◆ フロイデンベルグの街並み 20号 第7回
ドイツのケルンから東へ60キロほどのフロイデンベルグ(フロデンベルグ)の街並みを描いています。
16世紀と17世紀の2度に渡る大火でほぼ完全に焼失して再建されたもので
他に例を見ない白黒モノトーンのコロンバージュ様式(木骨造り)の住宅が建ち並んでいます。
1ヶ月ぶりの掲載になりますが、その間は、コロンバージュの白壁と木組みを描き起こし
刷毛で大きく色を塗って再び薄くなって、また描き起こし…を2度ほど繰り返していました。
1回描き起こすだけでも、かなりの時間がかかります。
ここまでの様子を説明抜きで並べてみますが
こうして振り返って比較すると、行きつ戻りつを繰り返し、だいぶ回り道をしたような感じがします。
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前回の状態(彩色8)
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彩色9
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彩色10
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彩色11
3度目くらいの白壁の描き起こしが一段落したところです。
画面の表情は再び硬くなっていますが、これで家並みの形はほぼ決まりましたので
今後は雰囲気を出しながら、木組みも描き起こしながら、仕上げに向けての作業に入ります。
さて、この画像の最上部の青が赤味を帯びているのがお分かりでしょうか。
見る角度や光の状態にもよりますが、実際にはもっとはっきりとした赤味があるのです。
ウルトラマリンを基調にした青に赤味を加えたくて選んだ絵具がオリエンタル・ブルーです。
ウルトラマリンも、コバルト・ブルーなどに比べると赤味があるのですが
さらに赤味を加えたくて、今回初めてオリエンタル・ブルーを使ってみたのです。
オリエンタル・ブルーは一般的にはフタロシアニン・ブルーと呼ばれ、成分は銅フタロシアニンという化合物です。
ウルトラマリンより明度は落ちますが、鮮やかで藍を混ぜたような色合いを持ち、耐光性も高くて堅牢な顔料として知られています。
ニカワで溶く前の粉末を見る限りでは、少し暗目で赤味のある青という印象でしたが
画面に塗って、乾いてみたら予想外の結果にビックリ!
まるで赤色顔料をかけたかのように赤く見えるのです。
彩色11の画像は少し洗い落とした後で撮影しており、塗った直後はもっと赤かったのです。
因に、絵具皿の中で乾いた状態が下の画像です。
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一際赤く見えるのは上澄みの細粒子の部分だけのようです。
私は色をボカす際に多めの水を使いますので、上澄みの溜まりができ、余計に赤くなってしまったのだと思います。
過度に赤くならないようにするためには、上澄みを溜めないように渇筆気味で塗るか
上澄みを除去してから使用するという方法も考えられます。
銅フタロシアニンは顔料ですが、染料並みの着色力があります。
絵具を溶いた指は真っ青、使った筆も真っ青に染まり、水で洗っただけでは落ちません。
この顔料は20世紀前半にイギリスの染料会社で偶然にできたものだそうで
いかにも染料会社で作られたものらしく染料のような性格の強い顔料です。
ニカワのような水性メディウムでこの絵具を初めて使う場合には
あらかじめテストして性質を知っておくことをお勧めします。
-------------- Ichiro Futatsugi.■
ドイツのケルンから東へ60キロほどのフロイデンベルグ(フロデンベルグ)の街並みを描いています。
16世紀と17世紀の2度に渡る大火でほぼ完全に焼失して再建されたもので
他に例を見ない白黒モノトーンのコロンバージュ様式(木骨造り)の住宅が建ち並んでいます。
1ヶ月ぶりの掲載になりますが、その間は、コロンバージュの白壁と木組みを描き起こし
刷毛で大きく色を塗って再び薄くなって、また描き起こし…を2度ほど繰り返していました。
1回描き起こすだけでも、かなりの時間がかかります。
ここまでの様子を説明抜きで並べてみますが
こうして振り返って比較すると、行きつ戻りつを繰り返し、だいぶ回り道をしたような感じがします。

前回の状態(彩色8)

彩色9

彩色10

彩色11
3度目くらいの白壁の描き起こしが一段落したところです。
画面の表情は再び硬くなっていますが、これで家並みの形はほぼ決まりましたので
今後は雰囲気を出しながら、木組みも描き起こしながら、仕上げに向けての作業に入ります。
さて、この画像の最上部の青が赤味を帯びているのがお分かりでしょうか。
見る角度や光の状態にもよりますが、実際にはもっとはっきりとした赤味があるのです。
ウルトラマリンを基調にした青に赤味を加えたくて選んだ絵具がオリエンタル・ブルーです。
ウルトラマリンも、コバルト・ブルーなどに比べると赤味があるのですが
さらに赤味を加えたくて、今回初めてオリエンタル・ブルーを使ってみたのです。
オリエンタル・ブルーは一般的にはフタロシアニン・ブルーと呼ばれ、成分は銅フタロシアニンという化合物です。
ウルトラマリンより明度は落ちますが、鮮やかで藍を混ぜたような色合いを持ち、耐光性も高くて堅牢な顔料として知られています。
ニカワで溶く前の粉末を見る限りでは、少し暗目で赤味のある青という印象でしたが
画面に塗って、乾いてみたら予想外の結果にビックリ!
まるで赤色顔料をかけたかのように赤く見えるのです。
彩色11の画像は少し洗い落とした後で撮影しており、塗った直後はもっと赤かったのです。
因に、絵具皿の中で乾いた状態が下の画像です。

一際赤く見えるのは上澄みの細粒子の部分だけのようです。
私は色をボカす際に多めの水を使いますので、上澄みの溜まりができ、余計に赤くなってしまったのだと思います。
過度に赤くならないようにするためには、上澄みを溜めないように渇筆気味で塗るか
上澄みを除去してから使用するという方法も考えられます。
銅フタロシアニンは顔料ですが、染料並みの着色力があります。
絵具を溶いた指は真っ青、使った筆も真っ青に染まり、水で洗っただけでは落ちません。
この顔料は20世紀前半にイギリスの染料会社で偶然にできたものだそうで
いかにも染料会社で作られたものらしく染料のような性格の強い顔料です。
ニカワのような水性メディウムでこの絵具を初めて使う場合には
あらかじめテストして性質を知っておくことをお勧めします。
-------------- Ichiro Futatsugi.■