスペルを半分に分割して前後に入れ替えたものとのこと。

Stromae - Papaoutai





オリジナルの歌詞がフランス語で、ペンタトニックスもフランス語を練習して歌っています。
ビートボックス担当のケヴィン・オルソラはチェリストでもあるので、この曲のように時折チェロの演奏を入れることがあります。
客演は、踊るヴァイオリニストとして人気のあるリンジー・スターリング。


[Official Video] Papaoutai Pentatonix ft. Lindsey Stirling (Stromae Cover)







◆ アハ! Aha!

イギリス出身のシンガー・ソングライターであるイモージェン・ヒープ Imogen Heap の曲。
数々の楽器をこなすマルチ・プレーヤーであり、デジタル・サウンドを併用して曲作りをするそうです。


Imogen Heap-Aha!




ペンタトニックスは怪談話仕立てでアレンジしています。


[Official Video] Aha! - Pentatonix (Imogen Heap Cover)







◆ カンナム・スタイル (江南スタイル) Gangnam Style

K - POP(韓国ポピュラーミュージック)史上空前の世界的大ヒットとも言える曲のカヴァー。
韓国人ミュージシャンでダンサーのサイ PSY が2012年にリリースしたもの。
You Tube では視聴回数が25億回を超えています。


PSY - GANGNAM STYLE M/V




残念なことに、ペンタトニックスはオリジナルの圧倒的な迫力に押され気味のようで
少々消化不足のように感じてしまいます。
前出の「パパウテ」はフランス語でしたが、こちらは韓国語です。


GANGNAM STYLE - Pentatonix (PSY Cover)







◆ サムボディ・ザットゥ・アイ・ユーズドゥ・トゥ・ノウ Somebody That I Used To Know

ベルギー生まれでオーストラリアで活動するシンガーソングライター ゴティエ Gotye の大ヒット曲。
カヴァーするミュージシャンも多く、YouTube では8億回を超える視聴回数を誇り
カヴァーやパロディのヴィデオも YouTube には相当数がアップされています。


Gotye - Somebody That I Used To Know (feat. Kimbra) - official video





ペンタトニックスのカヴァーが公開されたのは2012年2月のことで
彼らのYouTube オフィシャル・チャンネルで公開されているヴィデオ群の中で三番目に古いものです。


Somebody That I Used To Know - Pentatonix (Gotye cover)





今回はここまで。
まだまだ続きます。
ご紹介したい曲がたくさんあり過ぎて選曲に困り、まだ全部はご紹介できていません。

次回は、ペンタトニックス自身の企画ではないようですが
17曲を組み合わせたものを1曲ご紹介する予定です。
名作「ダフト・パンク」は7曲でしたから、それを遥かに上回ります。

聴き比べですので、1曲だけとは言え、対するオリジナルが17曲並ぶことになりますので
ご覧になる皆さんにとっては「聴くも地獄」状態になるかもしれません。
どうぞ、そのお覚悟を! きゃはは!


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2016年 9月30日 金曜日

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◆ ロマネスク聖堂の後陣 40号(100 × 85 cm) 第6回

ロマネスク様式の、架空の聖堂の後陣です。




前回の状態








彩色6

洗ってだいぶ白くなっていましたので、再び石の色をつけています。
特に白い石だけは白亜を塗っておき、微粒子の黄土系や朱の具などを薄く溶いたものを刷毛で塗り重ねます。

前回、石の輪郭線を濃いめに描き、しばらく時間を置いてニカワを落ち着かせましたので
刷毛を繰り返し使っても、輪郭線が消えることはほとんどありません。
ただ、微粒子の絵の具が上に乗りますので、輪郭線は当然薄くなります。

かなり均一に描いておいた輪郭線に絵の具が乗って表情が出てきましたが
刷毛を使うのは一旦中断して、また個々の石を描き起こす必要が出てきたように思います。






◆ プレーチの夜 日本画 4号 第2回

イタリア・ウンブリア州の山間部にある街プレーチの夜景です。




前回の状態








彩色2

街灯を入れて夜景らしさを出し始めたところです。


全体にボソボソとしたマチエールになり過ぎているような気がしています。
特に街の表情がカサカサしていて、しっとりとした夜の空気感が足りないように感じます。
ザラザラの紙を使っていることが、少し裏目に出ているのかもしれません。

プレーチらしい段々畑状とも言える街の印象と少し違っていることも気になります。
おそらく屋根の形をしっかり決めていないのが主な原因だろうと思います。






◆ 安曇野の水車小屋 ジークレー下地のパステル(作品ベース) 25.5 × 17.5 cm 第1回

長野県安曇野市穂高にある水車小屋です。
日本画・パステル・鉛筆淡彩などで何度も描いたことがあり
点景として小さく入れたものも含めると10点は軽く超えています。

モデルは大王わさび農園の脇の河畔に建つ水車小屋です。
8話から成るオムニバス形式の黒澤明監督の映画「夢」の内、「水車のある村」のために造られたものです。

10年ほど前に描いた鉛筆・淡彩をベースにしてプリント用画像を作ります。
今回はサムホールなどの既成サイズに合わせる必要がないため
適度な余白を残してA4サイズの紙にプリントできる 25.5 × 17.5 cm にしました。
3号Pより少し小さいサイズです。




原画

カラーマーメイド紙に鉛筆で描き、軽く色をつけたもの。
この画像を加工してプリント用の画像を作ります。







プリント用画像

小屋の上と左の空間を増やし、原画よりも少し下広がりのパースをつけています。
いつものように、このくらい彩度を落としてプリントします。







彩色1

水彩で軽く下塗りしたところ。
この後からパステルを使用します。







彩色2

ソフトパステルを主体に、暗いところや黒いところは水彩を併用して描き進めています。
今までのところ、パステルを定着させるためのフィクサチーフは未使用。
途中で洗うことを想定しているためで、少し描いては霧吹きで水をかける、という作業を繰り返しています。

私の使っている「レンブラント」は、顔料を棒状に固める粘着剤を多めに配合しているようで(色にもよります)
薄く使う限りですが、触ってもあまり落ちませんし、水をかけるだけで定着したかのように落ち着きます。
ただし、フィキサチーフより若干ベタッとした発色・質感になりますし
もとより、水だけでは完全に定着するわけではありません。

この画面は撮影の直前に1回刷毛で軽く洗っているのですが、予想したほど色は落ちませんでした。
特に空に使った淡いグレーはほとんど落ちなかったために
パステルのタッチが浮き出て筋模様になってしまっています。





さて、早いもので今年も残り3ヶ月となりました。
現在制作中の作品は10点と、少々溜まり過ぎています。
今年は個展がないので、久しぶりにゆっくり描こうと思ってはいるのですが
あまりのんびりしていると緊張感に欠ける危険があります。

10月は、今抱えている10点に目途をつけて
11月からは新たな作品に取り掛かれるようにしたいところです。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

聴き比べ:「オズの魔法使い」の場合

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まずはお知らせから。

10月21日 ペンタトニックスの新アルバム「A Pentatonix Christmas」(輸入盤)がリリースされます。
2014年の「That's Christmas to Me」以来のホリデイ・アルバムです。

今年は春先からワールドツアーを敢行しており、9月末に一旦アメリカに戻ったものの
明日17日からはアメリカ各地・カナダを巡る北米ツアーが始まり、11月22日まで続きます。
そんな多忙な中、よくこれだけのレコーディングをこなしたものだと感心します。




PENTATONIX 日本公式 Twitter より


●収録曲

1. O Come, All Ye Faithful
2. God Rest Ye Merry Gentlemen
3. White Christmas feat.The Manhattan Transfer
4. I'll Be Home For Christmas
5. Up On The Housetop
6. The Christmas Sing-Along
7. Coventry Carol
8. Hallelujah
9. Coldest Winter
10. Good To Be Bad
11. Merry Christmas, Happy Holidays



PENTATONIX 日本公式 Twitterには、全曲を、それぞれ10秒分だけ”ちょい聴き”できるツイートが出ていますが
それらを纏めたと思われるヴィデオが YouTube にアップされています。

A Pentatonix Christmas (Tracklist) [Teaser]





それとは別に、14日には YouTube のオフィシャル・チャンネルで最新ヴィデオが公開されました。
公開から2日ほどですが、視聴回数はすでに120万回に迫る勢いです。

Gold – Pentatonix (Kiiara Cover)




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聴き比べ:「オズの魔法使い」の場合


ジュディ・ガーランドの主演で1939年に公開されたミュージカル映画「オズの魔法使い The Wizard of Oz」
これをベースとし、様々な曲を散りばめて構成したミュージック・ヴィデオをご紹介します。

ヴィデオのタイトルは「The Wizard of Ahhhs by Todrick Hall」
2013年に YouTube にアップされたものです。

企画したのはペンタトニックスの友人でもあるトドリック・ホール Todrick Hall というミュージシャン&コメディアン。
そこにペンタトニックスが全面的に参加して、ドロシー・愛犬トト・案山子・ブリキ男・ライオンなど物語の登場キャラクターを演じており
「トドリック・ホール版オズの魔法使い」という構成になっています。

曲の構成・アレンジをトドリック・ホール1人が考案したのか
ペンタトニックスもアイデアを出しているのかどうかは不明ですが
何も知らないで聴いても違和感を感じない仕上がりになっていると思います。

ペンタトニックスの名作と言えるカヴァー曲「ダフト・パンク」は7曲を組み合わせたものでした。
この曲は、それを遥かに上回る 17曲! の一部を使って構成されています。



The Wizard of Ahhhs by Todrick Hall





では、この曲に使われた17曲をご紹介しますが
この曲がだいたい頭に入っていないと
それぞれの曲の、どの部分を使ったのか分かりづらいものもあります。
17曲は、ほぼ登場する順に並べてあります。






1. Somewhere Over the Rainbow

当然と言えば当然ですが、スタートは「オズの魔法使い」を代表する曲「サムウェア・オーバー・ザ・レインボウ」
言わずと知れた、主人公ドロシー(ジュディ・ガーランド)が歌う劇中歌。

Somewhere Over the Rainbow - The Wizard of Oz (1/8) Movie CLIP (1939) HD






2. Blown Away

アメリカのカントリーミュージシャン キャリー・アンダーウッドの曲。
曲が始まるのは45秒くらいからです。

Carrie Underwood - Blown Away






3. Wide Awake

アメリカのシンガーソングライター ケイティ・ペリー Katy Perry の曲。
ペンタトニックスもかつてカヴァーしたことがあります。

Katy Perry - Wide Awake






4. Lollipop

アメリカの女性4人組フォークソンググループ ザ・コーデッツのカヴァーが最も知られていますが
元々は別のミュージシャンのために書かれた曲。

Chordettes - Lollipop






5. Shoes

アメリカのコメディアンで俳優のリアム・カイル・サリヴァンの曲。
彼が製作したヴィデオ「Shoes」の中のキャラクター Kelly (リアムが女装して演じた)のために作った曲。

Shoes the Full Version






6. Short, Short Man

アメリカのヒップホップシンガーでラッパーのサンドラ・ジレットSandra Gillette が
音楽プロデューサーらと組んだユニット 20フィンガーズ の曲。

20 Fingers feat. Gillette - Short, Short Man (1994)






7. Cups

アメリカの女優アナ・ケンドリック Anna Kendrick が、映画「ピッチ・パーフェクト」で歌ったカヴァー曲。
原曲はアメリカの2人組カントリーグループ ブルックス&ダン Brooks & Dunn の「You're Gonna Miss Me When I'm Gone」
曲が始まるのは1分15秒くらいから。

Anna Kendrick - Cups (Pitch Perfect’s “When I’m Gone”)






8. Thinking About You (Thinkin Bout You)

アメリカのR&Bシンガー フランク・オーシャン Frank Ocean の曲。

Frank Ocean-Thinking About You W/Lyrics






9. Damaged

アメリカの5人組女性グループ ダニティ・ケイン Danity Kane の曲。

Danity Kane - Damaged (Video)






10. Can't Be Tamed

アメリカのシンガーで女優の マイリー・サイラス Miley Cyrus の曲。

Miley Cyrus - Can't Be Tamed






11. I Knew You Were Trouble

アメリカのシンガーソングライターで女優の テイラー・スウィフト Taylor Swift の曲。
曲が始まるのは2分2秒くらいから。

Taylor Swift - I Knew You Were Trouble






12. Power

アメリカのミュージシャンで、プロデューサーやファッションデザイナーなど
多彩な活躍を見せる カニエ・ウェスト Kanye West の曲。

Kanye West - POWER






13. Teeth

世界の歌姫と言われる、アメリカのミュージシャン レディ・ガガ Lady GaGa の曲。

Lady GaGa - Teeth (HQ)






14. Home

アメリカのロックバンド ドートリー Daughtry の曲。

Daughtry - Home






15. Home

アメリカのシンガーソングライター フィリップ・フィリップス Phillip Phillips の曲。

Phillip Phillips - Home






16. Home

カナダのミュージシャン・俳優の マイケル・ブーブレ Michael Bublé の曲。

Michael Bublé - Home [Official Music Video]






17. Home Sweet Home

アメリカのヘヴィメタルバンド モトリー・クルー の曲。

Mötley Crüe - Home Sweet Home ORIGINAL (Official Music Video) (1985)








では、最後にもう一度「トドリック・ホール版オズの魔法使い」をどうぞ。

主な配役をご紹介しておきます。
演者は6人だけですので、1人何役かを演じています。

ドロシー&魔女 … カースティン・マルドナード
知恵のない案山子 … スコット・ホーイング
心のないブリキ男 … ミッチ・グラッシ
臆病なライオン … アヴィ・カプラン
ドロシーの愛犬トト … ケヴィン・オルソラ
(以上、ペンタトニックス)

オズの魔法使い … トドリック・ホール


The Wizard of Ahhhs by Todrick Hall





-------------- Ichiro Futatsugi.■


聴き比べ:臨時増刊 「ハレルヤ!」 追記あり

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「ハレルヤ」は、「晴れるや」でも「腫れるや」でもなくて「 Hallelujah 」で〜す!

歌詞の一節として、1度は聞いたことのある言葉だと思います。
「何度も聞いたことある! でも意味は知らない」という言葉の代表選手かもしれません。

「ハレルヤ Hallelujah 」という言葉は、旧約聖書起源の、神を賛美するヘブライ語で
「ハレル(ハレルー)」が「褒め讃えよ」、「ヤ(ヤー)」が「主ヤハウェ」で
「主を褒め讃えよ」という意味になります。

「ハレルヤ」は日本語表記で、英語では「ハレルーヤ」という発音になり
イタリア語などでは冒頭の h を発音しませんので「アレルーヤ」となるのは御存知の通りです。

では「ハレルヤ」という歌は伝統的な賛美歌なのか?と思いきや
想像以上に新しく、オリジナルは1984年にリリースされたものなのです。




前回お知らせしましたペンタトニックスの新ホリデイ・アルバム
「A PENTATONIX CHRISTMAS」が発売になりました。
これは輸入盤なのですが、来月、日本向けの日本盤がリリースされます!!


追記(24日)

日本盤の発売が11月23日に決まったそうです。
歌詞・対訳・解説付き(初回生産盤のみステッカー入り)
ジャケットは一見同じように見えますが、配色が一部異なります。
ボーナス・トラックに関しては情報なし。



そして、発売に合わせて、アルバムに収録されたカヴァー曲「ハレルヤ Hallelujah 」のミュージックヴィデオが公開されました。
昨日、私が気づいた段階で視聴回数は4000回弱でしたが、1日経った今はすでに140万回を突破しています。


[OFFICIAL VIDEO] Hallelujah - Pentatonix



かなりよく知られた曲ですので、御存知の方は多いと思います。
名曲なだけに、実に多くのミュージシャンがカヴァーしています。
あまりに多いので全部をチェックできていませんし、前回「オズの魔法使い」では20ほどのヴィデオを埋め込みましたので
今回は軽く行きたいとの想いもあり、それらの中から、オリジナルも含めた5人(組)をご紹介します。




まず最初はオリジナルから。
この曲の作者であるカナダの詩人・小説家・シンガーソングライターの レナード・コーエン Leonard Cohen 御大から。

Leonard Cohen - Hallelujah





そして、この曲を最も広めたであろうと言われるのが
30歳で急逝したアメリカのシンガーソングライター ジェフ・バックリィ Jeff Buckley 。

Jeff Buckley - Hallelujah (Official Video)





次はインストゥルメンタルです。
ダンサーでもあり、踊るヴァイオリニストとして人気のあるアメリカの リンジー・スターリング Lindsey Stirling 。
ペンタトニックスとも何度か共演しています。

Hallelujah- Lindsey Stirling- #aSaviorIsBorn





再びシンガーに戻ります。
イギリスの多国籍男性4人組ヴォーカルグループ イル・ディーヴォ Il Divo 。

Il Divo - Hallelujah (Alelujah)





最後はイギリスのシンガー アレクサンドラ・バーク Alexandra Burke 。
イギリスのオーディション番組「Xファクター」の2008年の優勝者。
オーディションでの最後の課題曲がレナード・コーエンの「ハレルヤ」だったそうです。

Hallelujah - Alexandra Burke








さて、この「A PENTATONIX CHRISTMAS」ですが、輸入盤の購入は見送りました。
「Coventry Carol」や「White Christmas」などの名曲を、彼らがどのように歌っているのか
前回のホリデイ・アルバム「That's Christmas to Me」から、どのように進化したのか
早く聴きたいのは山々なのですが、日本向け、つまり JAPAN EDITION を待つことにしたのです。
輸入盤には未収録のボーナス・トラックが追加されるかもしれない…ことを期待してのことです。

も〜い〜くつ寝るとぉ〜日本盤?
は〜や〜くぅ来い来い日本盤〜!!


-------------- Ichiro Futatsugi.■

2016年 10月31日 月曜日

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まずは、再び発生したイタリアの大地震から。

イタリア中部で30日午前7時40分(日本時間午後3時40分)ごろ
マグニチュード6.6の強い地震が起き、かなりの被害が出ている模様です。

震源地はウンブリア州ノルチャの北約6キロで、震源の深さは約10キロ。
120キロほど離れたローマでも比較的強い揺れを感じたようです。
それに先立つ26日にもマグニチュード5.5と6.1の強い地震がありました。

ノルチャの南東地域で8月に起こった大地震以降住民の避難が進んでいたこともあって、今のところ死者は確認されていません。
負傷者も20人ほどで人的被害は少なかったようですが、歴史的建造物や民家などの物的被害が甚大のようです。

震源地に近いノルチャでは、街の象徴的存在であるサン・ベネデット聖堂が正面壁を残してほぼ全壊。
ノルチャに近いプレーチ、カンピ、カステルサンタンジェロ、ヴィッソ、ウッシタなどでも被害は大きく
プレーチ近郊にある、中世の外科学校で有名なサンテウティツィオ修道院は26日に正面壁の一部が破損していたのですが
今回の地震によってほぼ全壊した模様です。
カンピにあるサン・サルヴァトーレ教会も26日に一部を残して倒壊しています。

BBC News JAPAN 地震の記事

今回の震源より南東へ20キロほどが震源だった8月の大地震で壊滅的な被害が出たアマトゥリーチェをはじめ
その周辺の被災地でも今回の地震が追い打ちをかけ、更に被害が拡大しているようです。

死者が出ず、負傷者も20人ほどで人的被害が少なかったとは言え、一連の地震による避難者は25000人にのぼると伝えられています。
季節はまっしぐらに冬に向かっており、しかも被災地は冷え込む山間部ですから、被災者の今後が気にかかります。
8月から群発地震のように強い地震が連続しましたが、是非ともこれで収束に向かってほしいものです。



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【 日本画 】


◆ ロマネスクのレリーフ 20号 最終回

イタリア中部ウンブリア州スポレートにあるサン・ピエトロ聖堂正面壁には
聖書の内容を表現したロマネスク様式の優れたレリーフが多数彫り込まれています。
今回描いたこのレリーフの竜は悪魔サタン、獅子はイエス・キリストの象徴です。

前回とは特に大きな変化はありません。
ほとんど細部の調整に費やし、一応の仕上がりとなりました。




 「獅子奮迅」 72.7cm × 40.5cm (20号)








◆ サン・マルコ広場の夜 6号 最終回

イタリア・ヴェネツィアの中心部サン・マルコ広場です。
広場を囲む建物群の1階にある回廊状のポルティコからの眺めです。

奥に見えるサン・マルコ聖堂や鐘楼などを描き込み、空の下側に星を入れました。
これで一応の仕上がりとします。




 「サン・マルコの夜」 41cm × 27.3cm (6号P)








◆ リクヴィールの吊り看板 日本画 6号 最終回

フランス・アルザス地方の小さな村リクヴィールにある吊り看板です。
モデルになったのは、路地裏にあるホテル・ア・ロリエルという小さな宿の看板。

建物は夜の闇に溶け込ませたまま、ほとんど描き起こすことはせず
灯りに照らされて浮かび上がる看板を強調することにしました。
画面左側の壁はやや広過ぎるように感じていましたが、これで大丈夫だろうと思います。




 「旅の宿」 41cm × 31.8cm (6号F)








【 ジークレー下地のパステル 】


◆ 安曇野の水車小屋 25.5 × 17.5 cm 作品ベース 第2回

長野県安曇野市穂高の大王わさび農園の脇にある水車小屋です。





 前回の状態






 彩色3

全体に薄い黄緑色を塗り込み、これを基調色とすることにしました。
今は小屋を描き起こしている途中です。
前回以降、あまり描く時間を取れませんでしたが、間もなく仕上がると思います。








◆ やまなみ サムホール 写真ベース 加筆・修正

北アルプスの、常念岳の南端から蝶ヶ岳にかけての山々です。
昨年描いたものですが、少し修正を加えました。





 加筆・修正 前






 加筆・修正 後





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新開志保展のご案内 + イタリア中部地震続報

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イタリア在住の友人の画家 新開志保さんの個展が広島市で開催されます。

新開さんは、生まれこそ私と同じ長野県なのですが
イタリアに移住する前の20年を広島市で過ごされています。

1990年の移住から20数年を経て、2012年から現在のようなペン・水彩・色鉛筆による制作を開始し
2013年に再び日本での本格的な個展を再開されました。(2回目までは長野県諏訪市)
3回目となる今回は、移住前に最後の個展をされた広島市での開催となります。

かつて20年暮らした故郷同然の地ですので、個展のサブタイトルは「帰ってきた新開!」 きゃはは! 冗談です!
そういえば「帰って来たウルトラマン」というテレビドラマがありましたっけ。

広島市と言えば、厳島神社・平和公園・原爆ドームなどの名所があり
そして、牡蠣、穴子、お好み焼き、もみじ饅頭などの旨いものもあります!
私は牡蠣と穴子は大好物なのであります!
牡蠣と穴子が私を呼んでるぅ〜!! 




今回は、イタリア・ポルトガルなどで取材した風景・猫・植物などを描いた40点余を展示いたします。
是非ともご高覧賜りますよう、私からもお願い申し上げます。
新開さんは毎日会場にいらっしゃいます。


【会期】11月22日(火)〜27日(日)
【会場】広島三越 7階 三越画廊
【時間】10:30〜19:30

広島三越へのアクセスなどは、こちらをご覧下さい。
広島三越ホームページ












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では、10月26日・30日に起きたイタリア中部地震の続報です。

新開さんはヴェネツィアから50キロほど北のヴェネト州コネリアーノにお住まいで
今回の一連の地震による被害はなかったのですが
報道によると、30日の地震ではヴェネツィアでも揺れが感じられたそうです。

被災地では8月の地震以降に住民の避難が進み、26日も、30日も
8月に比べて人的被害が極めて少なかったことは不幸中の幸いでした。
しかしその反面、8月の地震によってダメージを受けていた建造物への被害が加速度的に進んだことも事実だと思います。

時間が経ち、YouTube には地震の模様を撮影した動画が増えてきています。
8月の地震の際にも数日を経てから投稿が始まり、今ではかなりの数になっています。
26日・30日の地震の動画も、日を追うごとに増えています。

次のヴィデオは、ウンブリア州カステルッチョ Castelluccio という街の、30日の地震後の様子をヘリコプターから撮影したものです。


Castelluccio di Norcia post terremoto 30 ottobre 2016



ここは、今回の震源地に近い都市ノルチャから東北東へ、直線距離にして約10キロ離れたところにあります。
ウンブリア州の東の端で、ピアーノ・グランデと呼ばれる大平原の一角の丘の上にある集落です。

8月の地震では、壁や屋根の一部が損壊していることは確認できたものの
一見すると大きな被害はなかったように見えました。
しかし、このヴィデオに映し出されたカステルッチョは、ご覧のように惨憺たる有様でした。




もう一つ気になっていたのがウンブリア州プレーチ Preci と
その近郊にあるサンテウティツィオ修道院 Abbazia di Sant'Eutizio です。

まず、サンテウティツィオ修道院の被災後の画像をネットで見つけました。
ここは中世の外科学校で知られるところで、いわば医科大学のルーツとも言えるところです。

上が被災後、下が被災前の画像で、比べてみると被災状況は一目瞭然です。






崩れた崖には、剥き出しの岩盤の上に建てられた鐘楼がありました。
これが岩盤ごと崩壊し、跡形もなく消えてしまっています。
鐘楼のすぐ下にあった建物も、崩れた鐘楼の直撃を受けて潰れてしまっています。

鐘楼の右下にある建物が聖堂部分です。
右端が後陣で、左端が正面入り口になるわけですが
よく見ると、屋根の左端が少し短くなっているようで、正面壁が崩れ落ちたらしいのが分かります。
この正面壁には簡素で美しい薔薇窓があるのですが、26日の前震の段階ですでに一部が損壊していました。


そして、被災後の空撮ヴィデオも見つかりました。
やはり聖堂の正面壁は崩壊してしまっています。
岩盤もろとも崩壊した鐘楼の直撃を受けたように見えます。


Preci, le macerie dell'Abbazia Sant'Eutizio dopo il terremoto






新開さんも地震の記事をアップされています。
やはり地元なだけに情報量は豊富です。

http://italiashio.exblog.jp/23596699/



イタリアも日本と同じく地震大国なのは御存知の通りです。
過去に何度も大地震に見舞われては復興を遂げてきました。
現在、復興途上にある場所もいくつかあります。

今回の甚大な被害からも、いずれは必ず復興してくれることと思いますが
被害はあまりに大きく広範囲に渡っていますので、かなりの年月を要することでしょう。
果たして私は復興成った姿を見届けることができるかどうか…。

被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

聴き比べ:A Pentatonix Christmas

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まずは御礼から。

広島で開催された新開志保展は、盛況の内に終了いたしました。
ご来場いただきました皆様には心より御礼申し上げます。



私も2泊3日で出かけてまいりました。
新幹線では京都より先に行ったことがなく
在来線では倉敷より先に行ったことがなく
おかげで片道4時間の移動は少しも退屈しませんでした。

厳島神社も見た! 原爆ドームも見た! 平和公園も見た!
新幹線からは、ミニチュアのような姫路城も見えた!
牡蠣も食べた! 穴子も食べた! その他の海の幸も食べた!

初めての広島、いかにも”お上りさん”的なスタンダード・コースでしたが、余は満足じゃった!!




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すでにお知らせしましたように、アメリカの若きア・カベラグループ Pentatonix ペンタトニックス が
新しいホリデイ・アルバム「A Pentatonix Christmas」をリリースしました。
2014年の「 That's Christmas to Me 」以来です。




左が一足先にリリースされた海外盤、右が日本盤で、文字の色が一部異なります。
すべて今年新たにレコーディングされた11曲が収録されていますが
残念ながら期待した日本盤限定のボーナス・トラックはありませんでした。

収録曲リスト

1. O Come, All Ye Faithful
2. God Rest Ye Merry Gentlemen
3. White Christmas feat.The Manhattan Transfer
4. I'll Be Home For Christmas
5. Up On The Housetop
6. The Christmas Sing-Along(オリジナル曲)
7. Coventry Carol
8. Hallelujah
9. Coldest Winter
10. Good To Be Bad(オリジナル曲)
11. Merry Christmas, Happy Holidays


YouTube のオフィシャル・チャンネルでは、10月21日公開の「 Hallelujah 」に続き
11月23日に「 God Rest Ye Merry Gentlemen 」のミュージック・ヴィデオが公開されたばかりです。
11月30日現在、視聴回数は「 Hallelujah 」が 約6300万回、「 God Rest Ye Merry Gentlemen 」が 約500万回に達しています。

特筆すべきは「 Hallelujah 」の視聴回数の増加ペースで、公開後1ヶ月あまりにも関わらず
全ヴィデオ90曲ほどの中で、すでに7番目に達しており、さらに増え続けています。
上位10曲は2〜4年前の公開のものばかりですので、まさに驚異的なペースだと言えます。



では、すでにご紹介済みの「 Hallelujah 」を除いた10曲の中から4曲をご紹介します。




◆ God Rest Ye Merry Gentlemen(神が喜びを下さるように)

伝統的なクリスマス・キャロル。
作者も、作られた時期も定かではないのですが、19世紀前半にイギリスのウィリアム・B・サンディスという人が
各地に伝承されていたものを集めて出版したクリスマス・キャロル集には載っているそうです。

このヴィデオが、オフィシャル・ヴィデオの最新作です。

[OFFICIAL VIDEO] God Rest Ye Merry Gentlemen - Pentatonix





オリジナルの代わりは、19世紀からの伝統を誇る The Bach Choir バッハ合唱団のものを。

God Rest Ye Merry, Gentlemen - Traditional Choir







◆ O Come, All Ye Faithful(神の御子は今宵しも)

伝統的なクリスマス・キャロル。
18世紀イギリスの作曲家ジョン・フランシス・ウェイドの作品といわれていますが
諸説あって確かなところは不明のようです。

オフィシャル・ヴィデオはありませんので、他の投稿者による歌詞付きのヴィデオを。

PENTATONIX - O COME, ALL YE FAITHFUL (LYRICS)





オリジナルの代わりには、ジャズ界の大御所 Nat King Cole ナット・キング・コールのものを。

Nat King Cole - O Come All Ye Faithful







◆ Coventry Carol

伝統的なクリスマス・キャロル。
救世主誕生を恐れた古代イスラエルのヘロデ王が起こしたといわれる幼児虐殺事件をテーマしたもの。
16世紀に作られたものらしく、イギリスのコヴェントリーで歌われた記録があるためコヴェントリー・キャロルの名があります。

こちらもオフィシャル・ヴィデオはありませんので、他の投稿者のものを。

Coventry Carol - Pentatonix Christmas




オリジナル代わりは、ウェールズ出身のシンガー Charlotte Church シャーロット・チャーチの歌で
バックはシャーン・エドワーズ指揮のロンドン交響楽団。

Coventry Carol







◆ Coldest Winter

音楽プロデューサーを皮切りに、ヒップホップMCやファッションデザイナーなど多彩な活動を続けている
アメリカのミュージシャン Kanye West カニエ・ウェストの曲のカヴァー。

これもオフィシャル・ヴィデオはありませんので、他の投稿者のものを。

Coldest Winter- Pentatonix Christmas




こちらがオリジナル。

Kanye West - Coldest Winter






収録曲のオフィシャル・ヴィデオは今後何曲が公開されるか分かりませんが、全曲は作られないと思います。
前作のアルバムでは、オフィシャル・ヴィデオが作られなかった曲については「 Yule Log Videos 」というヴィデオ群が公開されています。
このアルバムも、同じような形でヴィデオが公開されて行くものと思います。

このブログの左サイドバーの上の方に、ペンタトニックス YouTube オフィシャル・チャンネルへのリンクを設置しました。
ペンタトニックスに馴染みのない方は、まず最初に YouTube で彼らの今までの足跡を辿ってみていただきたいと思います。


-------------- Ichiro Futatsugi.■

号外! 3年連続グラミー賞ノミネート! 

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ペンタトニックスが、第59回グラミー賞に3年連続となるノミネート!!



Pentatonix & Dolly Parton - Jolene



今回のノミネート曲はこれ!
シンガーソングライターでカントリー・ミュージックの大御所ドリー・パートンとコラボした「ジョリーン」によって
Best Contry Duo/Group Performance 最優秀カントリー デュオ/グループ パフォーマンス部門にノミネートされました。





ペンタトニックスは第57回・第58回と2年連続でノミネートされ、見事に受賞を果たしています。

第57回は「Daft Punk」によって Best Arrangement, Instrumental or A Cappella 最優秀編曲、器楽曲またはア・カペラ部門を受賞。

[Official Video] Daft Punk - Pentatonix





続く第58回も「Dance Of The Sugar Plum Fairy」によって、同じく Best Arrangement, Instrumental or A Cappella 部門を再度受賞。

[Official Video] Dance of the Sugar Plum Fairy - Pentatonix




とりあえず、ノミネートおめでとうございます!!

ペンタトニックスを初めて知ったのは昨年の11月のことで
このブログに彼らの記事を書き始めるきっかけとなったのが、今年2月の2度目のグラミー賞受賞でした。
来年2月には、再び受賞の号外記事を出せることを願っています。

受賞者発表と受賞式は、来年2月12日(日本時間13日)に行われます。



YouTube視聴回数に関しても、いくつかニュースがあります。

本日、「Hallelujah」が7000万回!を突破しました。
再びグラミー賞にノミネートというビッグニュースも追い風になりそうですから
このままのペースで伸び続ければ、年内にも1億回を突破する可能性があります。

グラミー賞がらみといえば、前回受賞した「Dance Of The Sugar Plum Fairy」は
今年2月の受賞当時はオフィシャル・ヴィデオの中では視聴回数の伸びがスローペースで
たしか1000万回に届いていなかったように記憶しています。
それが受賞後しばらくしてから伸び始め、現在では2400万回になろうとしていますので
これは受賞効果も加わったのではないかと想像しています。

それと共にヤキモキしていたのが、1年前に公開された「The First Noel」で
こちらも伸びがスローペースでしたが、本日めでたく1000万回に到達しました!

「Dance Of The Sugar Plum Fairy」は原曲がクラシックでインストゥルメンタルですし
「The First Noel」は、彼らにしてはやや大人びた穏やかなアレンジですから
ひょっとして若い視聴者の興味を引きにくかったのかもしれません。
でも、何はともあれ、めでたし!めでたし!


1億回と言えばもう一つ、3年前に公開された「Little Drummer Boy」が
間もなく1億回を迎えようとしています。
彼らのヴィデオで1億回を超えたのは、今のところ「Daft Punk」(現在、2億2000万回)だけです。

「Hallelujah」が先か、「Little Drummer Boy」が先か、さあどっちだ!

…と、夕方に書いたところだったのですが
それから約3時間後にチェックしましたら、いつのまにか「Little Drummer Boy」は1億回を超えていました。
予想より早く、あっさり突破したので、ちょっと拍子抜けしてしまいましたが、それだけ彼らの躍進ぶりが凄いという証です。

「Daft Punk」に続き、2曲目の1億回達成です!!
 重ね重ね、おめでとうございます!!


-------------- Ichiro Futatsugi.■
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