小下図　その8　シロール

◆ 小下図　シロールの窓　４号大　（ 30 × 20.3 cm ）


シロールは北イタリアの小さな集落。
トレンティーノ＝アルト・アディジェ州の
壮麗な山塊が連なるドロミーティの麓の一角にあります。

そこはアルプス山脈の東部で、この地域には”南チロル”という呼び方があります。
”チロル”という言葉のイメージ通り、集落には”アルプスの少女ハイジ”的な雰囲気があり
私が長年親しんできた中部イタリアの古い集落とは全く趣が異なります。


この作品は、北イタリア在住の友人の画家shinkaiさんが撮影された写真を元にしています。
本番では、10〜15号で描く予定です。






ドローイングペン（一部鉛筆）での描き起こし。

この窓周りは、他ではあまり見たことがない独特の雰囲気があります。
窓の部材には木材を多用し、中央の柱も木製なのは珍しいと思います。

ほぼ実物通りに描いていますが、最上部の横長の石と窓との距離を詰め
窓の下のフレスコ画の残欠は、実物より図柄を大きくしています。








彩色終了。

色に関しては、各部材の質感に留意しながら
実物の色調を生かす方針で描いています。

石組みの露出している部分がほとんど無く
私が好んで描いてきた重厚な石壁とは大きく異なります。

本番では、この壁の持つ雰囲気を生かし
今までの私の作品にはあまり登場しなかった
シャープで軽やかな画面を目指すつもりですが
絵は描いてみないと分かりませんので、果たしてどうなりますか。




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本日のおまけ

何年前のことだったのか覚えていませんが
テレビで「千手観音」というパフォーマンスが盛んに紹介されたことがありました。

演じているのは「中国障害者芸術団」のメンバー。
全員が聴覚障害者で耳が聞こえません。
健常者にとっても演じるのは至難の業ですが
障害者であることを微塵も感じさせない驚異的な完成度です。


Thousand Hands Dance - Tarian Seribu Tangan



------------- Ichiro Futatsugi.■