10年ほど前に「猫侍(ねこざむらい)」というテレビドラマが放送されました。
コメディタッチの時代劇で、主人公と暮らす猫が「玉之丞(たまのじょう)」という役名の白猫でした。
「玉之丞」は場面によって三匹の白猫が交代で演じ
最も出番の多かった「あなご」は、14歳という高齢ながら
際立った愛くるしさで、私も一瞬で虜になってしまったほどの美猫でした。
いつか「あなご」の面影を加えて白猫を描いてみたいと思っていました。
◆ しらたま 日本画 4号 ( 30 × 24.5 cm )
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この作品は、以前に描いた6号の「まなざし」という作品をベースにしています。
猫の横たわる階段の面積を少なくした以外は、ほぼ同じ構図です。
モデルとなった猫は、イタリア在住の友人の画家 新開志保さんが北イタリアの小さな村シロールで出会った猫です。
日本では見たことのない種類のようで、体の大半は白毛ですが
背中の一部には立髪のような長い白毛が生え、頭に黒い模様があり、尻尾は長毛の黒毛でした。
それを、ポーズはそのままに一般的な白猫に変え、目をオッドアイにしています。
「あなご」の面影も多少加味してみました。
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これは、「しらたま」の元になった「まなざし」の下描きです。
これの頭と尻尾を白くすれば白猫の出来上がり!と甘く考えていましたが
おそらく、その安直さが絵の神様の逆鱗に触れたのだと思います。
そこに落とし穴が待ちかまえていて
本画を始めるまでの構想段階で、予想外に時間がかかってしまいました。
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これは「しらたま」の構想段階の一コマです。
私は構想の作業をほとんどPCで行っています。
「まなざし」の下描きを画像アプリで加工して行きます。
自分が分かればいいので少々雑な作業をしていますが
頭の模様と尻尾を白くし、階段の木目の位置など何箇所か修正したところです。
ここで手が止まりました。
猫の形に、どこか間の抜けた印象を受けるのです。
頭を少し面長に、尻尾の付け根から背中にかけての輪郭を少し丸く変えてありますが、私のイメージしていた猫の形とは合致しません。
額から後頭部にかけてが広い? 耳の位置・角度がおかしい? お尻のボリュームが乏しい?
いろいろな白猫の写真を参考にしながら何度も微調整してみましたが、なかなかピンと来るものができません。
こんなはずじゃなかった! 予定では、とっくに本画を始めているはずなのに!
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構想段階で思いがけなく時間がかかって本画が始まりました。
これは今回の「しらたま」の下描きです。
構想の最終段階で顔のプロポーションを元々の横長に戻し、耳の位置・角度、体の形をさらに調整し
後は彩色しながらの修正で何とかなりそうだという状態まで来て、ようやく本紙に下描きを始めました。
しかし、この下描きでも何度か形の修正を繰り返しているので、だいぶ汚れて黒ずんだ白猫になっています。
猫の彩色は、天然白亜をメインとした顔料と、白い色鉛筆を交互に使って描き込み
最後は僅かに陰影が見える程度まで白を重ねています。
階段は、黄口朱・黄土などを薄く溶いて、いわゆる”おつゆ描き”で重ねています。
オッドアイは、黄色い方は黄口黄土がメイン、青い方はコバルトブルーがメインです。
鼻先と耳の内側は、淡い赤の色鉛筆です。
最後に愚痴を一つ。
今に始まったことではないのですが、作品写真の撮影って本当に難しいものです。
デジタル一眼レフのRAWで撮影し、現像アプリで基本的な補正と現像をし、画像アプリ2種で仕上げているのですが
微妙な中間色・中間トーンが思うように出ないことが多いのです。
中間色・中間トーンと侮るなかれ。
作品の持つ印象・雰囲気にとって、それらがかなり影響する場合があります。
自分の目に見えている作品の雰囲気と、ずいぶん違ってしまうことがほとんどなのです。
この「しらたま」の画像も実物とは印象が少し違うのです。
私の作品をインターネットでしかご覧になったことがない方も多いので
ネットに上げる作品画像の補正には事のほか気を遣っています。
色が多少違うことは構いませんが、画面全体の雰囲気の違いはとても気になるので
ブログ用の画像は、実物と色合いは多少違ってしまっても雰囲気を優先して作っています。
筆のタッチとタッチの隙間とか、色鉛筆のタッチとタッチの隙間のように
ベースの和紙が透けて見えているところなどは、実際よりチラチラ目立って写り
全体としてきつく写って、ふんわりとした雰囲気がなくなりがちです。
カメラの設定で、コントラストを低くしておくとか
画像アプリでコントラストを低く補正するなどはしているのですが
なかなか思うようには行きません。
今以上の解決策が見つかりませんが、これが素人カメラマンの限界なのかもしれません。
------------- Ichiro Futatsugi.■
コメディタッチの時代劇で、主人公と暮らす猫が「玉之丞(たまのじょう)」という役名の白猫でした。
「玉之丞」は場面によって三匹の白猫が交代で演じ
最も出番の多かった「あなご」は、14歳という高齢ながら
際立った愛くるしさで、私も一瞬で虜になってしまったほどの美猫でした。
いつか「あなご」の面影を加えて白猫を描いてみたいと思っていました。
◆ しらたま 日本画 4号 ( 30 × 24.5 cm )

この作品は、以前に描いた6号の「まなざし」という作品をベースにしています。
猫の横たわる階段の面積を少なくした以外は、ほぼ同じ構図です。
モデルとなった猫は、イタリア在住の友人の画家 新開志保さんが北イタリアの小さな村シロールで出会った猫です。
日本では見たことのない種類のようで、体の大半は白毛ですが
背中の一部には立髪のような長い白毛が生え、頭に黒い模様があり、尻尾は長毛の黒毛でした。
それを、ポーズはそのままに一般的な白猫に変え、目をオッドアイにしています。
「あなご」の面影も多少加味してみました。

これは、「しらたま」の元になった「まなざし」の下描きです。
これの頭と尻尾を白くすれば白猫の出来上がり!と甘く考えていましたが
おそらく、その安直さが絵の神様の逆鱗に触れたのだと思います。
そこに落とし穴が待ちかまえていて
本画を始めるまでの構想段階で、予想外に時間がかかってしまいました。

これは「しらたま」の構想段階の一コマです。
私は構想の作業をほとんどPCで行っています。
「まなざし」の下描きを画像アプリで加工して行きます。
自分が分かればいいので少々雑な作業をしていますが
頭の模様と尻尾を白くし、階段の木目の位置など何箇所か修正したところです。
ここで手が止まりました。
猫の形に、どこか間の抜けた印象を受けるのです。
頭を少し面長に、尻尾の付け根から背中にかけての輪郭を少し丸く変えてありますが、私のイメージしていた猫の形とは合致しません。
額から後頭部にかけてが広い? 耳の位置・角度がおかしい? お尻のボリュームが乏しい?
いろいろな白猫の写真を参考にしながら何度も微調整してみましたが、なかなかピンと来るものができません。
こんなはずじゃなかった! 予定では、とっくに本画を始めているはずなのに!

構想段階で思いがけなく時間がかかって本画が始まりました。
これは今回の「しらたま」の下描きです。
構想の最終段階で顔のプロポーションを元々の横長に戻し、耳の位置・角度、体の形をさらに調整し
後は彩色しながらの修正で何とかなりそうだという状態まで来て、ようやく本紙に下描きを始めました。
しかし、この下描きでも何度か形の修正を繰り返しているので、だいぶ汚れて黒ずんだ白猫になっています。
猫の彩色は、天然白亜をメインとした顔料と、白い色鉛筆を交互に使って描き込み
最後は僅かに陰影が見える程度まで白を重ねています。
階段は、黄口朱・黄土などを薄く溶いて、いわゆる”おつゆ描き”で重ねています。
オッドアイは、黄色い方は黄口黄土がメイン、青い方はコバルトブルーがメインです。
鼻先と耳の内側は、淡い赤の色鉛筆です。
最後に愚痴を一つ。
今に始まったことではないのですが、作品写真の撮影って本当に難しいものです。
デジタル一眼レフのRAWで撮影し、現像アプリで基本的な補正と現像をし、画像アプリ2種で仕上げているのですが
微妙な中間色・中間トーンが思うように出ないことが多いのです。
中間色・中間トーンと侮るなかれ。
作品の持つ印象・雰囲気にとって、それらがかなり影響する場合があります。
自分の目に見えている作品の雰囲気と、ずいぶん違ってしまうことがほとんどなのです。
この「しらたま」の画像も実物とは印象が少し違うのです。
私の作品をインターネットでしかご覧になったことがない方も多いので
ネットに上げる作品画像の補正には事のほか気を遣っています。
色が多少違うことは構いませんが、画面全体の雰囲気の違いはとても気になるので
ブログ用の画像は、実物と色合いは多少違ってしまっても雰囲気を優先して作っています。
筆のタッチとタッチの隙間とか、色鉛筆のタッチとタッチの隙間のように
ベースの和紙が透けて見えているところなどは、実際よりチラチラ目立って写り
全体としてきつく写って、ふんわりとした雰囲気がなくなりがちです。
カメラの設定で、コントラストを低くしておくとか
画像アプリでコントラストを低く補正するなどはしているのですが
なかなか思うようには行きません。
今以上の解決策が見つかりませんが、これが素人カメラマンの限界なのかもしれません。
------------- Ichiro Futatsugi.■